ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

文字の大きさ
217 / 290
第三章 ランク戦開催

90話 ドラゴニックフォーム

しおりを挟む

「アマ…テラス様…?!」


突然の声にゼンは驚きを隠せなかった。

太陽神アマテラス。
自分たち竜種の生みの親である御方。
普段は接点もほとんどなく、話すらできない崇高なる御方。

そんな高貴極まる方がなぜ自分に話しかけてきたのか。

ゼンは少しだけそう考えたが、矮小な自分が詮索するのは失礼だと思い、すぐに切り替える。

とはいえ…

体中がボロボロで、あと一歩でも踏み出そうものならその場に倒れ込んでしまうほどにゼンの体は限界だった。

跪き、頭を下げようとするがうまく体が動かせない。
それを察したアマテラスが声をかける。


「そのままで良い。」

「も…申し訳ございません。」


少し間を開けてアマテラスが再び話し出す。


「それよりもゼン。お前は真に気づいたようだな…竜種としての在り方に。」

「竜種としての…在り方…でございますか?私はただ…仲間を…」

「良い…それでいい。お前の中にはすでに"それ"が生まれていることは妾も感じておる。」

「私の中に…ですか?いったい何が…」


声だけで姿は見えないアマテラスだが、その声色はどこか嬉しそうでもある。


「それはそのうちわかるであろう。そんなことより、今回お前には良い話と悪い話を持ってきてやった。どちらから先に聞きたい?選ぶがよい。」

「良い話と悪い話…ですか。しかし、アマテラス様。今は悠長に話をしている場合では…」

「たわけ!オロチのことなら気にするでない。今回は妾が直々に時間を止めてやったのだ。それをこのバカが破れるものか!いらぬ心配はいいから…さぁ、どっちから聞く?」

「し…失礼しました!では…そうですね。」


ゼンの言葉に少し声を荒げたが、やはりアマテラスは楽しそうに話している気がする。

ここは黙って指示の通りにしておくことが最善だと考え、ゼンは二択のうちの一つを選択した。


「ならば、悪い話からで…」

「よかろう!単刀直入に言うぞ?ゼン、お主は覚醒体になる条件を満たしたぞ!」

「なっ!?」


突然の言葉に驚くゼン。

それのどこが悪い話なのか…ゼンはそう思わずにはいられなかった。

念願だった覚醒体。
ウォタに追いつくために必死で求め続けた覚醒体。

それになれることは、ゼンにとって本懐でなのである。

しかし、冷静になって考えてみればアマテラスは"悪い話"と言っていた…

その真意はなんなのか…


「アッ…アマテラス様、恐れながら…それは悪いことなのでしょうか。私にとって…いや、それは全ての竜種が目指していることであり、覚醒体になることこそ竜種の本懐…」

「まぁ、そうだろうな。妾もそのためにお前たちを創り出したのだ。しかしな、話はまだ続くのだ。」

「と、言いますと…」


ゼンの問いに、アマテラスは再び間を置いた。

姿、表情が見えないゆえに、アマテラスが今、いったいどんなことを考えているのかゼンには想像もつかない。

訪れた沈黙に自然と生唾を飲み込むゼン。

すると、咳払いが聞こえて、アマテラスが口を開いた。


「…誠に言いにくいのだがな。お前は覚醒体にはなれんのだよ。」

「えっ!?それはどういう…」

「言葉の通りだ。その理由を今から話すから、落ち着いて聞け。」

「は…はぁ…わかりました。」


ゼンは混乱したを
覚醒体になれると言ったり、なれないと言ったり…
アマテラスは何が言いたいのだろうか。

確かに覚醒体になれないのはゼンにとって悪い話だ。
しかし、アマテラスは覚醒体になる条件は満たしたと…
条件は満たしている…?


(条件は満たしているが覚醒体にはなれない…その理由があるということか。)


その考えが頭をよぎった瞬間、ゼンはなんとなくアマテラスが何を言いたいのか察することができた。

そして、それを感じ取ったようにアマテラスも再び話し始める。


「お前は他の竜種とは違い、この世界特有の魔法に選ばれた竜種だ…」

「特有の魔法に…それはプレイヤーが使うガチャ魔法のことですね。」

「お前は頭が良くて助かるよ。その通りだ…ガチャ魔法に選ばれ、お前は今、プレイヤーに属した状態となっている。それゆえに、本来なれるはずの覚醒体にはなれんのだ。詳しい仕様はあまり話せんが、それが悪い話だな。」

