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急章の弐 Who Moved My cheese?
69ターン目/超えるよ
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「数多の異世界転生者が来る、だと!?」
普段冷静な龍王姫が驚愕し、その表情が崩れる。
「それもブラックの死によって……!」
グリフィンも半ば悲鳴染みた声色を奏でる。
その場に居るすべての【同盟軍】に所属する誰しもが戦慄し、人間と魔族問わず、動揺する。
エルザ姫もまた、困惑の表情をより一層深める。
「然様。ブラックは尖兵に過ぎぬ。
この世界を侵略……否、侵蝕するにあたっての下地を造っているに過ぎない」
灰色のホグワーツは真摯な態度で説明する。
「いったい何のために……!」
思わずエルザ姫が叫ぶ。
異世界転生者ブラックただひとりで世界はここまで変容したというのに、そんなのがゴロゴロと転がり込んできたら、果たして自分たちの住む世界はどうなってしまうのだろうか。
そんな不安が噴出した言葉だった。
「女神か……」
魔王秘書のリリスが考察する。
広報活動の一環で行われるインタビュー等で、度々ブラックCEOが口にする“女神”という存在。
彼にとって力の源泉ともいえる存在が黒幕であることは容易に想像ができた。
「そうだ。異世界転生者の裏に潜む謎の存在/女神。その目的は不明だが、いずれにせよ何らかの目論見に沿って、この世界は今、流転している―――」
灰色のホグワーツは気に喰わんといった様子。
「だからこそ、見定める必要があるのだ―――」
「見定める、だと?」
龍王姫がその問いかけを反芻する。
「封印や交渉など、生殺与奪以外の方法も時間をかければあるのだろうが、革命は起こった。
賽は投げられたのだ。
よもや戦いは避けられるはずもなく、ブラック相手に手加減などできる筈もあるまい。
どちらかが滅ぶまで決着はつけられない。
ならば、儂らはこの命を賭してオヌシたちを見定めよう。
異世界転生者ブラックを倒し、その先に迫る数多の異世界転生者たちが渡来する苦難の時代を乗り越えられるか否かを―――」
そして、大賢者は杖を構えた。
「大賢者と冒険王。超えられるか、新時代を背負いし者たちよ………!?」
くわっ、と灰色のホグワーツの眼孔が開かれる。
「――――超えるよ、ホグワーツ」
不意に、声がする。
それは【同盟軍】が隊列を組む背後。
その場の総員が、声の主の方にふり向く。
そして、隊列は冒険王ならびに大賢者への道を開くように、全員が一歩、自然と後ずさりする。
「そのためにここまで来たんだ」
確固たる意志のもと、声の主は拓かれた道の上に立つ。
エルザ姫はその勇姿を目の当たりにするなり、安心と歓喜に震え、意図せぬところで声の主の名を叫んでいた。
「タロー!!」
勇者が見参する。
彼は、大賢者ホグワーツと冒険王ミフネをまっすぐに見据える。
普段冷静な龍王姫が驚愕し、その表情が崩れる。
「それもブラックの死によって……!」
グリフィンも半ば悲鳴染みた声色を奏でる。
その場に居るすべての【同盟軍】に所属する誰しもが戦慄し、人間と魔族問わず、動揺する。
エルザ姫もまた、困惑の表情をより一層深める。
「然様。ブラックは尖兵に過ぎぬ。
この世界を侵略……否、侵蝕するにあたっての下地を造っているに過ぎない」
灰色のホグワーツは真摯な態度で説明する。
「いったい何のために……!」
思わずエルザ姫が叫ぶ。
異世界転生者ブラックただひとりで世界はここまで変容したというのに、そんなのがゴロゴロと転がり込んできたら、果たして自分たちの住む世界はどうなってしまうのだろうか。
そんな不安が噴出した言葉だった。
「女神か……」
魔王秘書のリリスが考察する。
広報活動の一環で行われるインタビュー等で、度々ブラックCEOが口にする“女神”という存在。
彼にとって力の源泉ともいえる存在が黒幕であることは容易に想像ができた。
「そうだ。異世界転生者の裏に潜む謎の存在/女神。その目的は不明だが、いずれにせよ何らかの目論見に沿って、この世界は今、流転している―――」
灰色のホグワーツは気に喰わんといった様子。
「だからこそ、見定める必要があるのだ―――」
「見定める、だと?」
龍王姫がその問いかけを反芻する。
「封印や交渉など、生殺与奪以外の方法も時間をかければあるのだろうが、革命は起こった。
賽は投げられたのだ。
よもや戦いは避けられるはずもなく、ブラック相手に手加減などできる筈もあるまい。
どちらかが滅ぶまで決着はつけられない。
ならば、儂らはこの命を賭してオヌシたちを見定めよう。
異世界転生者ブラックを倒し、その先に迫る数多の異世界転生者たちが渡来する苦難の時代を乗り越えられるか否かを―――」
そして、大賢者は杖を構えた。
「大賢者と冒険王。超えられるか、新時代を背負いし者たちよ………!?」
くわっ、と灰色のホグワーツの眼孔が開かれる。
「――――超えるよ、ホグワーツ」
不意に、声がする。
それは【同盟軍】が隊列を組む背後。
その場の総員が、声の主の方にふり向く。
そして、隊列は冒険王ならびに大賢者への道を開くように、全員が一歩、自然と後ずさりする。
「そのためにここまで来たんだ」
確固たる意志のもと、声の主は拓かれた道の上に立つ。
エルザ姫はその勇姿を目の当たりにするなり、安心と歓喜に震え、意図せぬところで声の主の名を叫んでいた。
「タロー!!」
勇者が見参する。
彼は、大賢者ホグワーツと冒険王ミフネをまっすぐに見据える。
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