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22話 お知り合いではございません
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「おーほっほっほっほっ!!ユウリさまぁ!!わたくしと……わたくしと遊んでくださいませぇぇぇ!!!」
甲高い声とともに歪んだ笑みを浮かべるディネルース。
その姿は異形という言葉が1番相応しいと思った。上半身はディネルースの姿そのままだが、彼女の下半身は植物と化しており、無数の蔓が触手のようにウネウネと広がっていく様子が窺える。
あれを一言で表すなら魔物だ。昨日襲われたヘルフラワーの様に醜悪なその姿に俺は息を飲む。
「ちっ……気持ち悪いわね。だからエルフ族は嫌いなのよ。」
そんな俺の横では、嫌悪感を露わにしたターが変身したディネルースの姿に悪態をついている。
「……なぁ、エルフ族ってみんなあんな風になるのか?」
「そんな訳ないでしょ。でも、あいつらは森人って呼ばれるくらい自然に近く、自然を愛して生活する種族なのよ。そして、さらに言うなら自然への愛が度を超えてる変人や変態が多い種族でもあるから、より自然に近づくために自分を改造するやつも少なくないの。あんな風に気持ち悪い能力を持ってる奴もいるって昔聞いた事があるわ。」
「……く……詳しいんだな。俺、エルフに会うのは初めてだったから知らなかった。」
「感心してないで早く構えなさい。死ぬわよ?」
ターにそう言われてハッとした。
確かに唖然としている場合ではない。ディネルースが俺に遊ぼうと言っている事からも、標的は俺であると推測できる。なぜ自分が……と疑問も浮かぶが、それよりも今は自分の身を守る事が先決だろう。
ただし、今日も武器になりそうな装備は採取用に持ってきた鎌が1つだけだ。しかも使い古しでけっこうボロボロになっている。
昨日のヘルフラワー戦といい、どうしてこうもタイミングが悪いのか。本来なら、こういう事も想定して必ず武器は携帯しているのに、いつものルーティンが崩れるとこれだけ弊害があるのか。これも全部ターとディネルースのせいだと内心で苛立たしく思う。
「くるわよ!」
ターがそう告げた瞬間、ディネルースが笑いながら触手による攻撃を繰り出してきた。
無数の触手が縦から横からと隙間なく振り回される様子はまるで嵐の様であったが、俺は一撃も受ける事なく淡々と全ての触手をかわしていく。俺の横で同じ様に触手による攻撃をかわしているターはどうやら少し苦慮しているらしく、俺の動きを見て驚いている様だった。
だが、今はターの事を気にしているほどの余裕が俺にはない。平穏な日々を壊された事への苛立ちとストレスは、俺が知らない間に心の奥底で溜まりに溜まっていたのだろう。心の中から沸々と湧くその大きな怒りの塊は表面に出ることはないものの、その矛先をディネルースへと静かに向けていた。
「な……なぜ当たらないのぉぉぉぉぉぉ!?」
俺の動きに対して半分は愉悦、もう半分は驚愕の色を顔に浮かべたまま、ディネルースは触手による攻撃の勢いをさらに加速させた。
「く……!」
ターはその圧力に耐えきれなくなり、かわせないと判断したのだろう。とっさにガードを固めて触手の強打に備えたが、思った以上に触手の力は強く、体ごと吹き飛ばされてそのまま全身を大木へと叩きつけられた。
小さな悲鳴が俺の耳に鮮明に響いた。
かなり離れた位置に吹き飛ばされたはずなのに、彼女の悲鳴がこんなにも鮮明に聞こえるのはなぜだろうかと疑問が浮かんだが、それも一瞬で怒りに飲まれた。
彼女が攻撃されたその事実が、なぜか無性に許せなくて堪らないのだ。
「アハハハハ!!1匹ぃぃぃぃぃ!1匹仕留めたわぁぁぁぁ!!」
ディネルースの振る舞いは自我を失っているかの様に思えたが、もはやそんな事はどうでもいい。
無数に飛び交う触手を淡々とかわしながら、ディネルースがターを吹き飛ばした際に見せた一瞬の隙に拾っていた小枝を、彼女の喉元めがけて投げつける。
「甘いぃぃぃぃ!甘いですのよぉぉぉぉユウリィィィィィ!!」
呼び捨てにされた事に対して嫌悪感を抱きつつ、小枝が目的の位置に届く前にディネルースがそれをはたき落とした事を確認する。
俺の狙いはそこにあったから。
ディネルースの意識が小枝に向いた一瞬の隙に、俺は彼女との間合いを一気に詰めて懐に潜り込んだ。
「なっ…………!!?」
さすがのディネルースもこれには驚きを隠せない。確かに一瞬の隙ができたとはいえ、触手は攻撃を続けていたのだから、それを掻い潜ってここまで間合いを詰めてくるとは思っていなかったのだろう。
だが、彼女は俺の技量を見誤った。簡単に言えばそれが敗因だ。
「助けられた恩を仇で返しやがって。」
「ちょ……ユウリさま!?お待ちに!お待ちになってくださいまし!!」
突然、普通の喋り方に戻ったディネルース。
さっきまでの自我を失った様な振る舞いは、もしかして演技だったのか?迫真の演技ってやつなのか?
それに騙されていたと感じた瞬間、俺の中でさらなる怒りが湧き上がった。拳を握り締め、その怒りを載せる様に振りかぶる。
「ユウリさま!女性に……女性に拳を向けてはいけませんよね!?ね!ね!わたくしたち、もうお知り合いでしょ!?だから……」
「俺の知り合いにそんな気持ちの悪い女友達は……いないわぁぁぁぁ!!!」
そう吐き捨てた俺は、ディネルースの頬をめがけて思いっきり拳を突き出した。
その瞬間、森中に轟音と断末魔が響き渡った。
甲高い声とともに歪んだ笑みを浮かべるディネルース。
その姿は異形という言葉が1番相応しいと思った。上半身はディネルースの姿そのままだが、彼女の下半身は植物と化しており、無数の蔓が触手のようにウネウネと広がっていく様子が窺える。
あれを一言で表すなら魔物だ。昨日襲われたヘルフラワーの様に醜悪なその姿に俺は息を飲む。
「ちっ……気持ち悪いわね。だからエルフ族は嫌いなのよ。」
そんな俺の横では、嫌悪感を露わにしたターが変身したディネルースの姿に悪態をついている。
「……なぁ、エルフ族ってみんなあんな風になるのか?」
「そんな訳ないでしょ。でも、あいつらは森人って呼ばれるくらい自然に近く、自然を愛して生活する種族なのよ。そして、さらに言うなら自然への愛が度を超えてる変人や変態が多い種族でもあるから、より自然に近づくために自分を改造するやつも少なくないの。あんな風に気持ち悪い能力を持ってる奴もいるって昔聞いた事があるわ。」
「……く……詳しいんだな。俺、エルフに会うのは初めてだったから知らなかった。」
「感心してないで早く構えなさい。死ぬわよ?」
ターにそう言われてハッとした。
確かに唖然としている場合ではない。ディネルースが俺に遊ぼうと言っている事からも、標的は俺であると推測できる。なぜ自分が……と疑問も浮かぶが、それよりも今は自分の身を守る事が先決だろう。
ただし、今日も武器になりそうな装備は採取用に持ってきた鎌が1つだけだ。しかも使い古しでけっこうボロボロになっている。
昨日のヘルフラワー戦といい、どうしてこうもタイミングが悪いのか。本来なら、こういう事も想定して必ず武器は携帯しているのに、いつものルーティンが崩れるとこれだけ弊害があるのか。これも全部ターとディネルースのせいだと内心で苛立たしく思う。
「くるわよ!」
ターがそう告げた瞬間、ディネルースが笑いながら触手による攻撃を繰り出してきた。
無数の触手が縦から横からと隙間なく振り回される様子はまるで嵐の様であったが、俺は一撃も受ける事なく淡々と全ての触手をかわしていく。俺の横で同じ様に触手による攻撃をかわしているターはどうやら少し苦慮しているらしく、俺の動きを見て驚いている様だった。
だが、今はターの事を気にしているほどの余裕が俺にはない。平穏な日々を壊された事への苛立ちとストレスは、俺が知らない間に心の奥底で溜まりに溜まっていたのだろう。心の中から沸々と湧くその大きな怒りの塊は表面に出ることはないものの、その矛先をディネルースへと静かに向けていた。
「な……なぜ当たらないのぉぉぉぉぉぉ!?」
俺の動きに対して半分は愉悦、もう半分は驚愕の色を顔に浮かべたまま、ディネルースは触手による攻撃の勢いをさらに加速させた。
「く……!」
ターはその圧力に耐えきれなくなり、かわせないと判断したのだろう。とっさにガードを固めて触手の強打に備えたが、思った以上に触手の力は強く、体ごと吹き飛ばされてそのまま全身を大木へと叩きつけられた。
小さな悲鳴が俺の耳に鮮明に響いた。
かなり離れた位置に吹き飛ばされたはずなのに、彼女の悲鳴がこんなにも鮮明に聞こえるのはなぜだろうかと疑問が浮かんだが、それも一瞬で怒りに飲まれた。
彼女が攻撃されたその事実が、なぜか無性に許せなくて堪らないのだ。
「アハハハハ!!1匹ぃぃぃぃぃ!1匹仕留めたわぁぁぁぁ!!」
ディネルースの振る舞いは自我を失っているかの様に思えたが、もはやそんな事はどうでもいい。
無数に飛び交う触手を淡々とかわしながら、ディネルースがターを吹き飛ばした際に見せた一瞬の隙に拾っていた小枝を、彼女の喉元めがけて投げつける。
「甘いぃぃぃぃ!甘いですのよぉぉぉぉユウリィィィィィ!!」
呼び捨てにされた事に対して嫌悪感を抱きつつ、小枝が目的の位置に届く前にディネルースがそれをはたき落とした事を確認する。
俺の狙いはそこにあったから。
ディネルースの意識が小枝に向いた一瞬の隙に、俺は彼女との間合いを一気に詰めて懐に潜り込んだ。
「なっ…………!!?」
さすがのディネルースもこれには驚きを隠せない。確かに一瞬の隙ができたとはいえ、触手は攻撃を続けていたのだから、それを掻い潜ってここまで間合いを詰めてくるとは思っていなかったのだろう。
だが、彼女は俺の技量を見誤った。簡単に言えばそれが敗因だ。
「助けられた恩を仇で返しやがって。」
「ちょ……ユウリさま!?お待ちに!お待ちになってくださいまし!!」
突然、普通の喋り方に戻ったディネルース。
さっきまでの自我を失った様な振る舞いは、もしかして演技だったのか?迫真の演技ってやつなのか?
それに騙されていたと感じた瞬間、俺の中でさらなる怒りが湧き上がった。拳を握り締め、その怒りを載せる様に振りかぶる。
「ユウリさま!女性に……女性に拳を向けてはいけませんよね!?ね!ね!わたくしたち、もうお知り合いでしょ!?だから……」
「俺の知り合いにそんな気持ちの悪い女友達は……いないわぁぁぁぁ!!!」
そう吐き捨てた俺は、ディネルースの頬をめがけて思いっきり拳を突き出した。
その瞬間、森中に轟音と断末魔が響き渡った。
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