27 / 49
三章
50話 視線の先で / ディエリ
しおりを挟む
次回、ルナの続きと終幕のお話、その次が三章終話でキャロルの夢のお話を予定しています。
再来週から最終四章開始です。
< 小さい設定 >
カミュ様はあれこれ融通が利きます。
カミュ様のお母様が「御前試合 小話」で王が語る内側に激しい炎をもつ姉で、ちょっとした権力持ちだからです。離隅の管理者でもあり、ある人の上司でもあります。
答えは四章で出てきます。
< 小話 >
――視線のぶつかる日
気に入らない相手ほど、すぐに見つけられるのは何故だ?
渡り廊下の先に銀の髪を見つける。こちらの視線に気づいて、紫の瞳が俺を捉えると穏やかな笑みを浮かべる。
嫌味しか言った覚えがないのに、こいつは何故か俺をみると穏やかに笑う。
「最悪だ。貴様の笑い顔は企み事をしてるとしか思えん」
すれ違いざまに足を止めて吐き捨てる。相手も足を止めると、俺が一番気に入らない一言を吐く。
「先に見たのはディエリです。私の顔が相変わらずお好きなようですね」
にやりと笑う顔は男にしておくには勿体ない美人だ。その顎に指をかけて持ち上げる。
「泣き顔なら好きかもな。貴様はいつか、泣いて跪かせたい」
女なら無理に攫っていたかもしれない。銀の美しい髪、陶器のような肌、赤い唇、それから生意気そうな宝石の瞳。
「遠慮します」
挑戦的な眼差しで言い切ると、紫の瞳が色を変える。
「そういえば、そちらの派閥で元気のいい人達がいますね? 火傷しますよ?」
新しい国の行方に激しい言論を繰り返す能無しがいる。人の名を勝手に出しては派手な喧伝をしていた。
だが、もう終わった。早々に手を打って黙らせてある。
燻る悪事を嗅ぎ分けて、搾取して切り捨てるのはバスティアのお家芸だ。こいつに言われるまでもない。
「既に冷たい水の中だ。お前こそ、群がる蟻に運ばれるなよ」
国策に期待した者がまるで施しを期待するかのように殿下の元に集まっている。寄せる期待の失速は早い。さて、どうさばくか見ものだ。
「蟻には女王が必要でしょう?」
腹の底を隠した会話に唇を歪め合う。
やはり、こいつはこのままがいい。
こいつが女で攫って無理矢理落とすより、男として対等な位置で裏をかき合う方が退屈しない。
指を離して、立ち去り際にポケットに入っていた蜜玉を投げつける。
驚いた様に受け取っると口に含んで、綻ぶように笑う。
「子供が好きな蜜玉だ。俺は食わない」
やる為だけの蜜玉をポケットに入れるようになったのはいつからだ?
蝕まれた重い体に自分も回復薬を口に含む。綱渡りだな。
立ち去る俺の背に、あいさつ代わりのいつもの言葉が投げられる。
「いつか再戦を!」
いつか。だから、綱から落ちるわけにはいかない。
いつか、その時は喉元に刃を必ず添わせよう。
そしてまた、いつかは腹に刃を添わされるかもしれない。
そして、いつかと何度も重ねる刃。それは剣か論戦か。
生きる限り貴様と戦うのはおもしろい。
再来週から最終四章開始です。
< 小さい設定 >
カミュ様はあれこれ融通が利きます。
カミュ様のお母様が「御前試合 小話」で王が語る内側に激しい炎をもつ姉で、ちょっとした権力持ちだからです。離隅の管理者でもあり、ある人の上司でもあります。
答えは四章で出てきます。
< 小話 >
――視線のぶつかる日
気に入らない相手ほど、すぐに見つけられるのは何故だ?
渡り廊下の先に銀の髪を見つける。こちらの視線に気づいて、紫の瞳が俺を捉えると穏やかな笑みを浮かべる。
嫌味しか言った覚えがないのに、こいつは何故か俺をみると穏やかに笑う。
「最悪だ。貴様の笑い顔は企み事をしてるとしか思えん」
すれ違いざまに足を止めて吐き捨てる。相手も足を止めると、俺が一番気に入らない一言を吐く。
「先に見たのはディエリです。私の顔が相変わらずお好きなようですね」
にやりと笑う顔は男にしておくには勿体ない美人だ。その顎に指をかけて持ち上げる。
「泣き顔なら好きかもな。貴様はいつか、泣いて跪かせたい」
女なら無理に攫っていたかもしれない。銀の美しい髪、陶器のような肌、赤い唇、それから生意気そうな宝石の瞳。
「遠慮します」
挑戦的な眼差しで言い切ると、紫の瞳が色を変える。
「そういえば、そちらの派閥で元気のいい人達がいますね? 火傷しますよ?」
新しい国の行方に激しい言論を繰り返す能無しがいる。人の名を勝手に出しては派手な喧伝をしていた。
だが、もう終わった。早々に手を打って黙らせてある。
燻る悪事を嗅ぎ分けて、搾取して切り捨てるのはバスティアのお家芸だ。こいつに言われるまでもない。
「既に冷たい水の中だ。お前こそ、群がる蟻に運ばれるなよ」
国策に期待した者がまるで施しを期待するかのように殿下の元に集まっている。寄せる期待の失速は早い。さて、どうさばくか見ものだ。
「蟻には女王が必要でしょう?」
腹の底を隠した会話に唇を歪め合う。
やはり、こいつはこのままがいい。
こいつが女で攫って無理矢理落とすより、男として対等な位置で裏をかき合う方が退屈しない。
指を離して、立ち去り際にポケットに入っていた蜜玉を投げつける。
驚いた様に受け取っると口に含んで、綻ぶように笑う。
「子供が好きな蜜玉だ。俺は食わない」
やる為だけの蜜玉をポケットに入れるようになったのはいつからだ?
蝕まれた重い体に自分も回復薬を口に含む。綱渡りだな。
立ち去る俺の背に、あいさつ代わりのいつもの言葉が投げられる。
「いつか再戦を!」
いつか。だから、綱から落ちるわけにはいかない。
いつか、その時は喉元に刃を必ず添わせよう。
そしてまた、いつかは腹に刃を添わされるかもしれない。
そして、いつかと何度も重ねる刃。それは剣か論戦か。
生きる限り貴様と戦うのはおもしろい。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の大きな勘違い
神々廻
恋愛
この手紙を読んでらっしゃるという事は私は処刑されたと言う事でしょう。
もし......処刑されて居ないのなら、今はまだ見ないで下さいまし
封筒にそう書かれていた手紙は先日、処刑された悪女が書いたものだった。
お気に入り、感想お願いします!
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
悪役令嬢のビフォーアフター
すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。
腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ!
とりあえずダイエットしなきゃ!
そんな中、
あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・
そんな私に新たに出会いが!!
婚約者さん何気に嫉妬してない?
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる