ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

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第三章 ランク戦開催

93話 フタリデ…ヒトツ

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「あ~あ…オロチの奴、ボコボコじゃねぇか。」


ミコトに掴まれたまま、気を失って脱力する八岐大蛇を見て、ヴィリはそうつぶやいた。


(こいつ…いや、この方は…!)


ヴィリを見て驚くゼンとは対照的に、ミコトは睨みつけるようにヴィリに目を向けた。


「あなた…なぜここに?」

「だから、そいつを回収しに来たんだよ。同じこと何度も言わせんなよな。」

「なんで八岐大蛇を?あなたになんの関係があるの?」

「そんなん、なんでもいいだろ?お前に言う義理はない。」

「なら、私にも彼をあなたに渡す義理はないよね。」


強気に出るミコトに対してヴィリは大きくため息を吐く。
そして、頭をかきながら面倒臭そうに口を開いた。


「スキルに心まで侵食されちまってんじゃねえか…ったく、弱気なお嬢ちゃんがたいそう元気のいいことで…」

「弱…気な…違う!私は弱くなんかない!!」


ヴィリの言葉に動揺するミコト。
しかし、気にすることもなくヴィリは話し続ける。


「竜種とくっついて強くなっただけだろ?心も弱いから影響されまくってるし…お前の本質なんてただの弱虫じゃねぇか。何が違うんだ?人の力借りて強くなったからって調子に乗んなよな。」

「…う」


ヴィリの言葉はまさに正論だった。

この強さはミコト自身のものじゃない。
正確に言えば、ゼンの力に頼っていることは事実である。

それについてミコトも理解しているからこそ、ヴィリの言葉が胸に突き刺さった。

理由はわからないが、さっきから何度も自分を見失っていることにミコトは気づいていたのである。

視線を落として落ち込むミコトであったが、ゼンは違っていた。


『御方よ、無礼を承知で申し上げます。』

「あん?お前、炎竜か…」


ヴィリもゼンが何を告げるのか興味が出たのだろう。
少し笑いながら、その言葉に耳を傾ける。


『貴方は神界に住まわす至高の方のお一人かと存じます。』

「そうか、お前はわかるんだったな。いかにもそうだが…」

『やはり…それを承知の上で言わせていただきますが、彼女は弱虫でも何でもない。しぐさや行動からは確かにそう見えるかもしれませんが、彼女の心の中には相手を思いやる優しさがあります。』


その言葉にヴィリは笑うのをやめた。
ゼンは構わずに続ける。


『御方たちに比べれば人は…彼女らは確かに弱い存在です。しかし、それを補うほどの心の強さも持ち合わせている。彼ら人間は自分のためだけでなく、相手の立場に立って物事を考えることができるのです。手を取り合い、力を合わせて前に進む強さ…それらは我々にはない強さだと思います。そうやって必死に歩んでいる彼女たちを、馬鹿にしないでいただきたい!』


そこまで告げると、ゼンは口を閉じた。
ミコトは少し驚いたが、ゼンの言葉を嬉しく思う。

一緒に強くなろう…そう決めた一番の友。
そのゼンの言葉がミコトの気持ちを前に押しやった。


「あなたの言うとおり確かに私は弱いよ…ゼンちゃんの力を借りなきゃ満足に戦えもしない。だけど、こんな訳の分からない世界に突然連れてこられて、みんな必死に戦ってるの!たくさん悩んだり迷ったり苦しんだりもしている!そうやって…私たちは必死に生きてるんだ!」

