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30話 お命ちょうだい
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「あらあら……楽しそうだこと。」
露天風呂でのユウリとディネルースのやり取りを、少し離れた位置から隠れて伺っていた男が口元で笑みを浮かべる。
「でも、あのエルフちゃん。良いタイミングでやらかしてくれるじゃない。どうなってるのかしら?ターちゃん。」
露天風呂の様子を少し離れた木陰で伺いながら、女性用の細い煙草を灯らせて桃色の短髪の男がそう告げると、その後ろにターが姿を現した。
「そんなの、私にもどうしようもないわよ。たぶん同業者っぽいんだけど、あいつ場所や時間なんて関係なく対象を殺そうとしているし……そもそも彼女を受け入れたのはターゲット自身。でも、これについてはちゃんと報告はしたはずよ。」
「まぁ、それはそうなんだけどさぁ。」
煙草を一喫して大きく吐き出すと、男はそれを携帯灰皿へと捨て、代わりに取り出したリップを塗り直す。
「まぁいいわ。ここからは私の領分だから、あなたは見ておきなさいな。」
「……」
男は怪訝な表情を浮かべているターにそう微笑みかけると、静かに姿を消した。残されたターは露天風呂でディネルースにゲンコツをくらわせているユウリを見て、大きなため息をついた。
・
「まったく!いい加減にしろって!」
と怒っても、ディネルースは俺のゲンコツを喰らってからずっと目を回したままなので、怒りのぶつけようがなかった。
露天風呂の一幕から、今は自室に戻ってきて彼女を布団の上に横にさせている。もちろん、俺が運んだ訳じゃない。素っ裸のディネルースを露天風呂から運んでいるところなんて周りに見られたら、確実に怪しいやつ認定されてしまう。俺自身が疑われるのは困るので、係の人を呼んでディネルースの介抱をしてもらった。もちろん、顛末については、こいつが男湯と女湯を間違って入ってきて中にいた俺に驚いて転んだ事にしておいた。場所が男湯だっただけに、俺が疑われる事はなく何よりだ。
小さくため息をつき、俺は自室のイスへと座り込む。どうして彼女は俺を殺そうとするのだろうか。別に彼女にそこまで酷い事をした覚えはないんだが……覚えてないだけかもしれないけど。
だが、それよりもまずは彼女が場所や時間を選ばずに俺を殺そうとする事を辞めさせなければならない。でなきゃ、このままだと本当に他の人に危害が及んでしまいそうだから。
そう頭を悩ませて、俺は再び大きなため息をついた。
ディネルースについては、正直いまだによくわからない事が多い。自分で言うのもなんだが、俺に陶酔している様にも見えるが、かと思えば殺そうとしてくるのはどういう心境なのだろうか。初めは俺を油断させて殺す為かとも考えたが、単純に愛情を押し付けてくるだけの時もある。
もしかすると、俺を殺して自分だけのものにしたいとか……そんな事を想像したら背筋に寒気が走った。
ーーー彼女の行動には何か法則がある?それとも単に気分的な問題なのか?
とまぁ、そうやっていくら考えようが答えなど出るはずもなく、そのまま少しの間だけ腕を組んで頭を左右前後に捻らせていると、不意に部屋のドアをノックする音が聞こえてきた。
(ん……?誰だろう。ターならノックなんかするはずないし……てか、ターはどこ行ったんだ?風呂で別れてから姿が見えないけど……)
疑問が疑問を呼ぶループ状態。こんな状態では何かを思いつく事なんてできやしないだろう。係の人かもしれないし、とりあえずドアを開けないとな。
そう考えてドアノブに手を掛けた瞬間、ビリビリと電流の様なものが手に走る。驚いて反射的に手を離そうとしたが、なぜかドアノブから手が離れない。
「な……なんだこれ!?」
必死に振り解こうとしても離れない手に動揺を隠しきれずにいると、ドアの向こう側から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ウェルカァ~ム トゥ~ ポルカマレェ~!」
その瞬間、体中を電流の様なものが駆け巡り、その激痛に俺は悲鳴を上げる。同時にドアノブから手が離せる事に気づいて手を引いたが、突然目の前で何かが破裂して体ごと後方へと吹き飛ばされると、机や椅子、それに調度品の数々を破壊しながら壁に叩きつけられた。
「い……痛ってぇ……」
何が起きたのか理解できないまま、痛みを我慢して立ち上がろうとした矢先、閉まっていた部屋のドアがゆっくりと音を立てて開き、廊下から桃色の短髪と特徴的なピアスを携えた男が姿を現す。
「あっはぁ~!ちょぉ~っとお痛し過ぎちゃったぁかしらぁ~?」
男は愉悦に浸った表情を浮かべ、独特の歩き方で近づいてくる。その顔を見た瞬間、俺は先日の事を思い出した。そうだ、こいつの顔には見覚えがある。先日、ここへの招待状を持ってきたあのオカマだ。
「お……お前……何のつもりで!」
