6 / 42
5話 訪問美女とナゾの依頼
しおりを挟むドアを開けた先。
目の前に立っていたのは苛立った様子で腕を組み、俺を睨んでいるおっぱ……あ、いや……女性でした。
「え……えっと……どちら様でしょうか?」
突然の訪問者に俺は動揺を隠せずに問いかけるが、相手は睨みつけてくるだけで返事はない。
訪ねてきたってことは用があるはずだろうけど、しゃべってくれないと話が進まないじゃん。
そう内心でぼやきつつ、視線をおっぱ……いや、彼女へと向ける。
朝日で輝く銀色の長い髪が風に揺れる。
細身のロングパンツに包まれたスラっとした長い脚と折れそうなくらい細いウエストは、今まで街では見たことがないレベルのスタイルで、ついついその美貌に見惚れてしまう。
そして何より、大きく開いた胸元から見える双丘の存在感に俺の視線は抗うことができないらしい。
しかし、どこかで見たような双丘だな。
「君……初対面の女性の胸ばかり見るのは最低なんじゃない?」
「え……?いや……それは……その……」
ばっちりばれてら……
ごもっともな指摘に、俺はついついあたふたしてしまう。
そういえば、前に街の女の子から聞いた話だと、女性って男の視線には敏感で相手が自分のどこを見ているかは目を瞑っていてもわかるとかなんとか。その時の俺は、自分は絶対にばれないぜとか高を括っていたけど、所詮は俺も平凡男性の一人だったようだ。
ていうかそもそも、こんな巨乳を前にして見ない男がいるものか。でっかい乳は男のロマン。この大きな双丘には夢と希望が詰まっているんだ。そんな至宝的存在に興味がない奴なんてこの世には存在しないと俺は思っている。もしも仮にいたとしたら、そいつは漢じゃない!俺が必ずそいつを説得する!目を覚ませってね。
「……さっきから一人で何を考えているの?」
「え……?」
どうやら気持ちが動きに現れていたらしい。彼女の一言で、俺は自分が変なポーズをしている事に気づかされた。
そして、そんな俺の動きを見た彼女は怪訝な視線……まるで異物を見るような視線をこちらに送っている。
「ご……ごめんごめん。ちょっと妄想世界へ旅に行ってました。」
「妄想……?ちょっと言っている意味がわかりませんけど……とりあえず話を進めていいかしら?」
言っている意味が理解できずに眉を顰めてそう告げる彼女に対して、俺は苦笑いとともに頷いて見せる。
ていうか、この人なんでこんなに偉そうなんだ?話を進めていいかって言うけど、そもそも俺が問いかけた時に答えてくれればもっと早く話が進んだんじゃないかな。
しかし、そう思っても口に出さない事が女性との会話では重要である。
余計な事を言ってしまうと、そこから話がおかしな方向へと進む……そう街娘のエルダから教えてもらった事がこんなところで役に立つとは。
今度、エルダには香水の原料となる薬草をいくつか見繕ってやろう。
俺がそうやって一人で頷いていると、彼女は呆れたようにため息をついて口を開いた。
「今日は君にお願いがあってここに来ました。」
「お願い……?」
「えぇ、そうです。」
予想していなかった発言に驚いた。
お願いって事は指定薬草の採取とかかな?でも、それはギルドに申請してもらわないと受けられない決まりだし。たまにそれを知らない人が直接依頼に来る事があるけど、彼女のお願いってもしかしたらその類だろうか。
「薬草採取のご依頼でしたら、まずはギルドへ申請してもらう必要が……」
「違います。」
念のため、俺は定型的な対応文で伝えてみたがどうやら違ったらしい。彼女は俺の言葉を即座に遮った。
「……違いますか。じゃあ、何でしょう。俺に依頼が来る案件なんて薬草関連しか思いつかないんで。」
俺は頭を掻きながら再び苦笑いを浮かべて様子を見る事にした。だって、依頼なんてそうそう来るもんじゃないし、他に思いつかないんだから仕方がない。
だが、今度は彼女の方が何やら動揺し始めたようで、どこか切り出しにくそうな雰囲気でモジモジとしている。
いったい何なんだろう。早くしてくれないと昨日のブラックボアの死骸処理する時間がなくなるんだけどな……などと考えながらなかなか切り出してくれない彼女に痺れを切らした俺は、小さくため息をついて気を取り直すと優しい笑顔で問いかけてみた。
「とりあえず、ここじゃなんですから中へ入りませんか?この時期の朝はまだ冷えますから。」
女性はその言葉に少し驚き気味だったが、それが彼女の心を落ち着かせたらしい。
彼女も気を取り直すように一息をつき、真剣な眼差しをこちらに向けてこう告げた。
「いえ、それには及びません。なぜなら、今この時を持ってここが私の住まいになるのだから。」
「ここが君の……住まいにね……はっ!?えっ!?」
一瞬、言っている意味がわからずに聞き返すが、それに対して彼女は毅然とした態度を崩さない。
「聞こえなかったのならもう一度言います。私は今日からここに住みます。これは決定事項であって、あなたに拒否権はありません。」
地面を指差したまま異論は許さないと視線で伝えてくる彼女に対して、俺は言葉を失ってしまうのだった。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ
Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。
理由は決まって『従妹ライラ様との用事』
誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。
「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」
二人の想いは、重なり合えるのだろうか ……
※他のサイトにも公開しています。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
どうぞお好きになさってください
みおな
恋愛
学園に入学して一ヶ月。
婚約者の第一王子殿下は言った。
「学園にいる間くらい自由にさせてくれないか。君が王太子妃になることは決定事項だ。だから、せめて学園に通う二年間は、僕は恋がしたい」
公爵令嬢はその綺麗な顔に冷酷な笑みを浮かべる。
「好きになさればよろしいわ」
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる