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第三章 ランク戦開催
番外編① 回転戦隊 アンリミテッド
しおりを挟むちょっとした間話です。
楽しんでいただけたら幸いです。
これは物語とは少し違った時間軸でのお話。
「みんな、揃ってるな!」
イノチはテーブルに両手を置くと、イスに座っている顔ぶれをぐるりと見回した。
食堂のテーブルには、ミコト、タケル、トヌス、ゲンサイの四人が座っている。
「いったい何なんだ!突然呼び出しやがって!」
テーブルに載せた足を組んで、ゲンサイが悪態をついてくる。
「ごめんごめん。実はさ、今日はみんなにお願いがあって集まってもらったんだ。」
「お願い?」
首を傾げるミコト。
その横で頬杖をつくタケルが口を開く。
「イノチくんが頼みごとって…なんかありそう。」
「確かにだぜ。だんなの頼みごとってのは、いつも変なことばかりだからな!」
「おいおい!変なことって…別におかしなことを頼んでるつもりはないんだけどなぁ。」
タケルに同調するトヌス。
それに対して一度は首を傾げたイノチだが、気にすることなく話を進めていく。
「まぁ、それは置いといて…まずみんなに聞きたいんだけど、子供の頃に憧れたヒーローってなに?」
「ねぇ。」
「ないよ。」
「ねぇな!」
「ない。」
イノチの言葉に、皆は興味なさげにさらりと答える。
一人でずっこけているイノチのことなど、まったく見ていない。
「ちょ…ちょっと待って?みんな少しくらい覚えてたりするよね?男の子だったら◯◯ライダーとか、◯◯◯ジャーとか、◯◯◯マンとか、宇宙刑事◯◯ンとか!ミコトだって、◯◯キュアとか、◯◯ムーンとか!いっぱいあるじゃん!興味くらい持ったことあるだろ?!」
必死になるイノチを見て、他のメンバーは顔を見合わせた。
今の会話からわかるように、イノチは子供の頃からヒーローが大好きで、単独ヒーローから戦隊モノ、はたまた宇宙からきた巨人など、有りとあらゆる特撮ヒーローシリーズを嗜んできた。
特撮を語らせたら右に出るものはいないと、自分で思っているくらい大好きなのである。
「ゲンサイ!どうだ?一つくらいあるだろ?」
「ちっ!なんで俺に振んだよ。はぁ…ヒーローねぇ。まぁ強いて言うなら、俺はあれだ。◯◯ライダーの剣のやつ。」
「剣を持った◯◯ライダーはいくつかあるけど…どれだよ。」
「んなもん、覚えてねぇよ。」
「そっか…まぁいいけど。タケルとトヌスは?」
ゲンサイが答えたことで、イノチは瞳を輝かせている。
そんなキラキラした瞳で問いかけてくるイノチに、ため息をつくタケル。
「はいはい…答えないと終わらなさそうだね、これは。僕は◯◯◯ジャーの忍者のやつかな。それを見て、日本刀とかに憧れたんだよね。」
「俺も◯◯◯ジャーだな。俺の時は列車をモチーフにしてた気がするぜ。子供の頃は列車が好きだったからな。」
「なるほどなるほど!タケルとトヌスは◯◯◯ジャー系ね!わかるよ、わかる!戦隊モノって、それぞれに特色があるキャラ設定が魅力なんだよな!赤とか黄色とかの基本色から、戦隊によっては黒とか金とかバラエティに富んでいて、ワクワクさせられるんだよ!!」
「…あぁ…そうなんだ。」
「おっ…おう。」
鼻息を荒くするイノチを見て、若干…いやかなり引いているタケルとトヌス。
そんなことには構わず、イノチはその瞳をミコトに向ける。
「ひっ…!」
小さく悲鳴をあげるミコトだが、イノチの溢れる想いはとどまる事を知らない。
「ミコトは!?◯◯キュア?!◯◯ムーン?おじゃ◯ド◯◯!?何が好きなの!?ハァハァ…」
「イッ…イノチくん、怖いよ…」
息荒く、ミコトにゆっくりと詰め寄るイノチ。
「とぉぉぉぉぉ!!」
「ウギャッ!!」
もはや変態の域に達していたイノチを止めたのは、突然現れたアレックスだった。
首筋に手刀をお見舞いされたイノチは、白目を剥いて倒れ込んだが、アレックスはそんなことはお構いなしにイノチに向けて言い放つ。
「BOSSってば興奮しすぎだよ♪ミコトが怖がってるじゃないか♪もう!」
プンスカと腕を組み、仁王立ちで胸を張るアレックス。
「アレックス…イノチくんには聞こえてないよ…ほら、白目剥いてるし。」
「えぇっ!?」
タケルがイノチを指差してそう告げると、アレックスは焦ったようにイノチの肩を掴み、ブンブンと揺さぶって呼び覚まそうとする。
「BOSS…!起きてよぉ!!ねぇってばぁぁぁ!!!」
「アレックス…そのままだとイノチくんの首が飛ぶよ…」
・
