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三章
45話 酒席レポ 中編 / カミュ
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< 小さい設定 >
ノエルの歌声について、下手ではありません!!!
歌詞も音も怪しくてもちゃんと歌えている……はず?
芸術方面だってやればできる子です。ジルの評価。
< 小話 >
――宴の席で 中編
お酒を飲んだら体の芯がほかほかしてまいりました。
おっと、ラザールの従者とアーロン先生の組合せを通り過ぎてしまうところでした。
古老のお二人が少しずつお酒を飲みながら銘柄当てする様は、粋です。大人になったら嗜みたいですね。
「長年の生徒の心残りが一つ消えました」
「それは、おめでとうございます。私も先日、当家のお嬢様が嫁がれて一つ気がかりが消えました」
お互いに胸張って、笑い合います。笑うと皺が増える所為か、皺が幸せの跡に見える気がいたします。
胸を張って育てた者を送り出す。思いを残すものはない程に明るい未来へ。
良いお酒です。酒の肴は誇りでしょうか? 乱れることもなく理想の「大人酒」です。
さて、隣の席は再び賑やかで、大きな声の語らいは騎士の祝宴らしいです。クロードと護衛騎士とアレックスの従者の組み合わせは、なぜに上座に最年少のクロード?
「大丈夫だ! ノエルなら!!」
明るい笑顔でクロードが護衛騎士に言い切ります。ノエル? まあ、卒のない子ですから大概は大丈夫でしょう。
「そ、そうか! こないだも顔が近くて、思い人かと気を揉んだが、美人だし仕方ないな!! うん。クロードが言うなら、いいんだよな!!!」
「ノエルならどんなことも任せられる!!! 気も回るし、器用だ。何よりも人の心を大事にする奴だ!!」
お酒が入った友は饒舌です。次の質問と、アレックスの従者が勢いよく手を上げます。友は色々な方に頼りにされていますね。
「ユーグ様はいっぱいだし、ノエル様はミンゼアのご令嬢、ドニ様は男爵令嬢と噂がある。なのに、うちの殿下に一つも噂が立たない……あんなに美男子なのに!」
「大丈夫!! 俺もない!! ディエリもない!! ラザールもない!! カミュ様もない!! 恋より楽しい事はたくさんある! 俺は幸せだ!」
そう言って本当に満足そうに笑うので、こちらまで噂がなくてもいいかという気分になりました。まぁ、私も今、幸せですからね。
「そうだな、恋だけが人生じゃない! 俺も恋人いないけど問題ないな!」
「ああ! 殿下はまっすぐ進むことを知る方だ、いつか大切な方とも出会える! 俺も尽力していく!」
「次、相談! 今恋人とケンカしてるけど、どうしたらいい?」
「花束だ! 父上が母上に花束を買ってくと、母上は見るたびに幸せそうに微笑む! 出来るだけ大きな笑顔の為に大きな花束がいいだろう!」
大きな腕を広げて話します。そんな花束は運ぶのが大変ですよ? でも、クロードの恋人になる方は幸せでしょう。笑顔の為に腕に抱えきれない花束を彼なら本当に買うでしょうから。
「おお! エドガー団長は花束をかうのか! 大きな花束だな」
「クロードは頼りになるな!! 早く騎士になれよー! そして俺たちの悩みを聞いてくれ!」
年長者の相談先としては疑問しか浮かびませんが、肩を組んで陽気に笑っているので良いのでしょう。
私と目が合うと腕を掲げてクロードが白い歯を見せます。満面の笑顔は寡黙な彼にとても珍しい。
「カミュ様! 俺は、騎士になります! 剣となり、盾となって殿下と周囲の者を守ります!! 」
彼にアレックスへの忠誠を求めたのは11歳の時でした。困惑させるつもりで求めた、幼い忠誠は今も彼の中に生きる。
振り上げた腕の拳で胸を叩いた、良き笑顔の頼りになる友は「陽気酒」。
その言葉には嘘偽りなく、真摯。だから、誰からも頼られて笑顔を呼ぶ。
同じように拳で胸を叩いて返礼とします。胸が温かいのはお酒のせいではないでしょう。
私は剣と盾になることはできませんが、皆の影となり苦しい時に寄り添うと誓いましょう。
ノエルの歌声について、下手ではありません!!!