ふらふらと立ち上がってそう尋ねると、男はにんまりと笑ってこう告げた。
「お命ちょうだいさせてもらうわぁ~!」
露天風呂でのユウリとディネルースのやり取りを、少し離れた位置から隠れて伺っていた男が口元で笑みを浮かべる。
「でも、あのエルフちゃん。良いタイミングでやらかしてくれるじゃない。どうなってるのかしら?ターちゃん。」
露天風呂の様子を少し離れた木陰で伺いながら、女性用の細い煙草を灯らせて桃色の短髪の男がそう告げると、その後ろにターが姿を現した。
「そんなの、私にもどうしようもないわよ。たぶん同業者っぽいんだけど、あいつ場所や時間なんて関係なく対象を殺そうとしているし……そもそも彼女を受け入れたのはターゲット自身。でも、これについてはちゃんと報告はしたはずよ。」
「まぁ、それはそうなんだけどさぁ。」
煙草を一喫して大きく吐き出すと、男はそれを携帯灰皿へと捨て、代わりに取り出したリップを塗り直す。
「まぁいいわ。ここからは私の領分だから、あなたは見ておきなさいな。」
「……」
男は怪訝な表情を浮かべているターにそう微笑みかけると、静かに姿を消した。残されたターは露天風呂でディネルースにゲンコツをくらわせているユウリを見て、大きなため息をついた。
・
「まったく!いい加減にしろって!」
と怒っても、ディネルースは俺のゲンコツを喰らってからずっと目を回したままなので、怒りのぶつけようがなかった。
露天風呂の一幕から、今は自室に戻ってきて彼女を布団の上に横にさせている。もちろん、俺が運んだ訳じゃない。素っ裸のディネルースを露天風呂から運んでいるところなんて周りに見られたら、確実に怪しいやつ認定されてしまう。俺自身が疑われるのは困るので、係の人を呼んでディネルースの介抱をしてもらった。もちろん、顛末については、こいつが男湯と女湯を間違って入ってきて中にいた俺に驚いて転んだ事にしておいた。場所が男湯だっただけに、俺が疑われる事はなく何よりだ。
小さくため息をつき、俺は自室のイスへと座り込む。どうして彼女は俺を殺そうとするのだろうか。別に彼女にそこまで酷い事をした覚えはないんだが……覚えてないだけかもしれないけど。
だが、それよりもまずは彼女が場所や時間を選ばずに俺を殺そうとする事を辞めさせなければならない。でなきゃ、このままだと本当に他の人に危害が及んでしまいそうだから。
そう頭を悩ませて、俺は再び大きなため息をついた。
ディネルースについては、正直いまだによくわからない事が多い。自分で言うのもなんだが、俺に陶酔している様にも見えるが、かと思えば殺そうとしてくるのはどういう心境なのだろうか。初めは俺を油断させて殺す為かとも考えたが、単純に愛情を押し付けてくるだけの時もある。
もしかすると、俺を殺して自分だけのものにしたいとか……そんな事を想像したら背筋に寒気が走った。
ーーー彼女の行動には何か法則がある?それとも単に気分的な問題なのか?
とまぁ、そうやっていくら考えようが答えなど出るはずもなく、そのまま少しの間だけ腕を組んで頭を左右前後に捻らせていると、不意に部屋のドアをノックする音が聞こえてきた。
(ん……?誰だろう。ターならノックなんかするはずないし……てか、ターはどこ行ったんだ?風呂で別れてから姿が見えないけど……)
疑問が疑問を呼ぶループ状態。こんな状態では何かを思いつく事なんてできやしないだろう。係の人かもしれないし、とりあえずドアを開けないとな。
そう考えてドアノブに手を掛けた瞬間、ビリビリと電流の様なものが手に走る。驚いて反射的に手を離そうとしたが、なぜかドアノブから手が離れない。
「な……なんだこれ!?」
必死に振り解こうとしても離れない手に動揺を隠しきれずにいると、ドアの向こう側から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ウェルカァ~ム トゥ~ ポルカマレェ~!」
その瞬間、体中を電流の様なものが駆け巡り、その激痛に俺は悲鳴を上げる。同時にドアノブから手が離せる事に気づいて手を引いたが、突然目の前で何かが破裂して体ごと後方へと吹き飛ばされると、机や椅子、それに調度品の数々を破壊しながら壁に叩きつけられた。
「い……痛ってぇ……」
何が起きたのか理解できないまま、痛みを我慢して立ち上がろうとした矢先、閉まっていた部屋のドアがゆっくりと音を立てて開き、廊下から桃色の短髪と特徴的なピアスを携えた男が姿を現す。
「あっはぁ~!ちょぉ~っとお痛し過ぎちゃったぁかしらぁ~?」
男は愉悦に浸った表情を浮かべ、独特の歩き方で近づいてくる。その顔を見た瞬間、俺は先日の事を思い出した。そうだ、こいつの顔には見覚えがある。先日、ここへの招待状を持ってきたあのオカマだ。
「お……お前……何のつもりで!」
ふらふらと立ち上がってそう尋ねると、男はにんまりと笑ってこう告げた。
「お命ちょうだいさせてもらうわぁ~!」
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