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ハッピーエンドの後の話③【完結】
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さて、どう切り出したらいいか…
とりあえず、何気ない会話から入った方がいいわよね…
「えーっと…パール君はパルム教授…叔父様とはよくお会いするの?」
「叔父上ですか?」
「ええ…パール君の叔父様であるパルム教授のベルクテロス理論に私は助けられたのよ。本当に感謝しているわ。でも、気づいたら教授が学園からいなくなっていて心配していたの。パルム教授はお元気かしら?」
私の言葉にパールはすぐに返答を返さない。
「パール君?」
私は立ち止まり、パール君の顔を覗き込む。
「あっ。えっと…叔父上は元気ですよ。今は世界中をまわっているみたいで中々お会いする事はありませんが…」
「そう…」
パールはそれだけ答えるとすぐに私から視線を逸らす。
もう少し突っ込んでみますか…
「パール君はベルクテロス理論は学んでいるの?」
「えーと…少し…」
「そうなんだ。じゃあパール君の考えるベルクテロス理論について聞きたいな」
「えっ…あ…僕にはまだちょっと難しくて」
「私も全ては理解してないわ。わかる範囲で良いのよ」
「でも…僕はまだ子供だから」
“僕はまだ子供だから”?
ふーん。そう来ますか…
その言葉で私の中でグレーだった部分が確信に変わった。
もう子供相手だからという遠慮はいりませんね。
「あら。先程までとは別人みたいね。貴方なら子供だからこその目線で答えてくれると思ったのだけど…」
「……」
「パール君?」
「ちっ…相変わらず馬鹿な様で頭の回転だけは早いな…」
パールはボソリとつぶやく。
でも、私にはしっかり聞こえましたよ。
「パール君…いえ…あなたはパルム教授ですよね?」
私の確信にパール…もといパルム教授は一瞬目を見開いてから仮面を被る様に子供らしい笑みを浮かべる。
「え?僕はパールだよ?」
「もう確信しました。絶対パルム教授ですよね?」
「僕はパルムじゃないよ…」
「そう…じゃあこれだけ教えてパール………いえ。パルム教授」
「だから僕はっ…」「ベルクテロス理論の真骨頂は?」
「自分の考えを信じて進む事。そうすれば結果はどうあれ100%成功するっ」
ビシッと私はパルム教授を指差すと、パルム教授は反射的に答えてしまう。
「……」
「……」
「あれれ~。僕どうしちゃったなぁーあはは」
「さっきとキャラが変わってますよ」
「…ちっ」
「あっ。今、舌打ちしましたよね?やっぱパルム教授じゃないですかっっ。私に飲ませようとしたあの怪しい小さくなる薬とやらを飲んだんですね。もしかして戻れないのですか?」
「戻れなくはない。…ただ色々事情があるんだ」
事情?
「はぁ…どんな事情か知りませんが、なんでよりによって娘と同級生になっているんですか?」
「それは偶然だ。俺にはどうしようもない」
どうしようもないって…
「早く元に戻ってくださいよ。変な事にユメラ達を巻き込まないでください。」
「巻き込むつもりはない。ただ、すぐに戻る事はできない」
「何故ですか?戻れるなら早く戻った方がいいでしょう?」
「…」
「パルム教授?」
パルム教授は観念したかの様に深く息を吐いてから私に鋭い視線を向ける。
「薬を飲んで幼児化する際に急な体の変化に細胞が異変を起こして数年動けなくなった。体調を整え、リハビリを終えて日常に戻れたのはつい最近だ。逆に成長させるとなると身体への負担は計り知れない。下手すれば変化に耐えきれず死ぬかもしれない。だから通常通りの成長過程で身体を戻す事にしたんだ。」
「通常通りの成長過程?」
「速攻性の成長薬で一気に戻すのではなく、弱い薬を飲み続けて1年で1年分の成長をして1才年を取る」
「…という事は?」
「俺はお前の娘と完全なる同級生だ」
はい?
「まぁ。第二の人生だな」
「第二のって…」
そんなんでいいの?
