ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

文字の大きさ
9 / 290
第一章 アクセルオンライン

8話 初心者応援キャンペーン

しおりを挟む

イノチたちは森の中で見つけた洞窟に移動し、休息を取ることにした。


「なんか地図とかないのかな…この森広すぎて、どっちへ行けばいいかわからん。」

「確かにね…木の上に上がって見渡しても、360°視界の全部が森とかあり得ないわ。」


エレナもそれには同意する。


「アイテムボックスの中になんか入ってないのか調べたいけど、開き方わかんないしさ…アリエルのやつ、いろいろと大事なことを教えてくれてないよな…」


ため息をつくイノチに対して、エレナは頬杖をついたまま問いかけた。


「アイテムボックスの中身って、頭で念じて口に出せば出てくるのよね?おんなじことをアイテムボックスを対象にやってみたら?」

「あっ…なるほど!エレナ、冴えてるね!」


喜びながら実践し始めたイノチを見て、なぜその考えにいたらないのか不思議そうに、エレナはジト目を向ける。


「…なんも出ないな。」


結果として何も出てこず、イノチが困ったように頭をかいていると、どこかでバイブレーションが鳴る音が聞こえてきた。


「…あれ?バイブの音だ…どっからだろう。」


イノチがそう言って立ち上がると、上着の胸あたりから黒い端末が落ちる。


「…なんだこれ?」


イノチが拾い上げたそれは、手のひらサイズの真っ黒な端末であった。


「携帯みたいだけど…スイッチとかあんのかな?」

「なんなの?それ…」

「あっ…おい!」


イノチがいろいろと試していると、エレナがやってきてそれを取り上げた。エレナはもの珍しそうにその物体をさまざまな角度から観察している。


「…うんともすんとも言わないじゃない。壊れてんじゃないの?」

「…わかんないけど、携帯みたいだからどっかにスイッチがあるはずなんだよなぁ。」

「…スイッチねぇ。案外、魔力を通すとかだったりしてね。」


エレナはそう言って、イノチにそれを返した。その言葉を聞いたイノチは閃いたようにエレナを肯定する。


「魔力…そうだよ!それだ!エレナって閃くの得意だな!」

「え…えぇ、まぁね…」


満面の笑みで褒めてくるイノチに、エレナは照れたようにそっぽを向く。


「さっそくやってみよう!…と言いつつ、どうすれば魔力を通せるんだ?」

「…あんた、基礎魔法は使えたんでしょ?それと同じように魔力を手に集めるようにしたらできるはずだけど…」

「手に集めるか…こうかな…?」


イノチは端末を持っている手に、魔力が集まるイメージをしてみる。するとエレナの予想とおり、その画面に『Now loading』文字が浮かび始めた。


「おっ!ついた!エレナの言うとおりだったな!」

「フフッ、感謝しなさい!」


エレナは、鼻を伸ばして自慢げに笑う。二人がそうこうしているうちに、画面が切り替わって、別の文字が浮かび上がってきた。


「ん…Z…って表示されてるな。なんかのエンブレムとかかな…?」

「あっ…なんかまた画面が変わったわね。」

「これがホーム画面だな…おっ!これ、このアイコン!アイテムボックスって書いてあるぞ!」


二人で画面を覗き込んでいると、ホーム画面が表示され、そこにはいくつかのアプリがすでにダウンロードされているようだ。

その中からイノチが『アイテムボックス』を発見する。


「さっそくボックス内を確認してみよう。」


そう言ってアイテムボックスのアプリに、イノチが指を伸ばしかけたその時、「ピロン」と何かの通知音が流れ、画面の一番上に通知メッセージが表示された。

そこには『初心者応援キャンペーン!今なら10連ガチャが1回無料!さらに高レアリティの排出率がUP!』と表示がされている。

エレナはそれを見て、ハッとする。
しかし、すでに遅かった…

頭を抱えるエレナの横では、イノチが目を星マークにして、画面を眺めている。


「…BOSS、もしかして…」


エレナが声をかけると、目を輝かせてイノチが振り向いた。


「なぁ…引いていいかな!なぁ!」

(…うっ、キモい…)


