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なんなの…この状態…
「えぇっと…」
どうしよう…入学早々こんな壁に打ち当たるとは…
とにかく早く答えなくては…
「サ…サムル殿下?」
「うーん。却下」
えぇ?
満面の笑みで却下って…
「で…では…サムル…様?」
「うーん。きゃ…「いい加減にしてください。サムル様」
サムル…様が、私の答えをたぶん『却下』と言おうとした所をアロンが止める。
久々に聴いたアロンの声は昔の少し高めの声ではなく、低くて男性らしい声。
胸がドクンっとなってしまう。
「ごめん。ごめん。反応が可愛らしくて、つい」
「あなたの悪い癖ですよ。普通の人はあなたに抗体がないのですから自重してください」
アロンがサムル様に対して淡々と言う。
「まぁ、確かに戸惑うカロリーナさんは可愛らしかったですが、カロリーナさんをいじめるのはやめてくださいよ。……後が怖い事になりますから」
怖い事?
エリーさんはサムル様に対して呆れ顔のままそう言うと、組んだまま腕をグイッと引き寄せて私の顔を下から覗き込む。
か…かゎ……
「カロリーナさん。あまり深く考えなくて大丈夫ですよ。サムルは見た目こそ爽やか王子を演じてますが,中身はかなりの腹黒ですから。まぁ…上には上がいますが…」
それだけ言ってエリーさんは引き寄せた腕を解放して元の体勢に戻るとサムル様とアロンをじっくり交互に見てフゥ…っと軽く息を吐く。
腹黒…
上には上が?
「あっ。そういえばアローンとカロリーナさんは幼馴染みなんだよね?久々の再会に挨拶はしたのかい?」
私がエリーさんの言葉に疑問を持っていると,サムル様は少しわざとらしくアロンに対して言う。
アロンはそんなサムル様に対してチッと軽く舌打ちする。
アロンっっ王太子殿下にそんな態度っ…不敬になりませんか?
心配になって、そっとアロンの方を見るとアロンも私の方に目線を向ける。
アロンは私と目が合うと、軽くため息をついてこちらに向かって歩き出した。
1歩1歩アロンが私に近づいてくる。
もうそれだけで私の心臓は張り裂けそうで、頭はショートしそうになる。
「カロリーナ。久しぶりだね。綺麗になっていてびっくりしたよ。元気だったかい?」
そんな私の状態を知ってか知らないか…私の手前50㎝程で立ち止まったアロンは淡々と社交辞令のような言葉を言う。
カロリーナ…か……
もうカロンとは呼んでくれないんだ…
そっか。そうだよね…
張り裂けそうな心臓は風のない草原のように穏やかになり、ショートしそうだった頭は冷水をかけられた様に冷えてくる。
「はい。アローンも元気でしたか?別人のようになっていてびっくりしました。」
私…今きちんと笑えているかな?
「最後にあったのは…マーベルが婚約した年だからもう5年ほど経つかな?」
「えぇ…そうね…マーベルお姉様はお元気ですか?」
「あぁ。婚約者だったロッテと3年前に結婚してもう2人子供がいる」
「お子様が?そうなのですね。久々にお会いしたいですわ」
アロンが遠い…
でも、これが現実よね。
これでいいのよ。
だって私は、マルク様の婚約者だもの…
アロンと普通に会話ができている。
これが私の望んだ形じゃない…こんな幸せな事ないわ。
冷静さを取り戻して、久々に会ったアロンにときめいてしまった自分に罪悪感が生まれる。
「えぇっと…」
どうしよう…入学早々こんな壁に打ち当たるとは…
とにかく早く答えなくては…
「サ…サムル殿下?」
「うーん。却下」
えぇ?
満面の笑みで却下って…
「で…では…サムル…様?」
「うーん。きゃ…「いい加減にしてください。サムル様」
サムル…様が、私の答えをたぶん『却下』と言おうとした所をアロンが止める。
久々に聴いたアロンの声は昔の少し高めの声ではなく、低くて男性らしい声。
胸がドクンっとなってしまう。
「ごめん。ごめん。反応が可愛らしくて、つい」
「あなたの悪い癖ですよ。普通の人はあなたに抗体がないのですから自重してください」
アロンがサムル様に対して淡々と言う。
「まぁ、確かに戸惑うカロリーナさんは可愛らしかったですが、カロリーナさんをいじめるのはやめてくださいよ。……後が怖い事になりますから」
怖い事?
エリーさんはサムル様に対して呆れ顔のままそう言うと、組んだまま腕をグイッと引き寄せて私の顔を下から覗き込む。
か…かゎ……
「カロリーナさん。あまり深く考えなくて大丈夫ですよ。サムルは見た目こそ爽やか王子を演じてますが,中身はかなりの腹黒ですから。まぁ…上には上がいますが…」
それだけ言ってエリーさんは引き寄せた腕を解放して元の体勢に戻るとサムル様とアロンをじっくり交互に見てフゥ…っと軽く息を吐く。
腹黒…
上には上が?
「あっ。そういえばアローンとカロリーナさんは幼馴染みなんだよね?久々の再会に挨拶はしたのかい?」
私がエリーさんの言葉に疑問を持っていると,サムル様は少しわざとらしくアロンに対して言う。
アロンはそんなサムル様に対してチッと軽く舌打ちする。
アロンっっ王太子殿下にそんな態度っ…不敬になりませんか?
心配になって、そっとアロンの方を見るとアロンも私の方に目線を向ける。
アロンは私と目が合うと、軽くため息をついてこちらに向かって歩き出した。
1歩1歩アロンが私に近づいてくる。
もうそれだけで私の心臓は張り裂けそうで、頭はショートしそうになる。
「カロリーナ。久しぶりだね。綺麗になっていてびっくりしたよ。元気だったかい?」
そんな私の状態を知ってか知らないか…私の手前50㎝程で立ち止まったアロンは淡々と社交辞令のような言葉を言う。
カロリーナ…か……
もうカロンとは呼んでくれないんだ…
そっか。そうだよね…
張り裂けそうな心臓は風のない草原のように穏やかになり、ショートしそうだった頭は冷水をかけられた様に冷えてくる。
「はい。アローンも元気でしたか?別人のようになっていてびっくりしました。」
私…今きちんと笑えているかな?
「最後にあったのは…マーベルが婚約した年だからもう5年ほど経つかな?」
「えぇ…そうね…マーベルお姉様はお元気ですか?」
「あぁ。婚約者だったロッテと3年前に結婚してもう2人子供がいる」
「お子様が?そうなのですね。久々にお会いしたいですわ」
アロンが遠い…
でも、これが現実よね。
これでいいのよ。
だって私は、マルク様の婚約者だもの…
アロンと普通に会話ができている。
これが私の望んだ形じゃない…こんな幸せな事ないわ。
冷静さを取り戻して、久々に会ったアロンにときめいてしまった自分に罪悪感が生まれる。
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