【完結】はい、かしこまりました。婚約破棄了承いたします。

はゆりか

文字の大きさ
79 / 92

77.

しおりを挟む
「折角ですから膿は全て出し切った方が良いでしょう?」

呆れ返る国王に向かって、サムル様はニッコリと楽しそうに言う。

「おまえは…全く…こんな時にも楽しそうだな」

「楽しそうだなんて…父上。私は国の為を思って色々行っているだけですよ。自身の楽しみの為にやっているのではありませんから。実際、マルクの事だって心痛めているのですよ。」

痛めてると言いながらも変わらずの笑顔で語るサムル様。

絶対楽しんでますよね…


「あ…そうそう。マサラダ公爵。折角、トルネ嬢がずっと恋焦がれていたマルクとの子供を身籠もり、陛下から結婚を承諾されたのに公爵家に入れられないなんて…そんな寂しいことを言わないでくださいよ。ねぇトルネ嬢」

サムル様はマサラダ公爵とトルネ様の前まで一歩づつゆっくり進むと優しい口調で話しかける。


「それとも、トルネ嬢はマルク自身ではなく、マルクの第二王子と言う身分に恋をしていたのかな?」

「……」

トルネ様はサムル様の言葉に何も答えることができず悔しそうに俯く。


「どちらにしても新たに宿った生命に“何の価値もない子“と言うのは人間としてどうかと思いますよ。公爵」

「そ…それは言葉が過ぎました。申し訳ございません。ただ、マルク殿下…いやあの男をトルネのお腹の子の父親だからと歴史ある我が公爵家に迎い入れることはできません。平民となったと言うだけならまだしも、王家を…国民を騙した主犯の人物…要は謀反者ですから」

「マルクは真実を知らなかったのですから仕方ないでしょう」

「だとしても、許される事ではありません。迎い入れるとなれば我が公爵家の品位が損なわれます」


「公爵家の品位…ね…」

サムル様はマサラダ公爵の言葉に軽く頷くと、フッと怪しげな笑みを浮かべる。


「もうそんな物とっくに無いではないですか」

「はっ?」

「こちらであなた方のことも調べていないとでも?ハリストン元公爵やマサラ元王妃のことを調べ上げたのです。あなた方の事だって全て調べ上げていますよ。マサラダ公爵、キャスティン侯爵、そして叔父上…父上の暗殺を実行されようとしたモーメント侯爵。」


「なっ…」
「王太子殿下…何を…」
「……」

サムル様に名前を言われた3人は表情を変える。

「あなた方は、2人の謀反犯の立派な協力者じゃないですか。詳細をお話し致しましょうか?」

サムル様がそう言うと、アロンがサムル様の隣まで行き厚くまとめられた書類を読み始める。


「まずは、マサラダ公爵。修道院にいたマサラ元王妃を自身が裏経営している娼館に招致。ハリストン元公爵と密会の為の場所を提供。そしてその裏でマサラ元王妃との肉体的関係も持っていましたね。」

「なんだとっ…」

アロンの証言に国王が驚き声を出す。

「次に、キャスティン侯爵。財務大臣と言う地位を利用してハリストン元公爵とマサラ元王妃に対して資金的援助を行い、その穴埋めを無実のラライ子爵に被せましたね。あなたも…金銭的援助を理由にマサラ元王妃と関係を続けていた…」

「……」

あまりの事に国王はもう言葉を失う。


「最後に王弟のモーメント侯爵…あなたは現国王…実兄に対して劣等感を抱き続けていた。ハリストン元公爵から話をもらってから実兄を陥れようと積極的にハリストン元公爵とマサラ元王妃に協力をしていましたね。

そして、貴方は実兄を落とし入れたい為だけにマサラ元王妃と関係を持っていた。現国王はマサラ元王妃を溺愛しているという噂もありましたから、そんなマサラ元王妃を手中に入れて優越感に浸っていたのでしょうか…」


アロンがそれだけ言い終わると、サムル様がポンっとアロンの肩を叩きアロンが持っている資料を奪ってフッと笑みを浮かべる。


「まぁ…実際、父上は溺愛なんて程遠くマルクとマサラ元王妃義母子を憐れんでいただけだったけどな。

それにしても、叔父上はハリストン元公爵やマサラ元王妃の駒として本当に色々な裏作業をされていた様ですね。

現国王父上亡き後に貴方を国王にするとでも蜜約されていたのですか?だとしても、国王暗殺はやりすぎですよねー。

暗殺はハリストン元公爵の差金ですか?それとも叔父上が提案を?」


サムル様の追求に今までずっと沈黙を守り、無の境地にいたモーメント侯爵はカッと怒りを露わにする。


「だからなんだ?それを知ってどうする?私は兄上よりも優秀な人材だった。故に前国王父上に恐れられ、邪険に扱われていた。私こそが国の上に立つにふさわしい人材だ。私が国王だったらこんなくだらない騒動など起こさなかった。

兄上が…兄上がもっとしっかりと私が尊敬出来る王であったら私だってこんな事はしなかった。

兄上が中途半端だからこんな事になった。兄上のせいで王家が…偉大で崇高な王族がこんなスキャンダルめいた事に巻き込まれたっっ
これはあってはならない事態問題だ。兄上は自身を恥じるべきだ。」


モーメント侯爵は張り詰めていた糸が切れたかの様にまくしたける。


「ローリー…」

そんな弟の姿に国王は静かに…悲し気に弟の名を口ずさんだ。
しおりを挟む
感想 90

あなたにおすすめの小説

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

病弱な幼馴染を守る彼との婚約を解消、十年の恋を捨てて結婚します

佐藤 美奈
恋愛
セフィーナ・グラディウスという貴族の娘が、婚約者であるアルディン・オルステリア伯爵令息との関係に苦悩し、彼の優しさが他の女性に向けられることに心を痛める。 セフィーナは、アルディンが幼馴染のリーシャ・ランスロット男爵令嬢に特別な優しさを注ぐ姿を見て、自らの立場に苦しみながらも、理想的な婚約者を演じ続ける日々を送っていた。 婚約して十年間、心の中で自分を演じ続けてきたが、それももう耐えられなくなっていた。

お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】 私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。 その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。 ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない 自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。 そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが―― ※ 他サイトでも投稿中   途中まで鬱展開続きます(注意)

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ

ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」 ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。 「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」 何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。 都合のいい女は本日で卒業。 今後は、余暇を楽しむとしましょう。 吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...