歌詞も音も怪しくてもちゃんと歌えている……はず?
芸術方面だってやればできる子です。ジルの評価。
< 小話 >
――宴の席で 中編
お酒を飲んだら体の芯がほかほかしてまいりました。
おっと、ラザールの従者とアーロン先生の組合せを通り過ぎてしまうところでした。
古老のお二人が少しずつお酒を飲みながら銘柄当てする様は、粋です。大人になったら嗜みたいですね。
「長年の生徒の心残りが一つ消えました」
「それは、おめでとうございます。私も先日、当家のお嬢様が嫁がれて一つ気がかりが消えました」
お互いに胸張って、笑い合います。笑うと皺が増える所為か、皺が幸せの跡に見える気がいたします。
胸を張って育てた者を送り出す。思いを残すものはない程に明るい未来へ。
良いお酒です。酒の肴は誇りでしょうか? 乱れることもなく理想の「大人酒」です。
さて、隣の席は再び賑やかで、大きな声の語らいは騎士の祝宴らしいです。クロードと護衛騎士とアレックスの従者の組み合わせは、なぜに上座に最年少のクロード?
「大丈夫だ! ノエルなら!!」
明るい笑顔でクロードが護衛騎士に言い切ります。ノエル? まあ、卒のない子ですから大概は大丈夫でしょう。
「そ、そうか! こないだも顔が近くて、思い人かと気を揉んだが、美人だし仕方ないな!! うん。クロードが言うなら、いいんだよな!!!」
「ノエルならどんなことも任せられる!!! 気も回るし、器用だ。何よりも人の心を大事にする奴だ!!」
お酒が入った友は饒舌です。次の質問と、アレックスの従者が勢いよく手を上げます。友は色々な方に頼りにされていますね。
「ユーグ様はいっぱいだし、ノエル様はミンゼアのご令嬢、ドニ様は男爵令嬢と噂がある。なのに、うちの殿下に一つも噂が立たない……あんなに美男子なのに!」
「大丈夫!! 俺もない!! ディエリもない!! ラザールもない!! カミュ様もない!! 恋より楽しい事はたくさんある! 俺は幸せだ!」
そう言って本当に満足そうに笑うので、こちらまで噂がなくてもいいかという気分になりました。まぁ、私も今、幸せですからね。
「そうだな、恋だけが人生じゃない! 俺も恋人いないけど問題ないな!」
「ああ! 殿下はまっすぐ進むことを知る方だ、いつか大切な方とも出会える! 俺も尽力していく!」
「次、相談! 今恋人とケンカしてるけど、どうしたらいい?」
「花束だ! 父上が母上に花束を買ってくと、母上は見るたびに幸せそうに微笑む! 出来るだけ大きな笑顔の為に大きな花束がいいだろう!」
大きな腕を広げて話します。そんな花束は運ぶのが大変ですよ? でも、クロードの恋人になる方は幸せでしょう。笑顔の為に腕に抱えきれない花束を彼なら本当に買うでしょうから。
「おお! エドガー団長は花束をかうのか! 大きな花束だな」
「クロードは頼りになるな!! 早く騎士になれよー! そして俺たちの悩みを聞いてくれ!」
年長者の相談先としては疑問しか浮かびませんが、肩を組んで陽気に笑っているので良いのでしょう。
私と目が合うと腕を掲げてクロードが白い歯を見せます。満面の笑顔は寡黙な彼にとても珍しい。
「カミュ様! 俺は、騎士になります! 剣となり、盾となって殿下と周囲の者を守ります!! 」
彼にアレックスへの忠誠を求めたのは11歳の時でした。困惑させるつもりで求めた、幼い忠誠は今も彼の中に生きる。
振り上げた腕の拳で胸を叩いた、良き笑顔の頼りになる友は「陽気酒」。
その言葉には嘘偽りなく、真摯。だから、誰からも頼られて笑顔を呼ぶ。
同じように拳で胸を叩いて返礼とします。胸が温かいのはお酒のせいではないでしょう。
私は剣と盾になることはできませんが、皆の影となり苦しい時に寄り添うと誓いましょう。
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