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第三章 ランク戦開催
プロローグ 運営会議
しおりを挟む「今日の会議で決定だっけ?」
「はい…今日皆さまが集まる会議の議題が、まさしく『ランク戦の開催』ですので。」
「まぁ…1ヶ月後かのぉ。」
見たことのある後ろ姿の三人が、通路を歩いている。
一人は黄金の髪とエメラルドブルーに輝く大きな瞳に、とても美しい容姿の女性、ウンエイだ。
もう一人は、金髪の髪の毛がとても美しく、まつ毛の長い大きなブラウンの瞳が特徴的な美少年、悪戯な笑みを浮かべているロキ。
そして…大きな背中をゆっくりと揺らし、二人の真ん中をゆっくりと歩く巨漢。
筋肉質な上半身と腰に巻いた白い布が、一際目立つその男は、顔に立派な白いひげを携えている。
彼が歩くたびに、ロキの小さな体が浮かび上がるのではないかと思えるほど、その大きな足が床を踏みしめていく。
三人はそのまま横並びで歩く。
その先には明るい光が見え、その先からはは話し声などの喧騒が聞こえてくる。
「全員、来とるんかの?」
「…と聞いております。」
「さっさと終わらそうよ…めんどくさいし。」
「まぁ、そういうな。皆が集まる貴重な時間なのだ。」
真っ白なあごひげをさする男は、ロキの頭にポンポンと手を置いた。
「さぁ、入場でございます。」
ウンエイの言葉に二人はうなずきながら、その光の入口を通り抜けた。
突如、歓声が湧き上がる。
いや、怒号と言ってもいいだろう。
それほどまでに、集まった者たちの声がその広間に響き渡っていく。
中央は低く、そこから360°に渡って階段上に広がるその空間は、まるでローマのコロッセオのような構造をしている。
そして、その階段上の部分には多くの者たちが腰を据え、皆、思い思い話をしている。
「フォッフォッフォッ、あいかわらず皆、元気じゃな。」
「毎回思うんだけどさ、みんな静かにできないのかよ。本当にうるさい!あ"~うるさい!!」
耳を塞いで文句を垂れるロキに笑いつつ、男はウンエイに視線で合図をする。
ウンエイが頭を下げて、別の通路へ姿を消したのを見送ると、男は広間の中央へ向かってゆっくりと歩いていく。
「父上!お元気そうで何よりです。」
突然、横から若い男性と女性が現れた。
男性がそう言いながら頭を下げると、それにならうように女性も丁寧に頭を下げる。
金色の髪と高い鼻が特徴的な凛とした顔立ちに、すらりとした背丈の清楚な男性。
反対に女性の方は、茶色い髪に健康的な褐色の肌、少し筋肉質ではあるが、細く長い手足が特徴的な美人。
「ほっ!アポロン、アルテミス。息災そうで何よりじゃ。」
白ひげの男はそれに手を上げて応えたが、その足は止めずにそのまま中央へと向かう。
二人に見送られながら、男は広間の中央へとたどり着くと、視線を少し上げてその空間をぐるりと見渡した。
いつの間にか、先ほどまで喧騒は嘘のように静まり返っており、声をかけてきた二人を始め、多くの顔ぶれが自分へとその視線を向けている。
中でも、特に強い視線を送ってくる者たちに対し、男はその顔をゆっくりと確認していった。
ギリシアで有名な太陽と芸術の神アポロンと狩猟と貞潔の神アルテミス、そして、死の神タナトス。
北欧からは、主神オーディンや雷電の神トール、そして、先ほどまで行動を共にしていた悪戯好きな神ロキがニコニコと笑っている。
日本からは太陽神アマテラス大神、創造神イザナギとその妻イザナミが。エジプトからは死の友アヌビス、魔法の女神イシス、冥府の神オリシス、インドからはシヴァ神など、多くの有名な神たちがそれぞれの思惑を胸に、静かに男を見ているのだ。
男はニヤリと口元で静かに笑みをこぼす。
そして、大きく息を吸い込むと、それを一気に吐き出すように大声を上げた。
「皆、待たせたのぉ!!さっそくじゃが、この全知全能神ゼウスの名の下において、ここに第5回バシレイア運営会議を開催を宣言する!!」
その瞬間、大歓声が沸き起こる。
集まった神たちが、待ってましたとばかりに声を上げ、その喜びの丈を叫んでいるのだ。
ゼウスと名乗った男は、歓声を聞きながら中央に置かれた大きめの座椅子に腰を下ろしてあぐらをかいた。
すると、先ほどの別れたウンエイが姿を現し、ゆっくりとゼウスの元へとやってくる。
「どうじゃ、ヘルメス?準備はよいかの?」
「はい。始めていただいて大丈夫です。」
ニンマリと笑うと、ゼウスは手元にあった小さな木槌を手に取り、その横にあった円形の受け木に、それを思い切り打ちつけた。
木の乾いた音が鳴り響き、広間の喧騒が一気に静まり返る。
ゼウスはそれを確認すると、静かに口を開いた。
「今日の議題はこれじゃ。」
ゼウスが指差す方へ、皆の視線が移る。
そこにはどの場所からでも見えるようになっている3面式のスクリーンが設置されている。
「まずは、最初の議題『ランク戦の開催について』じゃ。」
そう言ったゼウスは、周りに気づかれないように口元で笑みを浮かべていた。
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