「まぁ。お前の娘は俺が好きみたいだしなんなら婚約…」
「結構です。ユメラにはアッシュがいますから」
「くくく…そうか。残念だな」
パルム教授は人を揶揄う様に笑う。
「お願いですからユメラにはちょっかい出さないで下さい」
「それはユメラ次第かな」
「教授ッッ」
「それはさておき…この薬の事も俺の事も知る者は僅かで国の最大機密事項だ。」
「へっ?」
「知らない方が良かったのにな。折角俺はお前が巻き込まれない様にシラを切ってやったのに…この事が他の者に知れたらどうなるか分かっているだろうな?」
「お…脅しですか?」
「脅しではない。親切心だ」
「はぁ…こんな非現実的な事、誰にも言いませんよ」
「それでいい。まぁ知ったからには今後お前にも色々協力してもらおうかな。これからもよろしくな。マイナール侯爵夫人」
そう言ってパルム教授…いえパールは幼い顔に似合わない怪しげな満面の笑みを私に向ける。
親切心って…完全に脅しですよ…
ってか、なんて危ない薬を私に飲ませようとしていたのよ。
もう本当に知らないままの方がよかったのかも…
私自身は衝撃な事実を知ってダメージを受けながらも、お茶会自体は無事終了。
終始ご機嫌だったユメラと終始不機嫌だったアッシュ。
パルム教授が今後この2人にどう関わって来るかは不安だけど、この2人の未来が何事もなく平穏に迎えられる様に私はただただ願うばかりだ。
「おとーさま。おかーさま。パールさますてきだったでしょう?」
「そうだな。文句の言い様がない好青年だったな」
「……」
…好青年?
うぅ…誰にも言わないと言ったものの、ユシン様だけには話しておいた方がいいかしら…
「ユメラぜったいパールさまとけっこんする!!」
「………そっか…ユメラ…うん。でもパールはやめておこうね」
全力で宣言するユメラを私は複雑な思いでなだめる。
見た目は同年齢でも中身は30超えのおっさんだからね。
未来は誰にもわからない。
でも、私達の子供達は最後に必ずハッピーエンドを迎えられますように。
→next STORY???
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最後までお読み頂きありがとうございました。
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とりあえず、何気ない会話から入った方がいいわよね…
「えーっと…パール君はパルム教授…叔父様とはよくお会いするの?」
「叔父上ですか?」
「ええ…パール君の叔父様であるパルム教授のベルクテロス理論に私は助けられたのよ。本当に感謝しているわ。でも、気づいたら教授が学園からいなくなっていて心配していたの。パルム教授はお元気かしら?」
私の言葉にパールはすぐに返答を返さない。
「パール君?」
私は立ち止まり、パール君の顔を覗き込む。
「あっ。えっと…叔父上は元気ですよ。今は世界中をまわっているみたいで中々お会いする事はありませんが…」
「そう…」
パールはそれだけ答えるとすぐに私から視線を逸らす。
もう少し突っ込んでみますか…
「パール君はベルクテロス理論は学んでいるの?」
「えーと…少し…」
「そうなんだ。じゃあパール君の考えるベルクテロス理論について聞きたいな」
「えっ…あ…僕にはまだちょっと難しくて」
「私も全ては理解してないわ。わかる範囲で良いのよ」
「でも…僕はまだ子供だから」
“僕はまだ子供だから”?
ふーん。そう来ますか…
その言葉で私の中でグレーだった部分が確信に変わった。
もう子供相手だからという遠慮はいりませんね。
「あら。先程までとは別人みたいね。貴方なら子供だからこその目線で答えてくれると思ったのだけど…」
「……」
「パール君?」
「ちっ…相変わらず馬鹿な様で頭の回転だけは早いな…」
パールはボソリとつぶやく。
でも、私にはしっかり聞こえましたよ。
「パール君…いえ…あなたはパルム教授ですよね?」
私の確信にパール…もといパルム教授は一瞬目を見開いてから仮面を被る様に子供らしい笑みを浮かべる。
「え?僕はパールだよ?」
「もう確信しました。絶対パルム教授ですよね?」
「僕はパルムじゃないよ…」
「そう…じゃあこれだけ教えてパール………いえ。パルム教授」
「だから僕はっ…」「ベルクテロス理論の真骨頂は?」
「自分の考えを信じて進む事。そうすれば結果はどうあれ100%成功するっ」
ビシッと私はパルム教授を指差すと、パルム教授は反射的に答えてしまう。
「……」
「……」
「あれれ~。僕どうしちゃったなぁーあはは」
「さっきとキャラが変わってますよ」
「…ちっ」
「あっ。今、舌打ちしましたよね?やっぱパルム教授じゃないですかっっ。私に飲ませようとしたあの怪しい小さくなる薬とやらを飲んだんですね。もしかして戻れないのですか?」
「戻れなくはない。…ただ色々事情があるんだ」
事情?
