【完結】生まれたときから今日まで無かったことにしてください。

はゆりか

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番外編 エリアーナside⑥

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アエリアには幸せになってほしい。
ケンビットなら大丈夫。ケンビットのアエリアへの気持ちは本物だから。

ケンビットはアエリアをどんな状況からも守って愛が溢れる幸せな関係を築いてくれる。

そう……思っていた。

しかし、ケンビットは相変わらずアエリアを大切に愛おしく見つめ接してはいたが、最近やたらとアエリアの義姉であるマリーナと2人きりで話をする姿を見かけるようになった。


(なぜ、マリーナと?)

私の中でモヤモヤした気持ちが生まれはじめていた。



そんな気持ちが出て来た頃、衝撃的な出来事が起きた。

「エリアーナ様。先程、王太子殿下がお見えになられました。それで……その……」

バルメルク家に昔から勤めているメイド長のマネが私に気まずそうに報告にくる。

「なに? ケンビットがどうしたの? 報告があるならはっきり言って」

「……その……殿下はアエリア様を訪ねて当邸に来られたのですが、アエリア様はハウゼン教授の授業中で、偶然居合わせたマリーナ様がただ今対応されております」

「マリーナが?」

「はい。それで……マリーナ様が殿下がアエリア様へと持ってきたお菓子をアエリア様が来られる前に開封されてお食べになり……その……マリーナ様の手から殿下の口にも……」

「何ですって⁉︎」

私は思わず怒りを露わにして読んでいた公爵領に関する重要な書類を破いてしまう。

「もうじきアエリア様が合流されていると思いますがどうされますか?」

マネは私のこんな奇行には慣れっこなので顔色一つ変えず聞いてくる。

私は、大きく息を吐いて、額に手を当てて考える。

ケンビットがアエリアを想っている事に間違えはない。
マリーナにも自身が望んだ婚約者がいる。
おかしな関係になっている訳では無いと思う。

では、マリーナは何でそんな奇行を?  

正直、すぐにでも2人がいる部屋に行って怒鳴り散らしたい。
でも、私は気分を落ち着かせる為に深く深呼吸をする。

「とりあえずマリーナがどうしてそんな事をしたのか知るのが先決よね。アエリアとケンビットの事はそれから対処しましょう。マリーナには私から直接確認するから、また何かあったら報告して頂戴」

「かしこまりました」

私がそう伝えるとマネは頭を下げて部屋を出て行いった。


その夜、私はマリーナの部屋に向かい「ケンビットとの距離が少し近いんではないか?」と直接話をした。

マリーナは悪びれる事などなくキョトンとした顔で『2人の間を取り持っているだけですわ』と言った。

2人の間を取り持つ?
邪魔をしているのでなくて?

疑問におもったが、マリーナは2人の仲はを案じていると私に語ってきてその話を聞いている内に納得してしまった。

納得したもののなんだかモヤモヤとした気持ちが残った。


それからしばらくして、災害が起こったコスタル村の復興に尽力してくれたグランドールメイル帝国の皇帝を招待した“感謝の宴”を行う事が知らされた。


この国の宰相であるフェルトンと次期王妃になるアエリアは準備の為、忙しい日々を送っていた。

そんな中、フェルトンに代わって私が公爵家に関する仕事を行っていると、焦った顔をした執事頭のモンテーヌが急に部屋に入ってきた。

「そんなに慌ててどうしたの? モンテーヌ」
「申し訳ございませんっ‼︎ さ……先程、ドレスの協会から連絡が入りまして……」
「協会? 宴の為のドレスならもう届いているわよ?」
「いえ……その……アエリアお嬢様の」

モンテーヌが額にかいた汗を拭きながら動揺しながら言ってくる。

「はい? アエリアがどうしたの?」
「ア……アエリア様のドレスが準備されていないと連絡が……」

「え?」

私は思わず固まってしまう。

アエリアのドレスはケンビットが用意しているはず。
今までもそうだったし、今回も例外ではないはず……


何で準備されてないの?

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