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ハッピーエンドの後の話②
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いやいやいや。
考えすぎよね。
さすがに私の嫌な予感が現実にあるはずがない。
“パルム教授が私に試そうとしていた薬を自分で使って小さくなった”とか…
ないない。
そもそもそんな危険極まりない薬…存在自体が怪しいし…
…ありえないよね……
「うーん。早くもライバル登場ね。パール君…一度会ってみたいわ」
キュアが不機嫌顔のアッシュを見ながら呟く。
「ええ…そうね…」
私の予感は気のせいであって欲しいし……
どちらにしても一度会って色々確認してみたいわ。
「入学してからしばらく経ったし、交流を名目に我が家でクラスメイトを招いてお茶会なんてどうかしら?」
「えっやりたいっっ」
キュアの提案にユメラが瞳をキラキラと輝かせて真っ先に食いつく。
「えっ…なんでそんなことウチで…やりたいならユメラのいえで…」
ユメラとは反してアッシュは明らかに嫌な表情を見せる。
「だってマリアのお腹には今赤ちゃんがいるのよ。無理はさせられないもの。やるなら我が家でやるのがいいでしょう?アッシュは嫌?」
「アッシュはイヤなの?」
シュンとするユメラにアッシュはウッ…と顔を引き攣らせるけど諦めたように大きく息を吐く。
「べつにいやじゃない…でも、ぼくのうちでやるならあいつがくるかはわからないぞ」
「だいじょうぶよ?わたしがちょくせつさそってみるわ」
「…」
ニッコリ上機嫌なユメラにアッシュは微妙な顔をする。
「じゃあ他に誰を誘うかリストを作らなきゃね。アッシュとユメラは手伝ってくれる?」
「ええ。てつだうわ」
「……」
「ユシン様も気になるでしょう?日程が決まり次第直ぐにご連絡しますから、是非マリアといらしてくださいね」
「……」
キュアの言葉にユシン様とアッシュは同じ様な複雑な顔をした。
-----
それから数日後。
早くもお茶会が開催される事となった。
こういう時のキュアの行動力と実現力は毎回関心させられる。
今回、お茶会に呼ばれたのはアッシュとユメラが特に仲良くしているクラスメイト5人。
みんなお茶会というものの招待が初めてらしく、両親や付人と共に来てソワソワとしながら嬉しそうにしている。
そんな中、1人でこのお茶会に来て落ち着いた雰囲気を放っている男の子がいた。
見た瞬間、その子がパールだと分かった。
パルム教授をそのまま小さくした容姿…
嫌な疑いを晴らしたかったのに、逆に私の疑いは膨らんでしまう。
いやいや…
一応、パルム教授の甥っ子という事になるんだし似ていて当たり前よね。
うん。
親族なんだから似ていて当たり前。
「ハンキントン侯爵、侯爵夫人。アッシュ。この度はご招待ありがとうございます。わたくしはノースライド伯爵家パールと申します。今日はよろしくお願いします」
5歳とは思えないハッキリとした挨拶にキュアと私は顔を見合わせてしまう。
「まだまだ幼いのにしっかりしてるんだね。君は」
「本当に…それしてもパルム教授にソックリだな…」
ユア様とユシン様も色々な意味で驚きの表情を隠せないでいる。
「叔父上に似ているとよく言われますが…そんなに似てますか?」
そう言ってニコリと笑うパールはどう見ても5歳の男の子。
うぅ…分からない。
「パールさまぁ~」
私が頭を悩ませていると他のお友達の元にいたユメラがパールに突進してくる。
パールはそんなユメラをヒラリとかわす。
「ユメラ…あぶないよ」
「すみません。パールさま。がくえんのそとでパールさまにあえるのがうれしくて…」
「僕も嬉しいよ。お誘いありがとう」
ニコリとするパールにユメラは顔を真っ赤に染める。
その顔はまさに恋する乙女の顔だ。
相反してしかめっ面になるアッシュ。
「ノースライド。きみのせきにあんないするよ」
アッシュはパールとユメラの間に割って入るとパールの腕を掴んで準備した席へと連れていく。
瞬間、不意にパールと私の視線が合ってパールはほんの一瞬フッと笑みを浮かべた。
「っっ……」
なに?