顔を寄せてくるイノチを敬遠するように、エレナはため息をついて、それに応じた。


「いいんじゃないの…?その代わり…それを引いたら地図を探して、街を目指すわよ…」


イノチは嬉しそうに目を輝かせたまま、何度も何度も縦に首を振るのであった。





二人はせっかくなので、洞窟から出てガチャを引くことにした。
洞窟の前はすこし広場になっていて、他の場所と比べて陽の光も差し込んでおり明るいためだ。


「そんじゃまあ、いっちょ引いてやりますかね!」


イノチは手を前に伸ばして、ストレッチをしながらそう呟く。

エレナはと言うと、少し離れた切り株の上に腰をおろして、イノチの様子を眺めていた。


「はぁ~最初から気づいてたけど、うちの BOSSは変わりもんね…」


あきれたようにため息をつくエレナを尻目に、イノチは魔法の言葉を唱える。


「ガチャガチャ!」


イノチの目の前に現れたガチャウィンドウには、さっきとは違い、ノーマルガチャ、プレミアムガチャ、そして、初心者応援ガチャの3種類のアイコンが表示されている。

イノチは迷わず初心者応援ガチャをタッチした。すると、切り替わった画面には10連ガチャだけが表示されていて、『一回だけ無料』の注意書きが書かれていた。


「さぁてさてさて、応援キャンペーンなんだから頼むぜぇ!」


誰にお願いしているのかわからないが、イノチは一人でそう言うと、エレナの方に顔を向け、大きく声をかける。


「エレナァ!今から引くね!!」


エレナはそれに目は合わせず、手だけヒラヒラと振って応える。

イノチは画面に向き直ると、気を引き締め直して『10連ガチャ』のアイコンをタッチ
した。

前回と同様、画面がいったん暗転し、再び明るくなると、白髪白ひげの男が、相変わらずムキムキな上半身を見せつけるように、担いでいた大きな砂時計を反転させる。


「せめてSR…せめてSR…せめて…」


イノチは拝むように目をギュッとつむり、手をすり合わせて、祈っている。

画面では、反転した砂時計がフォーカスされて、落ちていく砂の中から輝いた光の球が飛び出してくる。

イノチはその瞬間、カッと目を見開いてその結果を確認していった。


「白……白……白……白……」


徐々に、イノチの表情が青くなっていく。


「白……白……白……金!よし!…あと2つ!!」


金が出たことで『R』は確定した。
イノチは少し落ち着きを取り戻して、残りの二つの結果を注視する。


「…残り…ひとつ目…金だ!うしっ!…最後は…」


最後のひとつをジッと見つめるイノチであったが、結果は無常にも『白』であった。

がっくりとうなだれるイノチに対して、エレナが近づいてきて労いの言葉を与える。


「今回は仕方ないんじゃない?そんなにたくさん高レアリティがでたら、そんなのもう反則でしょ?」

「…うん、まぁそうだな。エレナの言うとおりだよ。今回は諦めるわ」


イノチが気持ちを切り替えて立ち上がると、ふと、画面を見たエレナが、イノチに話しかけてきた。


「ボッ…BOSS?画面が少しおかしいわよ?」

「え?」


その言葉につられて、画面に目を向ける。すると、最後に出た白色の球の前に白髪白ひげの男性が立っており、何やら準備を始めている。

手に瓦を何枚も持ってきて、彼は白球の上に積み始めているのだ。


「こっ…これはもしや…」


驚くほどイノチにつられて、エレナもゴクリと喉を鳴らして画面を見つめる。


「…確定演出か!!?」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない 

堀 和三盆
恋愛
 一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。  信じられなかった。  母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。  そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。  日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...