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三章
51話 母と子の恋話 / ソレーヌ
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< 小さな設定 >
アレックス王子とクロードが一番学年では強いです。
二人で対戦すると力ならクロード、スピードならアレックスでいい勝負です。
二人とも格闘もできる人たちです。
< 小話 >
目を覚ますとベッド端に顔を伏せて可愛い我が子が眠りに落ちていた。
その銀の短い髪の毛を撫でる。
「ん……、母、上? おはようございます」
顔を上げて眠そうに目をこする顔から、最近見せていた影が消えている事に安堵する。
「ふふっ、まだ夜よ? お夕食は済ませたの? 湯あみも済んでる?」
ようやくここが別邸の私の部屋だと気づいたのか、周囲を見てから恥ずかしそうに笑う。
ここ数か月の暗い顔が嘘みたいな笑顔だった。
「何かいいことがあったのかしら? 本邸からわざわざ来て、私が起きるのを待ってたんでしょう?」
言った途端に白い頬が真っ赤になる。
あらあら。本当に何があったのかしら?
忙しなく動く指先が耳に触れて、髪に触れて、唇で止まる。
紫の目が上目遣いに私を伺って、口を開いて閉じての大忙しね。
「あの……お母様って、お父様と……。やっぱり、いいです……」
ノエルが、私をお母様と呼んで、レオナールをお父様と呼ぶときは気持ちが女の子寄りの時。
この子が恋をしてるのは知っている。相手も誰か知ってる。
その方の話をする時は少しだけ他の子達よりも饒舌で特別な感じになるから。
頑張ってねと普通の母子のような応援は、今のこの子には負担になる。
だから、せめて母の側では望む時に望むだけ女の子でいさせてあげたい。
「私が18歳でレオナールが23歳の時に、お城の裏庭で出会った。その時は私はとても慌てて、お父様の事はあまり覚えてなかったの」
私の言葉に身を乗り出して、紫の瞳がきらきらと輝き始めた。
「どちらが先に好きになったの?」
「お父様。とってもしつこ……熱心に会いに来てくださったのよ」
「どうして好きになったの? いつ?」
どうして? いつ? 聞かれて思わず首を傾げてしまう。
私はいつ彼の事を好きになったのかしら? 熱心に口説かれて挨拶のように愛の言葉を口にする人だったから……
「気づいたらかしら?」
「気づいたら? なんか、納得いきません。ぎゅうって胸が苦しくなったりしませんでしたか?」
胸が苦しい思いをもう知ってるのね。それが嬉しくて、辛い。
この子はどうやって恋を叶えるのだろう。女の子なのに男の子として生きて、思いを告げる機会すら奪われる。
ノエルとしての生活が楽しそうじゃなければ、無理にでもやめさせていた。だけど、この子はノエルとしての人生を既に何より大切にしている。
「そうね。私が胸を締め付けられたのは……初めてキスされた時。人に追われて二人で逃げている最中だった。初めて見る表情をしてた」
約束を破ると言ってされたキス。へらへらしていた顔と違う初めてみる男の顔だった、強く口づけられて……。あら、私の頬が熱い。
「お母様、顔赤いです! 教えてください! 初めてのキスはどんなでしたか?」
「えっ! 強引でしたわね。そう、血の味でしたわ……」
ぽかんと口を開けて、我が子が突然笑いだす。
「お母様とお父様は、血の味のキスなのね。ふふっ。うん。そうなんだ。」
「あの日は、私たちには色々あったのです。私もレオナールも怪我をしてて。ロマンチックとは言えませんが、ドラマチックではあったのですよ!」
私ってば、子供相手に何を言い訳しているのかしら?
追いつめられた中、引き寄せられて強引に奪われた唇は血の味がした。いつも優しすぎるぐらいの人が、短い時間を最後と惜しむように何度も唇を重ねた。それが諦める意志の下だと思うと初めて胸が苦しくなって、ずっと前から彼の愛の言葉に溺れて愛していたのだと理解した。
思わず、自分の唇をそっと撫でる。ずっと昔の事なのに、なぜかあの熱を忘れていない気がした。
「お母様……私も。ふふっ。血の味のキスは素敵だと思いますよ?」
ベットに顔を伏せて嬉しそうに赤い唇に触れて微笑む我が子は可愛い女の子だった。
一体、今日この子に何があったのかしら?