今の…
明らかに私を見て笑ったわよね?
パールが席に座ると全員が揃ってお茶会が始まる。
子供だけのテーブルにそれを囲むように付き添いで来た親達が座るテーブルが用意されている。
子供達を眺めながら親達も親交を深める。
和やかに進むお茶会。
大人びた感じのパールも子供達の中に紛れれば年相応の子供に見える。
でも、私の中には複雑な気持ちが居座っている。
私は観察をするかのようにパールの一挙手一投足目で追ってしまう。
「パール君。中々の強敵ね」
キュアがボソリと呟く。
「見た目が良くて、頭もいい。礼儀もなっているし、…年頃の女の子なら皆憧れを抱くわよね」
「ええ…」
「でも、アッシュだって負けてないわよ」
「そう思うわ」
お茶の飲み方。
女の子に対する態度。
会話に対する反応。
所々見受けられるパールの行動は明らかに子供らしくない。
信じたくないけど…でも見れば見るほど私の疑いは確信に変わっていく。
しばらくすると子供達はお菓子やお茶を飲んでお腹が膨れたからか遊び始める。
ユア様やユシン様は子供達の遊びに駆り出されて一緒に遊んでいる。
そんな中、パールだけはそんなみんなの姿を席から眺めていた。
しばらくして、パールはやっと立ち上がったと思ったら子供達の方ではなく私達の方にむかってくる。
「どうしたの?」
キュアが尋ねると、パールは少し恥ずかしそうにする。
「…すみません。お手洗いに行きたいのですが…」
「あら。案内するわ」
「あっ…私が行くわ。私もちょうど行きたかったから」
キュアが立ち上がるのを私は思わず止めると声を上げる。
「えっ?大丈夫?マリア」
「ええ。このくらい大丈夫よ。パール君行きましょうか」
「すみません。ありがとうございます」
私が立ち上がり進み始めると、パールは私のすぐ後ろを付いてくる。
2人きりになるチャンスができた。
もやもやした気持ちでいるくらいなら確認するしかないわよね。
考えすぎよね。
さすがに私の嫌な予感が現実にあるはずがない。
“パルム教授が私に試そうとしていた薬を自分で使って小さくなった”とか…
ないない。
そもそもそんな危険極まりない薬…存在自体が怪しいし…
…ありえないよね……
「うーん。早くもライバル登場ね。パール君…一度会ってみたいわ」
キュアが不機嫌顔のアッシュを見ながら呟く。
「ええ…そうね…」
私の予感は気のせいであって欲しいし……
どちらにしても一度会って色々確認してみたいわ。
「入学してからしばらく経ったし、交流を名目に我が家でクラスメイトを招いてお茶会なんてどうかしら?」
「えっやりたいっっ」
キュアの提案にユメラが瞳をキラキラと輝かせて真っ先に食いつく。
「えっ…なんでそんなことウチで…やりたいならユメラのいえで…」
ユメラとは反してアッシュは明らかに嫌な表情を見せる。
「だってマリアのお腹には今赤ちゃんがいるのよ。無理はさせられないもの。やるなら我が家でやるのがいいでしょう?アッシュは嫌?」
「アッシュはイヤなの?」
シュンとするユメラにアッシュはウッ…と顔を引き攣らせるけど諦めたように大きく息を吐く。
「べつにいやじゃない…でも、ぼくのうちでやるならあいつがくるかはわからないぞ」
「だいじょうぶよ?わたしがちょくせつさそってみるわ」
「…」
ニッコリ上機嫌なユメラにアッシュは微妙な顔をする。
「じゃあ他に誰を誘うかリストを作らなきゃね。アッシュとユメラは手伝ってくれる?」
「ええ。てつだうわ」
「……」
「ユシン様も気になるでしょう?日程が決まり次第直ぐにご連絡しますから、是非マリアといらしてくださいね」
「……」
キュアの言葉にユシン様とアッシュは同じ様な複雑な顔をした。
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それから数日後。
早くもお茶会が開催される事となった。
