ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

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第三章 ランク戦開催

45話 ガチャの巻③

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「こっちみたい!」

「本当ですの?この先は確か行き止まりだったはず…」


犬のように鼻をクンクンさせて足早に進んでいくエレナの後を、フレデリカとアレックスがついていく。


「間違いないわ!BOSSの匂いがするもの!」


そう言って鼻息を荒くするエレナを見て、アレックスが疑問げにフレデリカに問いかけた。


「フレデリカさん、エレナさんって犬みたいです♪」

「みたいじゃなくて犬ですわ、あれは。」

「聞こえてるわよ!誰が犬よ!!」


憤りながらも先を急いで通路の角を曲がるが、やはりフレデリカの言うとおり、そこは行き止まりであった。


「ほら、言ったとおりですわ。」

「だねぇ♪行き止まりだぁ♪ど エレナさん、どうするの?」

「いえ…ここで間違いないわ。BOSSの匂いが…」


再び目を閉じて鼻をクンクンとさせ、エレナはイノチの匂いを辿って行く。

そして、その鼻を床の真ん中に近づけて目を開けた。


「ここね…」

「そこは床ですわ。」

「そうじゃなくて、この下からBOSSの匂いがするのよ。」

「じゃあ、この先は地下室なのかな♪」

「それはないですわ。スタンに聞けばアジトのフロアはこの階のみだそうですし…」


エレナは立ち上がると、腕を組んで口を開く。


「BOSSのスキル…ね。」

「なるほど…アレックスの時と同じと言うことですわね。」

「そう。ハンドコントローラーのスキルで構造を変えて、隠れ部屋を作ってるんだわ。」

「ならば、ここを掘り進めればすぐに見つかりますわね。」


フレデリカの言葉にエレナは首を振る。


「甘いわよ、フレデリカ!BOSSはガチャなことなら誰よりも貪欲なの。前回と同じ過ちは繰り返さないわ。」

「…あなた、BOSSがガチャをする時だけはかなり賢くなりますわね。その分析力を戦いにも活かしたらいいのに、ですわ。」


フレデリカのぼやきもまったく耳に入っていないのか、エレナは首を傾げて推理を進めている。


「BOSSのスキルは『書換』『解析』『分析』、そして『開発』…。この『開発』というスキルが有能なのよね。あたしがBOSSならどうするかしら…」

「エレナ、探偵みたいでかっくいい♪」

「人の話なんかまったく聞きやしない、ですわ。」

「…この先からBOSSの匂いはしている。異空間のようなものを作っているわけではなさそうね。…なら!」


目を輝かせるアレックスとあきれて肩をすくめるフレデリカを尻目に、考え込んでいたエレナは何かに気づいて顔を上げた。


「…わかった。あんたたち、行くわよ!」

「行くって…どこへ?」

「どこへって…決まってるでしょ。BOSSの部屋よ。」





「ファンタジーの世界で、まさか銃を手に入れるとはな。」


イノチは手元にあるハンドガンに目を落とした。
手元にあるそれはずっしりと重くて冷たい。

形状は自動式拳銃のようだが、その大きさは考えていたものよりも一回り…いや、二回りも巨大である。

待ってみれば重量もかなりある。
イノチは持ち上げて照準を合わせてみるが、重さに手が震える始末だ。

そして…

カチンッ


トリガーを引くと乾いた金属音が小さく響く。


「やっぱり専用武器か…俺じゃ撃てない。でも、仲間の中に銃を使える奴なんていなかったよなぁ。」


イノチは大きくため息をついた。

ガチャはすでに打ち止め。
と言っても全て回し終えたわけではない。

ーーー『UR』以上が出たらそれでやめる

これはガチャを引く上でイノチが守り続けてきたルールである。

二兎追う者は一兎も得ず。
その言葉は正しいとイノチは本気で考えているのだ。


「今日のガチャはもう終わりだし…あとは希少石で確定URを引いて、ウハウハして部屋に戻るとするか。」


しかし、そう言って立ち上がったイノチの横で突如としてアラート音が鳴り響いた。


「げっ!?」


