俺が証人だ。

氷天玄兎

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二話

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高校に入学した時、新人教師に過ぎたいたずらをしてみた。
まず、定番のやつ。ドアを開けたら黒板消しが落ちるようにしておく。そして、足元には大体の日本人が嫌がるであろうあのカサカサ動いて無駄に生命力の高い黒い虫のおもちゃ…結構クオリティが高くなるように、体全体に光沢を持たせてみたやつを置く。
そのあと普通に授業が始まるとおもわせて、ブーブークッションと教卓に大量の刃を所々にちりばめて張り付ける。ここまでしておけば、きっと、いや、絶対に怒られる。期待と興奮で、胸が高鳴る。
やがて、新人教師がドアを開けて、黒板消しの白い粉を頭に被せて下を向く。向いた先には、黒い虫。彼は少し驚いたが、すぐ偽物だと気づき、おもちゃは回収された。
意外とあっけなく終わってしまった。
でも、その後ブーブークッションに引っ掛かり、刃にも引っ掛かった。そして、誰がやった、と不機嫌な顔で聞く。彼の手の刃によってできた傷から純血が流れていた。
やった!怒られる!そう思い、嬉しそうに手を挙げ、自己申告をする。

「慧、お前が俺に歓迎の気持ちがあるのは分かるが、反応に困るからもっとハードル下げろ。」

と、怪我をしていない方の手で頭をポンポンと撫でた。
あれ?また、思った反応と違う。なんで優しくするの?おかしい。気持ち悪い。
気持ち悪いので、僕は自分が怪我をして怒られるという選択肢を選ぶ。

「すみませんでした。では、片付けますので。」

そう言って、教卓の思い切り刃が付いている部分を握る。いや、正確に言えば握るつもりだった。腕を掴まれて、教卓を持てずにいた。新人教師は無表情で、俺がやるからお前は席についていろ、と言って教卓を他の教卓に変えて何事も無かったかのように授業を始めた。
そこから、あいつは僕のいたずらに斜め上を行く行動で返していった。
いつの間にか、怒られたい、と思う気持ちよりも、あいつを思い切り困らせてやりたい、という気持ちの方が上回っていた。
今思うと、あの時から、もう、あいつの手の中で踊らされていたに過ぎないのかもしれない。
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