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第三章 ランク戦開催
4話 トヌスの決意
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トヌスは久々に…
というほどでもないが、馬車から遠目に見える巨大な城都を見て、大きなため息をついた。
『トウト』の街。
自分が殺されそうになった街…しかも、冤罪をかけられて。
本来なら当分来たくなかった街だが、命の恩人であるイノチの頼みは断れないし、他国のプレイヤーが自分たちを狙って、この国にやってくる可能性があるということも看過できる話ではない。
「頭!もうすぐ着きやすぜ!」
馬に乗り、横を走るロドが声をかけてきた。
トヌスはそれに小さく応じると、イノチから預かった書状に目を落とす。
きれいな封蝋が押されたそれは、イノチが『イセ』の商人ギルドマスターに書いてもらったもの。
ジパン国外交庁国政部隊隊長のシャシイに向けられた依頼の文書である。
「あいかわらず、すげぇ奴だぜ…」
トヌスは小さくつぶやいた。
・
馬車は大きな城門を超え、そのまま城へと向かう。
大通りには多くの人々が行き交い、その喧騒が街を包んでいる。通り沿いにはたくさんの店が軒を連ねており、さまざまな人たちが思い思いに生活しているのが見受けられた。
この世界に来てどれくらいたっただろう。
トヌスはふと思った。
ある時、ヘッドセットが届き、この世界に降り立った。
初めは単なるMMORPGだと思い、単純に楽しんでいたのだが、気づけばこの世界から抜け出せなくなっていた。
その事実を知った時、途方に暮れ、自暴自棄になりかけた。
まさかゲームの中に閉じ込められるなんて…
そんな小説みたいな話があるわけがない…
同行していたプレイヤーが、自分の目の前で光の粒子となって消えたことを思い出す。
それ以降、彼とは会っていない。
ゲームなのに…再び会うことはなかったのだ。
それが指す意味をトヌスが理解するのに、そう時間はかからなかった。
これは夢…悪い夢なんだと自分に何度も言い聞かせた。
部屋にこもり、必死にここから逃げる方法を考えた。
しかし、浮かんできたのは、"死"の一文字だけ。
そして、死ねば目が覚める…死ねば元の世界に戻れるなどと根拠もない考えが頭をよぎった。
心が、辛い現実から逃げようとしたのだ。
飛び降りようと建物の屋上に立つ。
下を見れば、まるで何が手招いているようにみえた。
その手は天使の手…その世界から俺を救い出すために助けに来てくれた天使たちの手だと…
しかし、飛び降りかけた寸前、けたたましい鳴き声に目が覚める。
そして、ある一つの光景が目に入ってきたのだ。
それは、路地裏でゴミを漁る子供の姿。
鳴き声の正体はカラスだった…子供に対して、ナワバリでも主張するかのように大きく鳴き、クチバシで子供をつついている。
小さな彼は、それに負けまいと必死に食べ物を探し、空腹を満たそうとしていたのだ。
まだ7~8歳ほどの少年がゴミを漁る光景は、トヌスの心に大きな衝撃を与えた。
あんなに小さな子供でも、生きることを諦めていない。
それに対して、自分はなんと情けないのだろうか。
たかが元の世界に戻れなくなったくらいで…
何をそんなに嘆いているのか。
戻れる可能性がないわけでもないのに…
トヌスは屋上から降りると、すぐにその子供のもとへと向かった。
カラスを追い払い、大丈夫かと問いかけるトヌスはに対し、彼はその手を払うと、再びゴミを漁り出した。
その目には、お前は信用していないという彼の心が映し出されていたのを今でも覚えている。
元の世界では、子供たちのカウンセリングを行う仕事に就いていたトヌス。
家庭内の問題、いじめ、素行不良など、さまざまな問題を抱える子供たちに向き合ってきた彼にとって、その目はその子たちと同じ…いや、今までで1番闇を抱えた瞳だった。
彼の中で一つの決心が固まる。
彼を…彼らを救いたい。
元の世界で、子供達を守るために奮闘してきたトヌスにとって、純粋なその気持ちは、この世界でも変わることのない彼の信念だったのだ。