「はぁ…どんな事情か知りませんが、なんでよりによって娘と同級生になっているんですか?」
「それは偶然だ。俺にはどうしようもない」
どうしようもないって…
「早く元に戻ってくださいよ。変な事にユメラ達を巻き込まないでください。」
「巻き込むつもりはない。ただ、すぐに戻る事はできない」
「何故ですか?戻れるなら早く戻った方がいいでしょう?」
「…」
「パルム教授?」
パルム教授は観念したかの様に深く息を吐いてから私に鋭い視線を向ける。
「薬を飲んで幼児化する際に急な体の変化に細胞が異変を起こして数年動けなくなった。体調を整え、リハビリを終えて日常に戻れたのはつい最近だ。逆に成長させるとなると身体への負担は計り知れない。下手すれば変化に耐えきれず死ぬかもしれない。だから通常通りの成長過程で身体を戻す事にしたんだ。」
「通常通りの成長過程?」
「速攻性の成長薬で一気に戻すのではなく、弱い薬を飲み続けて1年で1年分の成長をして1才年を取る」
「…という事は?」
「俺はお前の娘と完全なる同級生だ」
はい?
「まぁ。第二の人生だな」
「第二のって…」
そんなんでいいの?
「まぁ。お前の娘は俺が好きみたいだしなんなら婚約…」
「結構です。ユメラにはアッシュがいますから」
「くくく…そうか。残念だな」
パルム教授は人を揶揄う様に笑う。
「お願いですからユメラにはちょっかい出さないで下さい」
「それはユメラ次第かな」
「教授ッッ」
「それはさておき…この薬の事も俺の事も知る者は僅かで国の最大機密事項だ。」
「へっ?」
「知らない方が良かったのにな。折角俺はお前が巻き込まれない様にシラを切ってやったのに…この事が他の者に知れたらどうなるか分かっているだろうな?」
「お…脅しですか?」
「脅しではない。親切心だ」
「はぁ…こんな非現実的な事、誰にも言いませんよ」
「それでいい。まぁ知ったからには今後お前にも色々協力してもらおうかな。これからもよろしくな。マイナール侯爵夫人」
そう言ってパルム教授…いえパールは幼い顔に似合わない怪しげな満面の笑みを私に向ける。
親切心って…完全に脅しですよ…
ってか、なんて危ない薬を私に飲ませようとしていたのよ。
もう本当に知らないままの方がよかったのかも…
私自身は衝撃な事実を知ってダメージを受けながらも、お茶会自体は無事終了。
終始ご機嫌だったユメラと終始不機嫌だったアッシュ。
パルム教授が今後この2人にどう関わって来るかは不安だけど、この2人の未来が何事もなく平穏に迎えられる様に私はただただ願うばかりだ。
「おとーさま。おかーさま。パールさますてきだったでしょう?」
「そうだな。文句の言い様がない好青年だったな」
「……」
…好青年?
うぅ…誰にも言わないと言ったものの、ユシン様だけには話しておいた方がいいかしら…
「ユメラぜったいパールさまとけっこんする!!」
「………そっか…ユメラ…うん。でもパールはやめておこうね」
全力で宣言するユメラを私は複雑な思いでなだめる。
見た目は同年齢でも中身は30超えのおっさんだからね。
未来は誰にもわからない。
でも、私達の子供達は最後に必ずハッピーエンドを迎えられますように。
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最後までお読み頂きありがとうございました。
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確認、修正させていただきます。
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ご指摘ありがとうございます。
修正させていただきました。