間違えましたっ!!

存在感の薄い者

文字の大きさ
10 / 20

絶体絶命!?

しおりを挟む
「どうしよう、どうしよう・・・」

私は今、なるべく登校を遅らせるような足取りで下を向き、ぶつぶつと独り言を言っていた
周囲の人々がその異様さに自然と彼女に道を譲っていたが、当の本人だけがそれに気付かずに重い空気をまとわりつかせながら足を進めていた

「どうか、2人に会いませんように!!そしてあわよくば2人の記憶からアノコトがキレイサッパリ抹消されていますように!!!」

突然、顔を上げて、祈るように手を胸の前で組んでこのようなことを叫んだ
すると余計に周囲との距離が開くという不思議な光景が繰り広げられた
そこに後ろから黄色い声と共に誰かが走ってくるのが見えた
下を向いていた彼女はその声に反応して後ろを振り返った

「ヤ、ヤバイ・・・!!」

その人物を目視した彼女は急いで近くにあった車の影に隠れて彼が通り過ぎるのを待った

「あ、危なかったぁ・・・!!」

バクバクと動く鼓動をなだめながら彼女ーー綾小路桜は安堵の吐息を吐いた

相崎煉は学校に着くと、真っ先に向かう所があった
目的の教室を覗いてみたが、会いたい人物はまだ来ていないようだ
そこで、彼は待つことにした
もちろん教室の前で・・・
しかし、彼は周りが遠巻きにこちらを見ながら何かこそこそと話しているのを見て、舌打ちを1回した後睨み付けて相手を黙らした

「何やってんだ俺は・・・」

彼は思わず昨日のことを回想しながらそんな愚痴をこぼす
今までの自分からしたらあり得ない行動に胸に苦いものが広がる
それから、彼は彼女が現れるであろう教室に鋭い視線を向け、じっと待つのであった

隣の家の扉の前で篠崎拓海は幼なじみが出てくるのを待っていた
しかし、いくら待っても出てくる気配が無いため仕方なくインターホンを鳴らして所在確認をしたところ、もうすでに出ていると言われた

「クソッ、やられた・・・!!」

詳細を聞くと彼女は勝手口から出たということだった
今からならまだ間に合うかもしれないと思い、学校まで走ったが追い付くことは叶わなかった
彼の敗因は、彼が走る姿に女子生徒達が黄色い声を上げて女子に囲まれるという彼の王子様キャラのせいであった

「おかしいな、追いつけると思ったんだけど・・・」

そう呟き、彼女が居るであろう教室に向かった

教室の近くに行くとなぜかそこだけ緊迫した空気が漂っていた

「・・・?」

その中心を見ると、今一番会いたくない人物がいた
拓海は彼の近くまで行き、同じように並んだ

「なんでお前が居るんだよ・・・!」

彼は笑顔のまま相手だけに聞こえる程のドスのきいた小声で言った

「あ゙?てめえこそなんでいんだよ・・・!」

こちらも小声だったが顔は拓海とは対照的に眉間に皺が寄っていた

「桜に会いに来たからだ」
「ふっ、残念だったな、あいつならまだだぜ」
「な、何?」

拓海は当然その事を不思議に思った

「そんなはず・・・」

確かに彼は家からここまで桜を探しながら、走ってきたはずだった
それで見つけられなかったと言うことは見落としがあったということだ
それから彼の頭はフル回転した

『見落としたということは俺が見なかった瞬間があったもしくは、相手が隠れたということだ』

そこで、何かが引っかかった

「隠れた・・・?」

そもそも隠れるには標的を目視しなくてはならない

「どうやって?・・・・・っ!!」

その時、1回だけ自分の周りに女子が集まって来たのを思い出した

「あの時かっ・・・!!」

拓海はその時のことを思い出し、ひとり項垂れた

しかし、そんな拓海も煉も最大の過ちには気付かなかった

とても目につく場所にとても目立つ2人が揃って彼女の教室の前の廊下を陣取り、異様な空気を醸し出していることを―――

その頃、桜はと言うと壁から少し顔を出し、敵の様子を伺う

「どうしよう、なんで2人ともあそこにいるの?」

桜はひたすらに彼らがどこかに行ってくれるのを待った
するとその願いが聞き届けられたのか2人揃って去っていった
しかし、そのあとすぐにチャイムが鳴ったので急いで壁から出て教室に駆け込んだ

「朝から疲れた・・・」

自分の席に着いた桜はボソッと囁き、すぐさま今後の対策案を考えた
だが桜は気力が萎えたため、すぐに考えるのを放棄した

「もう、いや・・・!!!」

そう小さく叫んだが、その声も虚しく担任がクラスの出欠をとる声に掻き消された
_____________________________________
投稿が遅くなってしまい、すみません・・・

今回は、続けて投稿しますのでどうかよろしくお願いいたします!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!

ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」 それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。 挙げ句の果てに、 「用が済んだなら早く帰れっ!」 と追い返されてしまいました。 そして夜、屋敷に戻って来た夫は─── ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

婚約破棄したら食べられました(物理)

かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。 婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。 そんな日々が日常と化していたある日 リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる グロは無し

処理中です...