「頭!王城が見えてきましたぜ!」
通りの先に見える大きな城。
それを見たロドが、トヌスに声をかける。
「おう。」
ロドを見て、トヌスは小さくうなずいた。
あの時の沈んだ目は、輝きを放つ強い瞳に変わっている。
トヌスは小さく鼻をすすった。
・
「ようこそ、トヌスさま!そして、皆さまも。」
城に着くとシャシイ自らが出迎えてくれた。
彼によれば、『イセ』のギルドから事前に使者が来ており、今回のトヌスの用事については、ある程度把握しているとのこと。
(さすが商人ギルドのマスターだな…冒険者の方じゃ、こうはいかねぇ。)
そんなことを思いつつ、書状を渡そうとすると、シャシイがここではなんだから言い、応接の間に案内される。
部屋に入り、人数分用意されたイスに各々腰を下ろしたことを確認すると、トヌスが口を開く。
「これが例の依頼状だ。」
トヌスは懐から取り出した書状を、シャシイへと手渡した。
「ふむ…なるほど。」
受け取った書状を読み、シャシイは何かを考えるように、あごに手を置いた。
「…リシアやノルデン、ジプトが我が国を狙っていると。西の玄関口『タカハ』と、ジパンの中央都市であるここ『トウト』の守りを固め、他国からの侵攻に備えよと…そういうことですか。」
「あぁ、そうだ…」
「う~む…」
悩ましげに頭を抱えるシャシイに、トヌスは首を傾げる。
「何をそんなに悩んでいるんだ?簡単なことだろ?軍を配備すりゃぁいい。」
その言葉を聞いたシャシイは、大きくため息をついた。
「簡単とは言いますがね…ご存知のとおり、我が国は戦乱を平定して間もないのです。各都市を安定させ、国を一つにまとめるために多くの施策を行っています。貴方の願いである身寄りのない子供たちを保護するというのもその一つだ。しかし、戦で多くの命が失われた。その弊害は大きいんですよ。」
「なるほどな。要は人手不足ってことか。」
「そんな単純なことではないですが、大きく言えばそうなりますね。」
頭を横に振るシャシイを見ながら、トヌスは考える。
そして、次の質問を投げかけた。
「どんな人材が足りてないんだ?単に兵隊か?指揮する奴か?詳しく教えてくれ。」
「詳しく…ですか。」
シャシイはトヌスを少しだけ見つめる。
そして、彼の目を見て何かを決めたように話を始めた。
「まず最初に足りていないのは…」
・
・
「頭…マジで言ってるんですか?」
「あぁ、俺は大マジだぜ。」
ロドは不満げに口を閉ざした。
周りにいるメンバーもどことなく不満げだ。
トヌスだけが一人、満足げにシャシイの帰りを待っている。
すると、ドアが開いてシャシイが入ってきた。
「お待たせしました。王から許可をいただけました。」
「そりゃよかったぜ!なぁ、お前ら!」
トヌスはロドたちへ笑いながらそう言うが、ロドたちは顔を背けた。その様子にシャシイは、まじめな顔で口を開く。
「今回の話、王はたいへん喜ばれておりました。イノチ殿の仲間の皆さまが…ではなく、未来ある若者が国のために先頭に立ってくれる。その事がとても嬉しいと…あなた方はその王の期待に応えていただけるのでしょうか。」
ロドたちは答えない。
見兼ねたトヌスが口を開く。
「お前ら、これはチャンスなんだ。野盗みたいな生活からおさらばして、自分の道を歩むな。それぞれが、それぞれのやるべきことをやれ。いつまでも俺と一緒じゃならねぇんだ。それはずっと言ってきたはずだぜ。」
ロドたちは下を向いている。
彼らもわかっているのだ…しかし、トヌスへ何も返せていない自分たちが許せないのだろう。
「これはイノチのだんなへ恩を返すチャンスでもある。お前らがしっかりやれば、ジパン国は他国からの攻撃に備えるための準備に人手を回せるんだ!しっかりやれよ!」
トヌスはそう言うと立ち上がった。
そして、シャシイに一言「こいつらを頼みます。」と告げると、部屋を後にする。
シャシイはうなずき、トヌスの背中をロドたちとともに見送った。
王城の門を、歩いて通り抜ける。
トヌスはチラリと城に目を向け、再び前を向くと小さくつぶやいた。
「あいつらもこれで独り立ちだ。俺も腹くくらねぇとな。」
そう言って、手に持つ黄金に輝く石を放り投げた。
宙を舞うその石は、夕陽の色に染まっていた。
というほどでもないが、馬車から遠目に見える巨大な城都を見て、大きなため息をついた。
『トウト』の街。
自分が殺されそうになった街…しかも、冤罪をかけられて。
本来なら当分来たくなかった街だが、命の恩人であるイノチの頼みは断れないし、他国のプレイヤーが自分たちを狙って、この国にやってくる可能性があるということも看過できる話ではない。
「頭!もうすぐ着きやすぜ!」
馬に乗り、横を走るロドが声をかけてきた。
トヌスはそれに小さく応じると、イノチから預かった書状に目を落とす。
きれいな封蝋が押されたそれは、イノチが『イセ』の商人ギルドマスターに書いてもらったもの。
ジパン国外交庁国政部隊隊長のシャシイに向けられた依頼の文書である。
「あいかわらず、すげぇ奴だぜ…」
トヌスは小さくつぶやいた。
・
馬車は大きな城門を超え、そのまま城へと向かう。
大通りには多くの人々が行き交い、その喧騒が街を包んでいる。通り沿いにはたくさんの店が軒を連ねており、さまざまな人たちが思い思いに生活しているのが見受けられた。
この世界に来てどれくらいたっただろう。
トヌスはふと思った。
ある時、ヘッドセットが届き、この世界に降り立った。
初めは単なるMMORPGだと思い、単純に楽しんでいたのだが、気づけばこの世界から抜け出せなくなっていた。
その事実を知った時、途方に暮れ、自暴自棄になりかけた。
まさかゲームの中に閉じ込められるなんて…
そんな小説みたいな話があるわけがない…
同行していたプレイヤーが、自分の目の前で光の粒子となって消えたことを思い出す。
それ以降、彼とは会っていない。
ゲームなのに…再び会うことはなかったのだ。
それが指す意味をトヌスが理解するのに、そう時間はかからなかった。
これは夢…悪い夢なんだと自分に何度も言い聞かせた。
部屋にこもり、必死にここから逃げる方法を考えた。
しかし、浮かんできたのは、"死"の一文字だけ。
そして、死ねば目が覚める…死ねば元の世界に戻れるなどと根拠もない考えが頭をよぎった。
心が、辛い現実から逃げようとしたのだ。
飛び降りようと建物の屋上に立つ。
下を見れば、まるで何が手招いているようにみえた。
その手は天使の手…その世界から俺を救い出すために助けに来てくれた天使たちの手だと…
しかし、飛び降りかけた寸前、けたたましい鳴き声に目が覚める。
そして、ある一つの光景が目に入ってきたのだ。
それは、路地裏でゴミを漁る子供の姿。
鳴き声の正体はカラスだった…子供に対して、ナワバリでも主張するかのように大きく鳴き、クチバシで子供をつついている。
小さな彼は、それに負けまいと必死に食べ物を探し、空腹を満たそうとしていたのだ。
まだ7~8歳ほどの少年がゴミを漁る光景は、トヌスの心に大きな衝撃を与えた。
あんなに小さな子供でも、生きることを諦めていない。
それに対して、自分はなんと情けないのだろうか。
たかが元の世界に戻れなくなったくらいで…
何をそんなに嘆いているのか。
戻れる可能性がないわけでもないのに…
トヌスは屋上から降りると、すぐにその子供のもとへと向かった。
カラスを追い払い、大丈夫かと問いかけるトヌスはに対し、彼はその手を払うと、再びゴミを漁り出した。
その目には、お前は信用していないという彼の心が映し出されていたのを今でも覚えている。
元の世界では、子供たちのカウンセリングを行う仕事に就いていたトヌス。
家庭内の問題、いじめ、素行不良など、さまざまな問題を抱える子供たちに向き合ってきた彼にとって、その目はその子たちと同じ…いや、今までで1番闇を抱えた瞳だった。
彼の中で一つの決心が固まる。
彼を…彼らを救いたい。
元の世界で、子供達を守るために奮闘してきたトヌスにとって、純粋なその気持ちは、この世界でも変わることのない彼の信念だったのだ。
「頭!王城が見えてきましたぜ!」
通りの先に見える大きな城。
それを見たロドが、トヌスに声をかける。
「おう。」
ロドを見て、トヌスは小さくうなずいた。
あの時の沈んだ目は、輝きを放つ強い瞳に変わっている。
トヌスは小さく鼻をすすった。
・
「ようこそ、トヌスさま!そして、皆さまも。」
城に着くとシャシイ自らが出迎えてくれた。
彼によれば、『イセ』のギルドから事前に使者が来ており、今回のトヌスの用事については、ある程度把握しているとのこと。
(さすが商人ギルドのマスターだな…冒険者の方じゃ、こうはいかねぇ。)
そんなことを思いつつ、書状を渡そうとすると、シャシイがここではなんだから言い、応接の間に案内される。
部屋に入り、人数分用意されたイスに各々腰を下ろしたことを確認すると、トヌスが口を開く。
「これが例の依頼状だ。」
トヌスは懐から取り出した書状を、シャシイへと手渡した。
「ふむ…なるほど。」
受け取った書状を読み、シャシイは何かを考えるように、あごに手を置いた。
「…リシアやノルデン、ジプトが我が国を狙っていると。西の玄関口『タカハ』と、ジパンの中央都市であるここ『トウト』の守りを固め、他国からの侵攻に備えよと…そういうことですか。」
「あぁ、そうだ…」
「う~む…」
悩ましげに頭を抱えるシャシイに、トヌスは首を傾げる。
「何をそんなに悩んでいるんだ?簡単なことだろ?軍を配備すりゃぁいい。」
その言葉を聞いたシャシイは、大きくため息をついた。
「簡単とは言いますがね…ご存知のとおり、我が国は戦乱を平定して間もないのです。各都市を安定させ、国を一つにまとめるために多くの施策を行っています。貴方の願いである身寄りのない子供たちを保護するというのもその一つだ。しかし、戦で多くの命が失われた。その弊害は大きいんですよ。」
「なるほどな。要は人手不足ってことか。」
「そんな単純なことではないですが、大きく言えばそうなりますね。」
頭を横に振るシャシイを見ながら、トヌスは考える。
そして、次の質問を投げかけた。
「どんな人材が足りてないんだ?単に兵隊か?指揮する奴か?詳しく教えてくれ。」
「詳しく…ですか。」
シャシイはトヌスを少しだけ見つめる。
そして、彼の目を見て何かを決めたように話を始めた。
「まず最初に足りていないのは…」
・
・
「頭…マジで言ってるんですか?」
「あぁ、俺は大マジだぜ。」
ロドは不満げに口を閉ざした。
周りにいるメンバーもどことなく不満げだ。
トヌスだけが一人、満足げにシャシイの帰りを待っている。
すると、ドアが開いてシャシイが入ってきた。
「お待たせしました。王から許可をいただけました。」
「そりゃよかったぜ!なぁ、お前ら!」
トヌスはロドたちへ笑いながらそう言うが、ロドたちは顔を背けた。その様子にシャシイは、まじめな顔で口を開く。
「今回の話、王はたいへん喜ばれておりました。イノチ殿の仲間の皆さまが…ではなく、未来ある若者が国のために先頭に立ってくれる。その事がとても嬉しいと…あなた方はその王の期待に応えていただけるのでしょうか。」
ロドたちは答えない。
見兼ねたトヌスが口を開く。
「お前ら、これはチャンスなんだ。野盗みたいな生活からおさらばして、自分の道を歩むな。それぞれが、それぞれのやるべきことをやれ。いつまでも俺と一緒じゃならねぇんだ。それはずっと言ってきたはずだぜ。」
ロドたちは下を向いている。
彼らもわかっているのだ…しかし、トヌスへ何も返せていない自分たちが許せないのだろう。
「これはイノチのだんなへ恩を返すチャンスでもある。お前らがしっかりやれば、ジパン国は他国からの攻撃に備えるための準備に人手を回せるんだ!しっかりやれよ!」
トヌスはそう言うと立ち上がった。
そして、シャシイに一言「こいつらを頼みます。」と告げると、部屋を後にする。
シャシイはうなずき、トヌスの背中をロドたちとともに見送った。
王城の門を、歩いて通り抜ける。
トヌスはチラリと城に目を向け、再び前を向くと小さくつぶやいた。
「あいつらもこれで独り立ちだ。俺も腹くくらねぇとな。」
そう言って、手に持つ黄金に輝く石を放り投げた。
宙を舞うその石は、夕陽の色に染まっていた。
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