ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

文字の大きさ
238 / 290
第四章 全ての想いの行く末

9話 ロノスの興味

しおりを挟む

「BOSS…私があの黒い鎧の相手をしますですわ。」


フレデリカはイノチの横でそうつぶやくと、イノチも「あぁ頼む。」と小さくつぶやいて後ろへ下がった。

イノチ自身、ロノスと自分の力の差はすぐに理解できたし、ここにいるメンバーで渡り合えるのはフレデリカだけだと判断したのだ。

拳をパキパキと鳴らしながら、ゆっくりと前に出てきたフレデリカを見て、アカニシとセイドも身構える。

そんな様子を見ていた団長ロノスが、フレデリカに声をかけた。


「君がこの中で一番強いんだね。なるほど…で、俺の相手をするって訳かい。」

「普通に考えればそうだと思います、ですわ。」

「確か、後ろの彼が君たちのBOSS…だったね。」

「…だったらどうだっていうのです?」


フレデリカの問いかけにロノスは笑う。


「どうだもなにも…僕は彼と闘いたいんだよね。君とじゃなくて…」

「だからといって、はいそうですかとなると思のですわ?」


ジロリとロノスを睨みつけるフレデリカ。
しかし、ロノスも怯む事なく相変わらず飄々と受け応える。


「思ってはないけどさ…でも、たぶん彼は君より強いだろ?もちろん総合的には君には敵わないだろうけど…ね。」

(こいつ…BOSSに何かを感じ取っている訳ですわね。)


ロノスの言葉により警戒心を高めて、フレデリカはイノチの前に立つ。

その様子を見て、ロノスも諦めたように笑った。


「まぁ、仕方ないね。とりあえず、君を倒してから彼とご対面といこうかな。アカニシ、セイド、二人は神獣の相手を頼むよ。彼女がそうご所望してるからね。」


アカニシもセイドも、彼の言葉に無言でうなずいた。


「ケンタ!ミノタ!油断はするなですわ!」

「おうよ!任せとけってんだ!」

「そうだミノ!!今回はぶっ倒すミノ!!」


フレデリカの言葉に、神獣ケンタウロスとミノタウロスも前に出てくる。

二人とも得物を手に持ち、アカニシとセイドの前に立ちはだかった。

その様子にセイドは小さくため息をつく。


(大丈夫かよ…ミノタウロスのやつ、ちゃんと作戦を理解してんだろうな…)


相対するミノタウロスは鼻息を荒くしてやる気満々だ。
その様子を見て少し不安になるセイドだが、それはイノチも同じだった。


(ミノタのやつ…作戦忘れてないよな?どう見てもセイドを倒す気満々なんだけど…)


セイドが仲間だということは、ケンタウロスにもミノタウロスにも事前に伝えてある。

団長ロノスがこの場に直接の来たことは予想外だったが、この状況は作戦の範疇なのだ。

ケンタウロスの様子を見れば、それをちゃんと理解はしているようではあるが、ミノタの方は…

しかし、心配するイノチに気づいて、ケンタウロスがチラリと目配せする。

ミノタウロスはこれでいいんだと言わんばかりの視線に、イノチもなぜだが少し安心した。


(ミノタには難しいことは抜きってことだな。ここからは実戦…考えても仕方がない。場面場面で対処していこう…まずはこの戦いを切り抜ける!)


イノチはそう決心して、仲間たちの戦いを見守る事にしたのだった。

フレデリカとロノス、ケンタウロスとアカニシ、ミノタウロスとセイド。

それぞれは互いに影響されないように、少し距離をとって向き合った。


「あんた…前回俺に負けたプレイヤーだよな。今回も痛い目みせてやるよ。」

「だまれ、クソモンスター。今回は前のようにはいかねぇ…」

「カカカ…」


ニヤリと笑うケンタウロスに対して、アカニシは怒りを浮かべてギリッと歯を鳴らした。

一方では…


「ミィィィノォォォ!!!やってやるミノよぉぉぉ!!」

「はぁ…勘弁してくれよ、まったく…」


とてつもなく大きな斧を、軽々と持ち上げて気合を入れるミノタウロスの前で、心配が拭えないセイドは鎧の上から頭をかいている。

そして、フレデリカたちはと言うと…


「さて、さっさと終わらせようか。」

「まったく、舐められたものです。だけど、わたくしも最初から全力でいきますですわ。」

「舐めてないさ…君は強いってことはわかってる。だけど、それよりも俺が強いこともわかってる。」

「ちっ…減らず口を…」

「…フフフ、おしゃべりはこの辺で終わりにしよう。」


ロノスはそう告げると腰に挿していた剣を抜く。
鋭く、そして透き通った音が響き、美しく光り輝く剣身が姿を現した。

そのまま鎧をガシャンと鳴らし、剣を構えるロノスに対して、フレデリカもファングソードの剣先をロノスに向ける。

イノチが見守る中で、戦いの火蓋が切って落とされた。





「始まったね。」


王宮内に高くそびえ立つ塔の一つ。
そこに立つ一人の男はそうつぶやいた。

銀色に輝く髪を風になびかせ、彼は眼下に広がるその様子をジッと眺めている。

君主を守るべく武器を振るう兵士たちと、自由を求め独裁者を討つべく攻め入るレジスタンスたち。

両者のせめぎ合いは激しさを増し、轟く声はまるで天への祈りのようだと男は感じた。


「君たちの願いのどちらが、神たちに聞き入れられるのだろうか…」


そうつぶやいて、男は人々の争いを物憂げに眺めている。
そのうち、彼の目には涙が溢れ、それが頬を伝った。


「…理不尽な神たちによって、運命さえも決められてしまう哀れな人間たち。神の手のひらの上で転がされていることにも気づかず、選択の一つ一つが自分たちで選んだ未来だと信じているなんて…」


涙を流しながらとても残念そうに一人で嘆く彼は、自分の涙を一粒拭って口に入れる。

そして、目をつむると、その味をしっかりと味わうように口の中で転がした。


「これは君たち人間の悲しみの味…僕はこれを忘れないよ。この渦巻く悲しみの連鎖から君たちを解き放つ…僕が必ず…」


両手を広げて天を仰ぎ、泣きながら目を開く。
そんな彼の左目には、まるで時計を形取ったような瞳があった。

男は少しばかり想いに耽るようにそのままでいたが、やがて涙を拭い、顔を前へと戻す。

そして、戦う人々の姿を見渡しながら一言だけつぶやいた。


「ロノス…とりあえずは頼んだよ…。この世界を救うために…まずはこの国を取り戻そう…」


最後に再び物憂げな表情を浮かべ、男は静かに姿を消した。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない 

堀 和三盆
恋愛
 一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。  信じられなかった。  母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。  そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。  日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...