ストーカー後輩を放置できなくて矯正してたら、なぜか付き合うことになった

ささい

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本編

【真白視点】よかった

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図書館の棚の陰で、真白は指先を握りつぶしそうになっていた。
隠れていたのに気づかれた。
いや、それは気づかれて当然だった。
日向のノートを見たかった。衝動に勝てず触ってしまったのがいけなかった。

勝手なことをした。日向のためじゃない。助けでもない。
日向が怒っていてもおかしくない。
真白は息を潜めたまま、日向の動きに集中した。
こちらを向くかもしれない瞬間が怖い。
スマホで時間を見たいのに、動いたら終わると思うと動けない。
指先をほどく余裕すらない。
真白は覚悟を決めていた。
けれど、日向は席を片づけて、普通に帰っていった。

肩の力が抜けた。息が一度だけ大きく漏れそうになって、慌てて飲み込んだ。

迷惑、かけなかった……。

真白はそれを「許された」と受け取ってしまいそうになり、咄嗟に顔を手で覆った。
笑いそうになる。嬉しいと思ってしまう。
その感情を止めたいのに、口元の力がなかなか抜けない。

それから数分、真白は棚の陰で動けずにいた。
日向の足音が遠ざかり、周囲の空気が落ち着いてから、ようやく顔を上げられる。
息を整えて、遅れて気づく。
ミニノートがない。
真白は自分の手を見る。手の感覚を頼りに、失う前の動きを思い出そうとする。
確かに持っていた。ページもめくった。日向を見て書き込んだ。
なのに、いま手の中には何もない。

視界に残っているものがある。
日向が立ち上がるとき、白いものを手に取っていた。紙みたいに薄くて、小さかった。

……持っていった。

日向が、ミニノートを持っていった。
中身を見られる。
そこに書いたことが読まれる。

ばれる。

そう結論が出たのに、足が震えない。呼吸すら乱れない。
怖いはずなのに、身体が反応しない。代わりに、思考だけが淡々と回り続けている。

その思考の隙間から、別の感情が生まれてきた。
「よかった」
そう思ってしまったことに、真白は遅れて気づく。

ばれたなら、もう隠さなくていい。
そういう言葉が喉まで上がってきて、真白は唇を噛んだ。
だめだ、と強く思うのに、その考えは一度形になってしまった。

だめ。だめだ。まだ。まだ一線は越えてない。普通でいる。普通でいないと。

数分遅れて、真白は図書館を出た。
追いかけたつもりはない。けれど足は勝手に、日向の動線をなぞってしまう。

購買の棚の前で、日向は立ち止まっていた。
いつもなら、無糖のカフェラテを手に取る。真白はそれを知っている。
今日は違った。炭酸。柑橘。見たことのない銘柄。
日向は迷わず取って、すぐにレジへ向かった。

いつもと違う……なんで。
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