ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

文字の大きさ
237 / 290
第四章 全ての想いの行く末

8話 アレックスの怒り

しおりを挟む

睨むハーデに対し、ニコニコと笑うアレックス。
二人は互いに自分の得物を構えて見つめ合う。


「てめぇらが本気を出してねぇことがわかったら、まじでムカついてきたぜ。覚悟しとけよ!!」


そう告げたハーデは、怒りのままに巨大な斧を振りかざした。


「はぁ~♪おじさんってそれしかできないの♪?」


つまらなさそうにそうつぶやくアレックスに対して、ハーデはニヤリと笑みをこぼす。


「だから舐めすぎなんだよ!言っただろ…今回は前とは違うって!」


その瞬間、ハーデの姿が消えた。
それにはさすがのアレックスも驚きを隠せない。


「あ…あれ♪?」


驚いた顔を構えた盾の上から出して、キョロキョロとあたりを見回すアレックス。

そんな彼女の真後ろに突然ハーデが現れた。
そして、振り上げていた斧をアレックスに向けて振り下ろす。

しかし、それを察知したアレックスは振り向いてすぐに縦を構えた。


「なんだ♪動きが早くなっただけじゃん♪」


少しあきれたようにつぶやくアレックス。
だが、その言葉にハーデは笑っていた。

ガキンッと乾いた金属音が響き、アレックスの盾がハーデの斧を軽々と防ぐ。

そのまま、アレックスが盾によるカウンターを繰り出そうとするが、突然盾が軽くなり、ハーデが目の前からいなくなったことに気づいた。


「もう…♪またいなくなった♪」


プンスカとハムスターのように頬を膨らませるアレックス。
辺りを見回せば、違う場所に笑っているハーデの姿を見つけた。


「おじさん、やる気あるの♪逃げてばっかりでさぁ♪」


口を尖らせて地団駄を踏む様子は、可愛らしいの一言に尽きる。

しかし、そんなアレックスもハーデがなぜ余裕を見せていたのか、すぐに気づいた。

最初にいたハーデの横に一人、また一人とハーデが複数現れたからだ。


「うぇぇぇ~♪うそでしょぉ♪」


総勢10人のハーデが同じように肩に斧を担ぎ、笑みを浮かべている様子は圧巻であった。

それを見たアレックスは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。


「「「ガハハハ!!どうだ!さすがのお前でも俺さま10人分の威力を防ぎ切れるかなぁ!?」」」

「き…気持ち悪い…♪」


大笑いするハーデたちを見て、涙目のアレックスは次第に体を縮めて震え出した。


「「「そんな姿にゃ騙されねぇ!全力でいくぞぉ!!」」」


しかし、そんなアレックスの様子を気遣うこともなく、10人のハーデたちは一斉に斧を振り上げ、彼女に向けて飛びかかったのである。


「「「死ねぇやぁぁぁぁぁぁ!!!」」」


センスのかけらもないセリフを吐き出しながら、鼻息荒く斧を振りかざすハーデ。

落下の勢いを利用するつもりなのだろう。
建物の3、4階に到達するのではと思うほど、高く飛び上がった10人のハーデの姿は、脅威を感じてしまうほどであった。


「うわぁぁぁぁ♪来ないでよぉぉぉぉ♪」


そんなハーデの姿に、アレックスの顔はさらに恐怖に彩られる。



一方、メテルを下し、アレックスたちの様子を遠目でうかがっていたエレナは、それを見てポツリとつぶやいた。


「終わったわね…」


その言葉に呼応するように、震えながらも構えていたアレックスの盾から、漆黒のオーラが姿を現したのだ。

ウネウネとまるで蛇のようにうごめくオーラ。
それらはアレックスの周りに一気に拡がって、大きな壁のようなものを形成していく。


「「「なっ…なんだぁぁぁぁ!?」」」


満を持して飛びかかったハーデも、目の前のアレックスに何が起きているのか理解できないでいた。

しかし、そんなことには構うことなく、その壁は実体化しながら拡がっていき、最後には大きな盾を思わせる形へと変貌を遂げる。


「気持ち悪いおじさん♪ごめんねぇ、これで終わりだよ♪」

「「「なっ…ぬ…ぬかせぇ!!!!」」」


アレックスの変化に驚いたものの、ハーデとて諦めるわけにはいかない。

目の前に障害があれど、それを突破しなければ今の彼に次はないのだから。


「「「インパクトアックス・十天撃(じってんげき)」」」