音の意味を一瞬で理解したイノチは、急いでテーブルに散らかったアイテムをボックス内へ片付けてマップを開く。

するとそこには、ものすごい勢いでこちらに向かってくる3つの点が映っていたのである。

その正体が誰なのか、イノチはすぐに理解した。


「…やっぱりエレナたちだ。でも、なんでバレたんだ?感知傍受の壁を何重にも張り巡らして、俺の気配は断ってるはずたけど…」


イノチはこの世界でガチャをする度に、エレナやメイにその現場を抑えられ、理由はわからないがこっ酷く怒られてきた。

彼女たちはどこにいても自分の居場所を見つけだす。
ガチャのガの字を口にした瞬間から感づかれているのだ。

たとえ隠し部屋を作っても、簡単に見つけられてしまう。

その尋常でない彼女たちの嗅覚に対して、さすがのイノチも理解し学んでいたのである。

今回は気配を断つことを考えた。

ハンドコントローラーで周りの壁から自分の気配が漏れないように、外側に防護壁を何重にも張り巡らせていたのである。


「一直線にこっちに来てるな…これでもダメなのか。くそっ!」


悔しそうにしながらも、どうするかイノチは考える。
このままでは、あと数十秒もすればエレナたちがこの部屋になだれ込んでくるだろう。

そうなればまた"怒られる"のだ。


「しかたない!ハンドコントローラーで道の構造を変えまくってやる!!」


イノチはそう吐き捨ててキーボードを顕現させると、その手をものすごいスピードで走らせた。

しかし、この作戦はイノチにとって悪手でしかなかった。





「あともう少しで着くわ!」

「今回も簡単だったですわね。」

「BOSSぅぅぅ♪エッチなことはダメだよぉ♪」


各々が嬉しそうにこぼしながら、イノチが作り出した通路を突き進む三人。

しかし、そんな三人の行く手を阻むように突然目の前の通路が音を立てて変形し始める。


「うわぁ~♪なんだろ、これは♪」

「BOSSに感づかれたわね!」

「完全にわたくしたちを迷わせる気ですわ!」


イノチの策略に一度足を止める三人だが、それぞれの顔には悪戯な笑みが浮かんでいた。


「フレデリカ、BOSSはこれであたしたちを足止めできると思っているみたいよ!」

「フレデリカさんのかっくいいのがまた見れるよ♪」

「私たちも舐められたものですわね、まったく。」


二人の言葉にフレデリカは目を閉じ、小さく言葉をこぼした。


「スキル…竜化(ドラゴン)…」


そして、光とともにケンタウロスたちをボコボコにした時と同じ姿になるフレデリカ。


「方向はこのまま直進!いっちょ、やっちゃってちょうだい!」


コクリとうなずいたフレデリカは、右手を引いて静かに構えた。

そして、大きく息を吸い込めば右の拳が小さく輝き始める。


「フレデリカさん♪いっけぇぇぇぇ♪♪」


アレックスがそう叫んだ瞬間、フレデリカは右拳を目の前の壁に撃ち込んだ。

轟音。
衝撃が壁を吹き飛ばし、大きな穴を開けて突き進んでいく。

その一方、イノチはというと…


「なっ…なんだ?地響き…地震か?」


ホッとしたのも束の間、遠くで聞こえた何が崩れる音を聞いて立ち上がる。

そして、それがこちらに向かってきていることに気づいたのだ。


「これは…なんとなくアカンやつや!」


直感的に何かを感じとり、すぐにハンドコントローラーを起動、キーボードに手を走らせる。

徐々に近づいてくる轟音。


「ヤバいヤバいヤバいヤバいっ!!急げっ!」


そのプレッシャーに焦りつつ、必死にキーボードを叩く。
そして…


「よっ…よし!こっ…これで!!」


エンターを叩いた瞬間だった。
イノチを囲むように障壁が現れた瞬間、目の前の壁が破壊され、とてつもない衝撃波がイノチを…いや、イノチがいた部屋を吹き飛ばしたのである。


「BOSS?いるんでしょ?」


大きく空いた穴からエレナを先頭に顔を出す三姉妹。
しかし、その問いかけにイノチからの返事はない。


「…あら?いないわ。」

「違うよ、エレナさん♪」


キョロキョロとイノチの姿を探すエレナに、アレックスが笑顔で応える。


「BOSS、埋まっちゃったんだよ♪たいへんだぁ♪」
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