「そうですか…」


そこまで聞いたゼンは俯いた。
確かにミコトに召喚された時から、その不安が心のどこかにあったのは確かだ。

だが、それを認めることはできずに、今まで心の奥底に隠し続けていた。

現実を突きつけられたゼン。
現実と向き合うことは、こうも苦しいものかとゼンは改めて感じる。

これまでたくさんの人間たちに会い、夢に敗れていく者たちを多く見てきた。

それを見て、自分もそうなるのではないかという不安に心を支配されたことも多々あった。

しかし、自分はそうはならないと自らを鼓舞してここまできたのだ。

しかし…現実は残酷だった。


「…おい、ゼン。まだ良い話が残っとるが…聞かんのか?」


落ち込むゼンに対して、少し悪びれたように声をかけるアマテラス。

ゼンも、アマテラスの貴重な時間を無駄にしていることに気づいて頭を上げた。


「そう…ですね。落ち込むのはその話を聞いてからにします。」

「まぁ、良い話を聞けばその懸念もなくなると思うがな…」


意味ありげにクスリと笑うアマテラスに、ゼンは疑問を浮かべつつ話の続きを待った。


「良い話というのはだな。お前は覚醒体になれるということだ。」


その瞬間、ゼンの頭の上には再び疑問符が浮かんだ。


「アマテラス様、私を…からかっておいでですか?」

「なに!?からかってなどおらんぞ!妾は真面目に話しておる!」

「しかし…先ほど覚醒体になれないと言ったのはアマテラス様で…」


ゼンがそこまで言ったところで、突然聞いたことのない声が聞こえてきた。


「アマテラス、君の説明は本当にくどいな!!」

「本当です。一回でパパパッと説明できないのですか?煩わしい。」

「な!父上、母上!何故ここに…!?」

(父…母…アマテラス様の父君と母君…!?)


ゼンは驚いた…生みの親であるアマテラスに父と母がいた。生きてきた中で一番衝撃的な事実だったのだ。

しかし、そんなゼンには構うことなく声だけの会話は続いていく。


「大体なんだい…『良い話と悪い話、どちらから聞きたい?』って!見てみなさい。ゼンくんが混乱しているじゃないか。」

「そうですよ。プレイヤーに属した竜種は通常の覚醒はできないけれど、特定のスキルを得ればプレイヤーとの竜合体(ドラゴニックフォーム)が可能になるって、普通に説明できないのですか?」

「あぁ…!!それ、私が言いたかったのに!!母上、何故先に言ってしまうのですか!!」


声だけでガヤガヤと騒ぐ親子たちの前で、ゼンは少し気まずそうに苦笑いする。

よくわからないアマテラスの説明で混乱していたのに、その母親らしき御方から結論をさらりと言われてしまったのだ。

崇高たる御方たちだから文句など言うはずもないが、ゼンはやり場のないもどかしさを感じていた。


「もう!二人はあっちに行っててよ!グスンッ…はぁ~せっかく作った流れが台無しだ…」

「アマテラス…様?」

「あ~ゼンか…そうだったな。父上母上に邪魔されてしまったが、話の通り、お前には特殊スキル『竜合体』を授けた。ウォタに授けた加護と同等のスキルだよ。それを使えばプレイヤーを媒体として覚醒体と同等の力を発揮できる。しかも、竜種の力とプレイヤーの力を掛け合わせる形になるからかなり強いぞ。」

「なんと…それは…」

「そろそろ時間を止めておくのも限界だから…妾が時間制御を解いたら、その娘がやられる前にすぐにスキルを使えよ。いいな、『竜合体(ドラゴニックフォーム)』だからな。」

「ド…ドラゴニック…フォーム…ですね。」


アマテラスは興を削がれたのだろう。
少し投げやりに説明すると、ため息をついて最後に一言だけ付け加えた。


「そのバカをさっさとぶっ飛ばして、目を覚ましてやってくれ。頼むぞ。」


「わかりました。そうだ、ア…アマテラス様!一つ伺いたいことが…!ウォタは…!?」


ゼンはそう叫んだが、すでに通信は途絶えたのか、アマテラスからの反応はなかった。

そして、時が動き始める。


「おんなぁぁぁ!!死ねぇぇぇぇ!!!」


再び八岐大蛇がミコトに襲いかかる様子を見て、質問どころではなくなったゼンが焦って声を上げる。


「い…いかん!ド…ドラゴニックフォーム!!」


その瞬間、ゼンとミコトの体が大きく輝き出したのだった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない 

堀 和三盆
恋愛
 一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。  信じられなかった。  母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。  そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。  日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...