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第4話 舞踏会に向けて2★
しおりを挟む「エ、エルトン。ちょ、ちょっと、待っ――」
「待ちません」
覆いかぶさってきたエルトンは、再びクレアの口を唇で塞ぐ。ディープキスをしながら、エルトンの手はクレアの衣服を脱がしていき、あっという間に裸体にされた。
夜の空気はひんやりと冷たい。けれど、エルトンの愛撫によって、クレアの身体は少しずつ高ぶっていく。
「あぁっ!」
淫核を摘ままれると、電流が走ったように身体が仰け反る。秘部から愛液が溢れ出してくるのを感じた。
それは実際、その通りだったようだ。
「すごいですね。洪水のようだ」
エルトンの言葉に、クレアは頬を赤らめた。感じていることが見抜かれて、恥ずかしいったらない。
けれど、エルトンの溢れ出る愛液を見下ろす目は愛おしげだ。さらにその綺麗な顔を秘部に近付けてきたものだから、クレアはぎょっとした。
――え、まさか、舐めるの?
「そ、そんなところを舐めちゃ、ダ……あぁっ!」
ぬるりとしたものが、秘部の中に潜り込む。優しい刺激に感じてしまう。
時折、淫核にも舌を触れられつつ、丁寧に秘部を舐め回された。とんでもないところを舐められていると思いながらも、口をついて出るのは甘い声。
「エル、トン……やぁっ、ダメェ」
「何がダメなんですか。こんなに愛液を溢れさせて……感じているじゃないですか」
「だ、って……で、出ちゃう」
「それは見てみたいですね」
クレアは赤面した。見てみたい、って。
――見せられるわけがないじゃん。
なんとか我慢しようしたが、淫核を責められるともうダメだった。
「あぁあああ!」
プシャアア、と秘部から潮が噴き出た。同時に達しもした。息を弾ませつつ、クレアは泣きそうだった。なんてところを見られたんだ。
「可愛かったですよ。クレア」
エルトンは宥めるように額にキスをする。かと思うと、自身も衣服を脱ぎ出した。裸体になると、天を衝くような立派な熱芯が露になる。
「そろそろ挿れます」
「え、あ、……う、うん」
足をぐいっと開かされて、正常位の体勢で熱芯が秘部にあてがわれる。潤った秘部は、ゆっくりと押し入ってくる熱芯を包み込むように受け入れ、あっという間に根本まで入った。
熱芯を中に馴染ませてから、エルトンは動き始めた。
抜き差しされると、中が擦れて快楽が生まれる。初めはゆったりとした抽挿だったのが、次第に速くなっていき、肉体がぶつかり合う音とくちゅくちゅと水音が室内に響く。
「あっ、やぁぁっ、エル、トン、あぁっ!」
喘ぎ声が止められない。エルトンの首にしがみついて、与えられる快楽を受け止めるだけで精一杯だ。
「はげ、し…っ……あぁん、エルトン……!」
最奥を突かれるたび、頭の中に火花が散る。段々と頭がぼぅとしてきて、クレアはとろんとした目でエルトンの顔を見つめていた。
そのことが、エルトンには嬉しいことだったようだ。愛おしげな目でクレアを見下ろし、喘ぐクレアの口を自身の唇で塞いだ。
「んんっ!」
口内を貪られて。秘部を抉るように打ちつけられて。
もう、何もかもが気持ちいい。
「あぁっ……イ、く! イっちゃう……!」
再び絶頂を駆け上がる。一息に貫かれた瞬間、とうとう達してしまった。
エルトンもエルトンで果て、肉奥に熱い蜜液が注ぎ込まれた。
「クレア」
額に、エルトンの口付けが落とされる。
「今は……今だけは、私のものでいて下さい」
――『今』だけは、って?
含みのある言い回しに疑問を覚えたものの、性行為の疲労と、エルトンの温もりが心地いいのと。クレアの意識は遠ざかっていった。
そうして迎えた、舞踏会の日。
クレアは自室のクローゼットを眺めながら、「うーん」と悩んだ。
――さて。どのドレスを着よう。
赤、黄色、青、緑、と色とりどりのドレスがクローゼット内に並んでいる。どれも先日、父が贈ってくれたものだ。男性として育てた、これまでの埋め合わせをするかのように、それはもう大量に購入してくれた。
気持ちはありがたいのだが、これだけの量を目の前にすると、どれを選んだらいいのか分からない。何色の、どういう型のドレスがクレアには似合うのだろう。
(……エルトンに聞いてみようかな)
エルトンならきっと、クレアに似合うものを選んでくれるはず。
そう思い、クレアはエルトンがいる父の書斎に顔を出した。父はたまたま席を外していて、中にはエルトン一人だった。
「どうしました、クレア」
不思議そうな顔をするエルトンに、クレアはおずおずと言う。
「あ、あの……今夜の舞踏会で着るドレスを一緒に選んでほしくて」
「ドレス、ですか? それなら男の私よりも、メイドに聞いた方がいいのでは」
もっともな言葉だ。だが、クレアは食い下がった。
「エ、エルトンに選んでほしいんです!」
言ってから、随分と甘えたことを言ってしまったものだと思ったが、一度口にした言葉を撤回はできない。考え込むエルトンが口を開くのを、クレアは辛抱強く待った。
ほどなくして、返ってきた答えは。
「……すみません。仕事が忙しいので」
「そう、ですか……」
断られた。それは想像以上にショックだった。
――私のこと、好きじゃないの?
そんな疑問が頭をもたげる。
いや、元々政略結婚なんだから好かれていない確率の方が高い。けれど一方で、昨夜のエルトンの言葉を考えたら、好かれているのではと期待してしまう。
クレアは俯き、ぼそりと呟いた。
「……エルトンは、私のことをどう思っているんですか?」
思えば、エルトンから好きだとか愛しているだとか、愛の睦言の類を囁いてもらったことがない。
エルトンは淡々と答えた。
「あなたは私の大切な花嫁ですよ。それ以上でもそれ以下でもありません」
「………」
クレアはぎゅっと唇を噛みしめた。
なんだそれ。大切な花嫁、というのは、自分が侯爵の地位を継ぐために必要な、大切な花嫁だという意味か。
「……もういいです。ドレスも自分で選びます。お忙しいところ、失礼しました」
クレアは父の書斎をさっさと出て、自室へ戻る。扉を閉め、扉に寄りかかるようにして息をついた。
……少しでも期待していた自分が恥ずかしく、そしてみじめだった。
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