そう叫び、全ての斧をアレックスに向けて振り下ろしたハーデ。

自身の体重に加え、落下によって加速度的に上乗せされた運動量を含んだその一撃…否、十撃は、アレックスが創り出したオーラの盾と激突し、強大な衝撃波を生む。


「確かに…あれはあたしでも受け切れないわ。でも、相手が悪かったわね。」


その衝撃波によって、周りにあったオブジェクトや建物の一部が吹き飛ばされていく一方で、何事もないかのようにその場に立ち、エレナは腕を組み、髪や服をなびかせながら遠目にそうつぶやいた。


「うわぁぁぁぁ♪前回の一撃よりも確かに重たいねぇ♪ちょっと面白かったかなぁ♪」

「「「ぐが…ぐぎぎぎぎ…」」」


ギリギリと斧を押し入れようと力を込めるハーデたち。
その目の前ではアレックスが涼しい顔で笑っている。


(なんなんだ、こいつらは…。あの茶髪の姉ちゃんの動きもそうだが、このちびっ子の防御力もやっぱりあり得ねぇ…団長のバフを受けても越えられないなんて…。)


そう思いつつ必死に力を込めるハーデを見て、アレックスはさらに楽しげに笑ってこう告げた。


「でも、もういいや♪その程度で僕らのBOSSに楯突いてさ♪ほんとにムカつくよぉ♪」


その言葉を聞いた瞬間、ハーデは底知れない気配と寒気を感じ取った。

体中から汗が噴き出して止まらない。
意志に反して体が震えているのだ。

その原因が、目の前にいる小さな少女から感じられるドス黒い殺気であると気づくのに、それほど時間はかからなかった。


「「「て…てめぇは…いったい…」」」


笑う瞳の奥に見えた闇。
本能的に臆してしまい、柄を握る手が少しだけ緩む。

その瞬間…


「あは♪死んじゃえぇ♪シールドカウンター『地』♪♪♪」


アレックスがそう叫ぶと、先ほど波紋のように広がった衝撃波が、まるで逆再生されるかのようにアレックスの漆黒の盾へと再び収束されていく。


「「「な…なんだとぉぉぉ!??」」」


驚愕するハーデをよそに、それら全てがアレックスの盾に集まり終えると、今度はその力を吐き出すようにハーデに向けて大きな衝撃波が放たれた。

襲いかかる衝撃波により9つの分身体は全て消え去り、残された彼の本体だけが天高く打ち上げられる。


「が…はっ…!!」


目、鼻、耳、そして口から血反吐を垂れ流し、朦朧とする意識の中で宙を舞うハーデは、地上で笑うアレックスを視界に捉えた。

ニコニコと楽しげに、そして優しげに笑うその姿はまるで天使のよう…彼にはそう見えていたのだろう。

救われたような表情をしたままハーデは意識を失うと、そのまま落下して鈍い音を立てて地面へと激突する。

決着がついたことを察してエレナが近づいてきた。

彼女の手にはメテルの足が掴まれており、どうやらここまで引きずってきたようだ。

そのメテルの体を倒れているハーデのところへ投げ飛ばすと、エレナは手をはたきながらアレックスにあきれたように告げる。


「アレックス…殺しちゃダメってBOSSに言われたの、忘れたの?」


しかし、アレックスに悪びれた様子はなく、ニコニコしながらそれに返す。


「あ♪エレナさんも終わったんだねぇ♪大丈夫、僕のスキルでは死んでないはずだよ♪でも、今の落ち方はまずかったかもなぁ♪」

「まずかったかもなぁって…あんたねぇ。はぁ…まぁいいわ、さっさと先へ進むわよ。東側を制圧して、レジスタンスたちを王宮へ案内しないとね。」

「うん♪はぁい♪」


可愛らしく手を挙げるアレックスを見て、エレナは小さく鼻で笑った。

先へ進んでいく二人。
気を失ったメテルとハーデが、その背を見送るようにその場に平伏していた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない 

堀 和三盆
恋愛
 一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。  信じられなかった。  母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。  そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。  日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...