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十九話 金貨、銀貨、銅貨

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「はい。なんでしょうか。」

「できれば私がイディオスを倒したことはあまり広めないで欲しいんです。」

「それはもちろんこちらでは言いません。ですが....」

カリーナは悩んだ様子で考え込んでしまった。

「他がどうかと思います....」

他?とは。まぁギルドで言わないんだったら一先ずは安心だろう。

「ありがとうね。他がどうとかはわからないけど。」

そういって私はお礼をいい。その場に残るカリーナに手を振った。カリーナは深くお辞儀をしていた。倉庫からでてもザワザワは終わらなかったけど私は気にもせずにレイドさんと一緒にギルドの外へ出た。その後、スピカが(お腹が空いた‼)と耳元で言うので私達は食事処へ向かった。レイドさんが案内したのは〈コメドール〉というまぁまぁ大きいフードコートみたいな所だった。スピカはその匂いに釣られて姿を現したが姿を消すような素振りを見られなかったので私のシャツの中に素早く閉まった。

「ここを俺はよく使う。色々とあるからこの街の大食堂みたいなものだ。」

「大食堂って言うかフードコート....」

「何だそれ?」

「まぁ色々な種類が食べられる食堂みたいな?色々な店が一つにまとまってやってる所。」

「ここは一つの店が色々な料理を出しているがな。」

中に入るとホントに一つの店が沢山のキッチンで色々な料理を出していた。デザートや定食、おつまみなど、コーナーに分かれて提供していた。

「今日はパーティー結成もとい俺に対する依頼が来たということで俺の奢りだ。」

(やったぁぁぁああ‼)

「依頼かは知らないけど、遠慮なくいかせてもらいまぁす‼」

「じゃ、俺席を取ってくる。決まったら来いよ。」

レイドさんはレイド兄さんだよ‼カックイイ‼お兄ちゃんしてるぅ‼
スピカと私は上にあるメニュー表を全部見ながらよだれを垂らしていた。そして私とスピカは何を食べるかを決め、レイド兄さんのところに急いで戻った。

「兄さん‼兄さん‼私、肉食べたい‼ビフテキ‼」

(私はぱんけーき?が気になるわ‼)

「マジかよ...はぁ。まぁ俺がいったことだしな。買ってこい。俺は水だけでいい。」

そう言って私の手に銀貨1枚が置かれた。

「銀貨1枚で買えるだろ。これで買ってこい。」

私にはその銀貨がとても重く感じた。レイド兄さんは簡単に渡したけど自分にとっては初めての銀貨だ。

「ねぇ銀貨10枚で金貨1枚になる?」

「ああ、そうだが?」

やっぱり、銀貨10枚で金貨1枚‼う~んほんとになんとなくだけどわかってきた。

(何やってるのよ‼早く行きましょ‼)

「あ、うん‼行こう行こう‼」

私達はパンケーキの方に走って向かった。パンケーキは普通のプレーンしかなかったけどスピカはそれで満足だったようだ。ちなみにパンケーキは銅貨20枚でお釣りとして銅貨80枚を渡された。そこで私はお金の価値がわかった。銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚。結構大雑把計算は多分出来る方だから大丈夫....スピカはレイド兄さんの席に戻っていき、私はビフテキの方にいった。ビフテキは銅貨40枚....たっけぇ...パンケーキの2倍かよ。まぁけどレイド兄さんのお金だし、大丈夫でしょ‼私は銅貨を40枚渡してビフテキをもらってレイド兄さんの席に戻った。

「はい。お釣り、ありがとう。奢ってくれて。」

「....まぁこれから稼ぐしな、大丈夫だろ。もう金貨40枚あるしな。」

まぁまぁ懐が潤ってるけど一応心配はしておこう。これから稼ぐとはいえいつすっからかんになってもおかしくはないと思うし。私はビフテキを食べようと思ったらもうスピカがパンケーキを美味しそうにほうばっていた。私は目の前にビフテキがあるけどパンケーキも食べたくなってきた。でも私のお腹は肉を欲している。肉が食べたい‼私はナイフとフォークで肉を大きく切り、かぶりついた。肉をかぶりついてまず最初に来たのが肉というパンチだ。けれどその後から肉を柔らかくしたであろう玉ねぎと赤ワインの香りが口の中でいっぱいに広がる。が、くどくない。周りの野菜、人参、じゃがいも、一緒に食べることで肉の旨味を最大限にまで引き出している。この世界に来て一番うまい食べ物だ。感動だ。私はそのまま肉をかぶりつきながら全部食べ終わった。結構肉が重くてお腹いっぱいになった。
レイド兄さんは水をちびちびと飲みながら窓から外を見ている。スピカもお腹いっぱいになったのだろう。とても満足そうにお腹をさすっている。
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