「……」

「あなたが何者なのか…ゼンちゃんの反応を見たらだいたい察しはつく。だけど、思い通りにはさせないよ!」


ミコトはそこまで叫ぶと、両拳を前に出して力強く構えた。

対するヴィリは、眉をひそめて無言でミコトの言葉を聞きながら、何やら考えているようだった。

そして、突然何かを思いついたように口元に笑みを浮かべると、笑い始める。


「本当に人間ってのは傲慢だな。自分達の立場をわきまえずに好き勝手言いやがる…」


片手を右目の前に置いて、可笑しさに堪え兼ねるかのように肩で笑うヴィリ。

ミコトは隙を見せないように、ジッと彼を見ている。

そんな中、ヴィリは笑い終えると、手を下ろしてミコトヘと視線を向けた。


「わかった…そこまで言うなら俺が少し相手をしてやるよ。その代わりどうなっても知らねぇぞ?もしかしたら、あの青い竜種みたいになっちまうかもな!!」

『な…青い竜種のように…?そ…その話をお聞かせ…』

「誰が教えるか!バーカ!!」


その瞬間、ヴィリはミコトとの距離を一気に詰める。
そして、懐に飛び込むと下から右拳を突き上げた。


「なっ…!」


対するミコトは、突然目の前に現れたヴィリに驚いたが、辛うじてその拳に反応し、なんとか上半身を仰け反らせる。


「ほう…これれくらいなら避けれるのか!!」


笑みを深めたヴィリ。
こんどは体をひねって後ろを向くと、左足での蹴りを放った。


「ぐぅ…!!」


流石にかわすのは難しく、ミコトは八岐大蛇を放して腕を自分の前で交差させ、その蹴りを防ぐ。

が、思いのほかその蹴りの威力は強く、体ごと大きく後ろへと吹き飛ばされてしまった。


『ミコト…!!大丈夫か!?』

「うん…これくらいなら大丈夫!だけど…」


ミコトは足で地面を削りながら体勢を整えつつ、正面から物凄い勢いで向かってくるヴィリに目を向ける。


「今のも防ぐかぁぁぁ!!いいねぇ!!」

「だけど、負けられない!はぁぁぁぁ!!」


ミコトはヴィリの突進にタイミングを合わせて、オーラを纏わせた拳を放った。

その拳は吸い込まれるようにヴィリの顔めがけて振り抜かれるが、当たる寸前でヴィリは姿を消し、ミコトはその行方を見失う。


「あ…あれ!?」

『ミコトォ!!後ろだ!!』

「遅っせぇよ!!」


いつのまにか後ろに移動していたヴィリが左脚で蹴りを放てば、ミコトの脇腹で鈍い音が響いた。


「ぐっ…!!きゃあっ!!」

『ミコトっ!』

「はっはぁ~!これは無理だったなぁ~!」


蹴り飛ばされつつも、なんとか受身を取って体勢を立て直したミコトに対して、ヴィリは上げたままの左脚を戻しながらいやらしい笑みで笑った。

それを見ながら脇腹を押さえ、痛みを抑えるように肩で呼吸をするミコトにゼンが声をかける。


『ミコト、大丈夫か?!』

「う…うん、なんとか…ね。それにしてもあの人かなり強い…今のは見えなかったよ。肋骨…何本か持ってかれたもっぽいし…」

『相手が相手だからな…。すまんな、私がムキにならなければ、こんなことには…』

「ううん…気にしないで。ゼンちゃんの言葉、とっても嬉しかったから。だから私も言い返したんだしね…」

『しかし、ミコトに戦わせるばかりで…私は何もできていない…』


落ち込んだ声でそう話すゼンに、ミコトが小さく笑った。


「何言ってるの?私がここまで戦えているのは、ゼンちゃんの力のおかげなんだよ。しかも、強気になれるオプション付きで…何度か自分を見失っちゃったけどね。」

『ミコト…』

「ゼンちゃんがいるから私は戦える。二人で力を合わせたから、八岐大蛇だって止めることができたんだよ。ゼンちゃんは何もできてなくなんかないよ。私たちは二人で一つなんだから!」


ゼンはその言葉が嬉しかったが、同時に悔しくもあった。

確かにスキルでミコトと一つに重なり合い、八岐大蛇を凌駕するほどの力を手に入れることができた。

今ならウォタにも届くかもしれないと…
そう思えるほどの力を…だ。

しかし、現状を見れば自分はただ静観しているだけ。
力を譲渡するだけして、ミコトが戦う姿を見ているだけに過ぎないのだ。

しかも、自分の力がミコトに与える影響は、良いものばかりではないことにも気づかされる始末だ。


(くそ…もどかしいな。これでは一緒に戦っているとはとても言い難い…)


ゼンがそんなことを考えていると、ヴィリが大きくため息をついた。


「これ以上は無意味だな。俺もお前たちを殺したくはないし…そろそろ八岐大蛇はもらっていくぜ?」


腰に手を置いて面倒臭そうにそう告げるヴィリ。
しかし、ミコトはそれには頷かない。


「…まだだよ!八岐大蛇は渡さない。」

「はぁ~強気なのはいいが…今ので肋骨が何本かイッてるはずだ。回復役もいねぇし、そもそも俺には勝てねぇってわかっただろ?」


その言葉に対し、ミコトは無言でポーションを取り出した。


「そうか…そんなアイテムもあったな。」


目の前でポーションを使用するミコトを見ながら、さらに面倒臭そうな表情を浮かべるヴィリ。

脇腹の痛みから解放され、再び構えをとるミコトに向けて小さくつぶやいた。


「仕方ねぇなぁ…なら、死なない程度に虐めてやる!!」


しかし、それは叶わなかった。
突然飛び出してきた大きな狼が、ヴィリの前に立ち塞がったからだ。


「げ…こいつは…」


何かに気づいて眉をひそめるヴィリに声がかけられる。


「そこまでだ、ヴィリ。妾の国でこれ以上の狼藉は許さんぞ!」
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