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六話 魔法の説明と実験

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スピカが自信満々にたくさん話してくれた。案外ちょろい。
魔法を使うには手に何が出てくるかをイメージしていく。そしてそのイメージを崩さなければ自然と光が集まってくるらしい。ちなみにその光は自然から出てくるのもあるがそれはあまりなく、大体が魔物の死骸だという、さらに魔物というのは光を常にまとっている動物を魔物というらしい。そして魔物にも属性がありちゃんと木属性や水属性などがあるという、死んだ魔物が木属性だとしたら死骸から黄緑色の光が出るという。でも何故か光になる前に角などの素材を取ってしまえばその素材は消えることは無いという。だいぶ話がずれたけどつまりはイメージが大事ということだ。イメージがあまり得意ではない人は剣術の道に進んだりもする。イメージか....多分得意だと思うから行ける気がする。

(無理はしないでね?あと伝え忘れていたけど集めるにも力が必要なの、だから気持ち悪くなったりしたらちゃんと休んでよ?)

《魔力》が切れるとなんか色々体調不良になるんだ、覚えとかないと、....といっても何がいいかな、やっぱ王道?私が気合を入れ、手を前に出す。それだけですごい緊張した。
手を出すとすごい何かが集まってくるような感覚がある。目には見えないけど何かが手の上にのっていた。...そう言えば詠唱とかって決めてなかった。けど考えるのも面倒くさいような感じだし。

『.....ダークアロー』

そう迷いながらボソッと言っただけで真っ黒な矢が木に勢いよく刺さり、木が折れた。

「 (.....へっ?) 」

私とスピカは開いた口が塞がらなかった。それはそうだ、だって本人でさえもこんな威力になると思ってなかったのだから。

(あ....あ.....貴方...?えっ?無詠唱でこんな威力?まず無詠唱?....はぇ?)

あ、ダメだスピカ混乱しまくってる。無詠唱でやったけどそんなにすごかったのか...けど、無詠唱だからってこんなにも威力は出るものなのか?あ、ダメだ自分もなんか色々考えてしまう。落ち着こう。うん、落ち着きは大事。私は大きく深呼吸をした。

「スピカ?落ち着こ?ほら深呼吸、深呼吸、」

私の掛け声と共にスピカも深呼吸する。落ち着いたかな?やっぱり深呼吸は落ち着くのにぴったりだな。

(ふぅ....って落ち着ける訳ないでしょうが!!!!なんなの!?いきなり無詠唱で‼しかもあんな威力なんて!!信じられるわけ無いでしょ!?)

あわわわわ落ち着けないのが更にヒートアップしたみたい。いきなり大声を出されたから鼓膜が破れそうだ。

「やっぱり、無詠唱ってやばいの?」

(はぁ?それはそうに決まってるじゃない。あのねぇ、まず詠唱もなしにこんな威力出せるのがおかしいのよ。普通は無詠唱より詠唱があったほうが威力は少し上がるのよ。だから皆んな詠唱するわ。なのに....はぁ....もしさっきの威力のまま詠唱したらって思うとゾッとするわ。もうなんてことをしてくれたのよ。)

がっくりと肩を下ろすスピカを見て私は苦笑いしか出来なかった。
う~んでも他にも色々と試したいし、確かにすごい威力が出たけどもし他の魔法を使ってみたらどうなるんだろ。せめてあと2つぐらいは欲しい。

「あのさ...無詠唱でこんな威力出せるのには自分もびっくりだよ。だけどせめてあと2つぐらいは魔法を習得したいの‼お願い‼」

手のひらを合わせてお願いしたらスピカはすごく困ったような顔をしていたけど何かを割り切ったように納得したような顔をした。

(はぁ....分かったわ。じゃああと2つよ‼それ以上は許さないんだから‼)

私はよしっ!とガッツポーズを決めてまた気合を入れて木に向けて手をかざす。
ちょっと広範囲の魔法がいいな...ゲームであった広範囲で攻撃力の高い...そう、例えばやりみたいな...

『シャドウスピア』

影から真っ黒な漆黒の矢が突き出る。木があっという間にボコボコと穴が空いていった。そしてどんどん槍が出る範囲は広がっていった。

「あれ?なんかやばくない?」

(ちょちょちょ、やばいわよ‼一体何したっていうのよ‼)

「いや、ただちょっと影から槍が出たらいいな~って思っただけで...」

(はぁ!?貴方馬鹿なの‼ここは森なんだから影がたくさんあって当然じゃない‼このままだと私達、串刺しにされるわよ!!)

そうワタワタと話しているうちにどんどん黒い槍が影から出てくる。
このままじゃほんとにそうなっちゃう。でももうどうしようもない。あ、突破口見つけたかも。

「スピカ‼私につかまって‼」

(はぁ!?わ、分かったわよ‼)

「ありがとう‼」

私は目をつぶってイメージした。どうやって飛ぶかを...色、形、全部。

『ダークフェザー』

私の背中からバサッと漆黒の羽が出てきて羽ばたいたらものすごい勢いで上に上がっていった。いきなりの風圧に耐えきれなくて頬が下に垂れ下がりそうだ。その顔を見てスピカは上昇してるのにも関わらずお腹を抱えて大爆笑していた。やっと上昇が止まって下を見たらもう飛行機と同じレベルの高さにいて私は背筋が凍った。だから少しスピカが大爆笑してるのを見て少し腹がたった。
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