こういう時のキュアの行動力と実現力は毎回関心させられる。
今回、お茶会に呼ばれたのはアッシュとユメラが特に仲良くしているクラスメイト5人。
みんなお茶会というものの招待が初めてらしく、両親や付人と共に来てソワソワとしながら嬉しそうにしている。
そんな中、1人でこのお茶会に来て落ち着いた雰囲気を放っている男の子がいた。
見た瞬間、その子がパールだと分かった。
パルム教授をそのまま小さくした容姿…
嫌な疑いを晴らしたかったのに、逆に私の疑いは膨らんでしまう。
いやいや…
一応、パルム教授の甥っ子という事になるんだし似ていて当たり前よね。
うん。
親族なんだから似ていて当たり前。
「ハンキントン侯爵、侯爵夫人。アッシュ。この度はご招待ありがとうございます。わたくしはノースライド伯爵家パールと申します。今日はよろしくお願いします」
5歳とは思えないハッキリとした挨拶にキュアと私は顔を見合わせてしまう。
「まだまだ幼いのにしっかりしてるんだね。君は」
「本当に…それしてもパルム教授にソックリだな…」
ユア様とユシン様も色々な意味で驚きの表情を隠せないでいる。
「叔父上に似ているとよく言われますが…そんなに似てますか?」
そう言ってニコリと笑うパールはどう見ても5歳の男の子。
うぅ…分からない。
「パールさまぁ~」
私が頭を悩ませていると他のお友達の元にいたユメラがパールに突進してくる。
パールはそんなユメラをヒラリとかわす。
「ユメラ…あぶないよ」
「すみません。パールさま。がくえんのそとでパールさまにあえるのがうれしくて…」
「僕も嬉しいよ。お誘いありがとう」
ニコリとするパールにユメラは顔を真っ赤に染める。
その顔はまさに恋する乙女の顔だ。
相反してしかめっ面になるアッシュ。
「ノースライド。きみのせきにあんないするよ」
アッシュはパールとユメラの間に割って入るとパールの腕を掴んで準備した席へと連れていく。
瞬間、不意にパールと私の視線が合ってパールはほんの一瞬フッと笑みを浮かべた。
「っっ……」
なに?
今の…
明らかに私を見て笑ったわよね?
パールが席に座ると全員が揃ってお茶会が始まる。
子供だけのテーブルにそれを囲むように付き添いで来た親達が座るテーブルが用意されている。
子供達を眺めながら親達も親交を深める。
和やかに進むお茶会。
大人びた感じのパールも子供達の中に紛れれば年相応の子供に見える。
でも、私の中には複雑な気持ちが居座っている。
私は観察をするかのようにパールの一挙手一投足目で追ってしまう。
「パール君。中々の強敵ね」
キュアがボソリと呟く。
「見た目が良くて、頭もいい。礼儀もなっているし、…年頃の女の子なら皆憧れを抱くわよね」
「ええ…」
「でも、アッシュだって負けてないわよ」
「そう思うわ」
お茶の飲み方。
女の子に対する態度。
会話に対する反応。
所々見受けられるパールの行動は明らかに子供らしくない。
信じたくないけど…でも見れば見るほど私の疑いは確信に変わっていく。
しばらくすると子供達はお菓子やお茶を飲んでお腹が膨れたからか遊び始める。
ユア様やユシン様は子供達の遊びに駆り出されて一緒に遊んでいる。
そんな中、パールだけはそんなみんなの姿を席から眺めていた。
しばらくして、パールはやっと立ち上がったと思ったら子供達の方ではなく私達の方にむかってくる。
「どうしたの?」
キュアが尋ねると、パールは少し恥ずかしそうにする。
「…すみません。お手洗いに行きたいのですが…」
「あら。案内するわ」
「あっ…私が行くわ。私もちょうど行きたかったから」
キュアが立ち上がるのを私は思わず止めると声を上げる。
「えっ?大丈夫?マリア」
「ええ。このくらい大丈夫よ。パール君行きましょうか」
「すみません。ありがとうございます」
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