ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

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第二章 始まる争い

25話 天運

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「イノチ、どうする気だ!?」

「簡単さ、こうするんだ!」


イノチはそう言うと、右手に発動していた『ハンドコントローラー』で自分の身体を触り出したのだ。


「何を…しておるんだ?」


理解できないといった表情を浮かべているウォタ。
自分の体を触り続けるイノチの姿は、はたから見ればただの変な人だろう。


「気でも狂ったのか?」

「違げぇーよ!!確かにこの『ハンドコントローラー』は自分には使えない…自分には、な!!」


次の瞬間、ウォタは少し驚いた顔をした。
なぜなら、イノチの目の前にキーボードと画面が現れたからだ。


「俺自身には使えない…けど、装備には使えるんだよ!」

「なるほど!」


キーボードに指を走らせながら話すイノチは、とても自慢げだ。ニヤニヤと笑みを浮かべて、懐にいるウォタを見ている。

感心していたウォタも、その顔を見て若干イラっとした。


『ハンドコントローラー』の性能を把握する際、その能力が及ぶ範囲はいったいどこまでなのか、イノチはしっかり確認していた。

そして、その結果、対象範囲は自分以外の全てであった。

自分以外のものならどんなものでも『書換』が可能。
性能を高めたり、劣化させたり、形やその性質すらも変えることができるのである。

まさにチート級アイテムと言って良いのだが、対象に触れないと使えないため、戦いにはあまり向いていないのも確かである。


コードを『書換』えていくイノチを見て、ウォタが意地悪そうに口を開く。


「どうでも良いが、奴はそろそろ起き上がるぞ。」

「えっ…?!マジか!!」


ウォタに言われて『ウィングヘッド』に目を向ければ、触手を使って立ち上がろうとしている様子がうかがえる。


「やっべぇ!!急がないと!!」

「お主のその装備…それをどうするんだ?」


いつもと違い、少し焦った様子のイノチに向かってウォタが声をかける。


「…ん!?これか?結論から言うと魔力を吸収する素材に『書換』えるんだよ!」

「魔力を吸収する…素材に?」

「あぁ…あいつはあのドラゴンの頭から魔力波を放っているらしいんだ。それを俺の体から出てる微量の魔力に当てることで、居場所を感知しているらしい。なら、その魔力波を吸収できるようにしてしまえば…」


キーボードを叩く手に力が入る。


「見つけた!これだ!『materials(素材)』!」


叫ぶイノチを横目に、ウォタは目の前の画面に目を向ける。


〈!up world〉
〈Authority;code zeus〉
 〈Special Athy code = ※※※※〉
〈exceed one's competence = "inochi"〉




〈equipment name = "magic robe"〉
  〈materials = cotton,aquataratect of yarn〉





「この『materials(素材)』の部分を『書換』えてと…」


目の前に並ぶわけのわからない文字列にウォタが混乱していると、イノチの手が止まった。

ウォタは訝しげに感じて声をかける。


「イノチ…?どうした…?」

「…」

「おい!何をふざけとるのだ!奴はもうすぐ立ち上がるぞ!」


イノチの無言の態度に、ウォタが声を荒げる。
すると、イノチは汗をダラダラと流しながら、困惑した表情をウォタに向けた。


「やべぇ…俺、魔力を吸収する素材とか知らね…そもそもそんな素材あんのか…」


ウォタは大きくため息をついた。
そして、一言だけイノチへ伝える。


「ブルークォーツにしてみろ。」

「えっ!?」

「いいから早くせい!」

「おっ…おう!」


ウォタの言葉に驚きつつ、イノチは再びキーボードを叩いていく。


「ブルーは、『blue』…クォーツってどう書くんだ?」

「『quartz』でクォーツだ!早くしろ!奴が立つぞ!」

「わわわわ!『quartz』…『blue quartz』!!これでよし!!」

「グォォォォォォォォォ!!」


イノチがエンターキーを打つと、装備している『魔導のローブ』が輝き始めた。それと同時に『ウィングヘッド』が立ち上がり、大きな咆哮を上げる。

その声は明らかに怒気を含んでいて、いつもより大きく鋭く感じられた。


「…して、お主の思惑通りいくのか?」

「わっ…わかんねぇよ、そんなの。」


イノチとウォタがその様子を注視していると、『ウィングヘッド』は地響きを立てて歩き始める。

イノチはその動作に生唾を飲み込んだが、その歩みには明らかに困惑の様子が見られた。

今までいたはずのイノチの気配が感じられないのだろう。
触手をあちらこちらに広げ、『ウィングヘッド』はイノチを探すようにうろうろとしている。


「うまくいったみた…ムグッ…?!」


イノチが言葉をこぼした瞬間、ウォタがその口を覆う。
スッと触手がこちらを向いたのが見えた。
どうやら、音にも反応しているようだ。


(このままやり過ごすぞ…)


ウォタが静かに耳元で囁くと、イノチは何度も首を縦に振る。

目の前で『ウィングヘッド』が触手を広げて歩いていくのを、二人はジッと見つめていた。

しかしここで、イノチたちにとって予想外の事態が発生する。


(むっ…奴め、止まりおった。さっさと行けばいいものを…)

(おっ…おい、なんか触手の動きが変わってないか?)


立ち止まった『ウィングヘッド』が、小さな咆哮を何度も上げつつ、無数の触手を乱雑に振り回し始めたのだ

触手が暴れる範囲がどんどんと大きくなり、壁や天井がえぐられていく。

それを見たイノチは、ウォタへと意見する。


(ウォ…ウォタ、これは逃げた方が良くないか?)

(うっ…うむ、我もそう思っておったところだ…)


ガガガガッ!


突然、自分たちの真上の壁が触手によって大きく削られる。


「逃げるぞ!イノチ!あの触手はまずい!!」

「勘弁してくれよ!何だってんだ!!」


とっさにウォタを抱えて走り出すイノチ。
その音に気がついた『ウィングヘッド』は、イノチたちがいたであろう場所に無数の触手を叩き込む。


「げぇ…!」


元いた場所が跡形もなく削られたのを見て、イノチは驚きの表情を浮かべた。

あんなのに打たれたらひとたまりもない。
早くここから離脱して体制を整えなくては。

そう思った瞬間だった。


「イノチ…!よけろ!」

「えっ…!?」


死角からイノチに向かって飛んでくる一本の触手。
それに気づいたウォタが大きく声を上げる。


「わわわわ…!うわぁぁぁぁ!!」


ザシュッ!


当たったかのように見えた触手は、イノチの『魔導のローブ』の一部だけを奪い去っていった。


「しっ…死んだかと思った…」

「間一髪…だったな…」


うつ伏せに倒れ込み、大きく息を吐くイノチ。
たまたま石につまづいて転んだことが功を成したようだ。

そのまま『ウィングヘッド』は暴れながら、通路の先へと消えていった。


「まさに…"天運"だな…」


ウォタの言葉にイノチはうなずくと、『ウィングヘッド』とは別の方向へと静かに進んでいく。


「あいつから、いったん距離をとるぞ!」
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