幸せそうな娘……息子の頭をそっと撫でる。
その顔はお父様には内緒にしましょうね。見たらレオナールは相手の男に何をするかわからないわ。
相手が彼ならちょっとした大騒ぎになってしまう。
アレックス王子とクロードが一番学年では強いです。
二人で対戦すると力ならクロード、スピードならアレックスでいい勝負です。
二人とも格闘もできる人たちです。
< 小話 >
目を覚ますとベッド端に顔を伏せて可愛い我が子が眠りに落ちていた。
その銀の短い髪の毛を撫でる。
「ん……、母、上? おはようございます」
顔を上げて眠そうに目をこする顔から、最近見せていた影が消えている事に安堵する。
「ふふっ、まだ夜よ? お夕食は済ませたの? 湯あみも済んでる?」
ようやくここが別邸の私の部屋だと気づいたのか、周囲を見てから恥ずかしそうに笑う。
ここ数か月の暗い顔が嘘みたいな笑顔だった。
「何かいいことがあったのかしら? 本邸からわざわざ来て、私が起きるのを待ってたんでしょう?」
言った途端に白い頬が真っ赤になる。
あらあら。本当に何があったのかしら?
忙しなく動く指先が耳に触れて、髪に触れて、唇で止まる。
紫の目が上目遣いに私を伺って、口を開いて閉じての大忙しね。
「あの……お母様って、お父様と……。やっぱり、いいです……」
ノエルが、私をお母様と呼んで、レオナールをお父様と呼ぶときは気持ちが女の子寄りの時。
この子が恋をしてるのは知っている。相手も誰か知ってる。
その方の話をする時は少しだけ他の子達よりも饒舌で特別な感じになるから。
頑張ってねと普通の母子のような応援は、今のこの子には負担になる。
だから、せめて母の側では望む時に望むだけ女の子でいさせてあげたい。
「私が18歳でレオナールが23歳の時に、お城の裏庭で出会った。その時は私はとても慌てて、お父様の事はあまり覚えてなかったの」
私の言葉に身を乗り出して、紫の瞳がきらきらと輝き始めた。
「どちらが先に好きになったの?」
「お父様。とってもしつこ……熱心に会いに来てくださったのよ」
「どうして好きになったの? いつ?」
どうして? いつ? 聞かれて思わず首を傾げてしまう。
私はいつ彼の事を好きになったのかしら? 熱心に口説かれて挨拶のように愛の言葉を口にする人だったから……
「気づいたらかしら?」
「気づいたら? なんか、納得いきません。ぎゅうって胸が苦しくなったりしませんでしたか?」
胸が苦しい思いをもう知ってるのね。それが嬉しくて、辛い。
この子はどうやって恋を叶えるのだろう。女の子なのに男の子として生きて、思いを告げる機会すら奪われる。
ノエルとしての生活が楽しそうじゃなければ、無理にでもやめさせていた。だけど、この子はノエルとしての人生を既に何より大切にしている。
「そうね。私が胸を締め付けられたのは……初めてキスされた時。人に追われて二人で逃げている最中だった。初めて見る表情をしてた」
約束を破ると言ってされたキス。へらへらしていた顔と違う初めてみる男の顔だった、強く口づけられて……。あら、私の頬が熱い。
「お母様、顔赤いです! 教えてください! 初めてのキスはどんなでしたか?」
「えっ! 強引でしたわね。そう、血の味でしたわ……」
ぽかんと口を開けて、我が子が突然笑いだす。
「お母様とお父様は、血の味のキスなのね。ふふっ。うん。そうなんだ。」
「あの日は、私たちには色々あったのです。私もレオナールも怪我をしてて。ロマンチックとは言えませんが、ドラマチックではあったのですよ!」
私ってば、子供相手に何を言い訳しているのかしら?
追いつめられた中、引き寄せられて強引に奪われた唇は血の味がした。いつも優しすぎるぐらいの人が、短い時間を最後と惜しむように何度も唇を重ねた。それが諦める意志の下だと思うと初めて胸が苦しくなって、ずっと前から彼の愛の言葉に溺れて愛していたのだと理解した。
思わず、自分の唇をそっと撫でる。ずっと昔の事なのに、なぜかあの熱を忘れていない気がした。
「お母様……私も。ふふっ。血の味のキスは素敵だと思いますよ?」
ベットに顔を伏せて嬉しそうに赤い唇に触れて微笑む我が子は可愛い女の子だった。
一体、今日この子に何があったのかしら?
幸せそうな娘……息子の頭をそっと撫でる。
その顔はお父様には内緒にしましょうね。見たらレオナールは相手の男に何をするかわからないわ。
相手が彼ならちょっとした大騒ぎになってしまう。
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