「イテテテテ…えらい目にあったよ、まったく。」
「ごめんよ、BOSS…」
イノチは首を押さえながら、しょんぼりとするアレックスに手をあげて答える。
「ふぅ…さて!話はそれたけど、みんなの好きなヒーローは把握できた!」
「いや…ミコトのは聞けてないぜ、だんな…」
「そこで、今回の本題!俺は先日ガチャであるアイテムを入手したんだ!」
「ダメだ、トヌスさん…今の彼には都合の悪いことは一切聞こえないらしい。」
あきれるタケルとトヌスに構わず話を進めるイノチに対し、ゲンサイがアイテムと聞いてか、興味ありげな反応を示す。
「ほう…いったい何のアイテムなんだ?」
「おっ!ゲンサイ、興味でてきた?他のみんなはどうかな?」
プププッと口を抑えながら、ちょっとおかしなテンションで他のメンバーにも問いかけるイノチ。
「はっ…話が全然見えないけど、役に立つアイテムなら聞きたいかな。」
「ミコトのいう通りだね。よくわからないけど、とりあえず聞かせてくれよ、イノチくん。」
タケルの言葉にうなずいたトヌスまで見ると、イノチは嬉しそうな笑みを浮かべて、携帯端末を触り始めた。
そして、アイテムボックスからあるものを取り出すと、皆の前に並べていく。
「おっ…おい…こりゃなんだ?」
「…ん?ヒーローマスクだよ!見りゃわかんじゃん!」
「いや…そういうことじゃなくてだな…」
自分の目の前に置かれたヘルメット。
緑を基調としたそのヘルメットは、誰が見ても満場一致で戦隊モノのヒーローマスクだと言うだろう。
ゲンサイは混乱した表情を浮かべていたが、イノチは気にすることなく、タケルは青色の、トヌスには黄色の、ミコトには桃色のヘルメットを配っていった。
「最後に…俺はこれで…よしっ…と!」
「ちょ…ちょっと待って…イノチくん!」
自分の前に赤いヘルメットを置いて、満足げな表情を浮かべているイノチに向かって、タケルが声を上げた。
「こっ…これは…いったい?」
「これはって…ヒーローマスクだよ!見たらわかるだろ?」
「そ…それは見たらわかるよ。そうじゃなくて…これで何をする気なんだい?」
イノチは肩をすくめて大きくため息をつく。
「何する気って…ヒーローになるんだよ、これで!俺らは五人!アイテムはちょうど五つ!なら、やることは一つだろ!」
自慢げにそう言い放つイノチを見て、他のメンバーは何も言えなかった。
「使い方は簡単だよ!こうやって被って…と…そしたらこう叫ぶんだ。『変身!』って!」
するとどうであろう。
イノチの体が光に包まれたかと思えば、首から下に赤い戦闘スーツを身にまとった姿で登場したのだ。
「炎の回転アンリミテッド!ガチャレッド!!」
「「「「………」」」」
決め台詞とともにかっこよくポーズを決めるイノチを、他の四人は言葉にならない思いで見つめている。
アレックスだけは、両手で頬杖をつき、笑顔でその様子を眺めている。
「あれ…?みんなどうしたの?」
「どうしたのって…君のお願いってこれかい?」
「そう!ガチャを引こうとしたら、こんなキャンペーンが始まっててさ!思わず引いちゃったんだよ!そしたらまさかの五色ゲット!!」
イノチがかざす携帯端末を見れば、ガチャの特設キャンペーンページが開かれており、そこにはこう記載されていた。
『新番組開始に併せて、ヒーローキャンペーンを開催します。今なら戦隊ヒーローのヘルメットが五色揃って排出率アップ!!』
「これを使って、みんなで戦隊モノをやってみたいんだ!」
「…なんの新番組かわからないけど。こんなキャンペーンやるかな普通…しかし、引く方も引く方だよ、まったく…」
ヒーローらしく右手を体の前でギュッと握り、そう告げるイノチに、タケルはあきれたように肩を落とした。
少しの沈黙…
皆がどうするか戸惑っていると、突然イノチの後ろから重い声色が聞こえてきた。
「BOぉぉぉSSぅぅぅ…今、ガチャ引いたって聞こえたんだけどぉぉぉ!?」
振り返れば、腕を組んで恐ろしげな表情を浮かべるエレナと、その後ろには怒った顔のメイもいる。
「出たな!怪人ガチャヒクナン!!俺が相手だ!!トォォォ!!」
そう言って調子に乗って飛びかかってきたイノチを、エレナは一撃ではたき落とし、そのままズルズルとどこかへ引きずって行ってしまった。
いったい何なんだ…
そんな心の声が聞こえてきそうなほど、唖然としているメンバーたち。
そこでアレックスがパンと手を鳴らした。
「はい!カットだよ♪みなさん、お疲れ様でしたぁ♪」
つづく?
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