13 / 46
いざ安住の地へ
<家> フィンにやれることをさせる
しおりを挟む
『わかった。ではまず魔道具について考えよう』
「うん」
振出しに戻る……だが、少しすっきりした顔のフィンに私は話す。
『お前の祖父が魔道具職人だったか……」
「そうだよ」
『そのお祖父さんに手伝ってもらうとか、アドバイスしてもらうことはできるか?』
私は魔道具は詳しくない。
ある程度設計してもらえれば作れると思うが……。
「それは大丈夫だと思う。お祖父さまは領地にいるけど、王都からそんなに遠くないし、魔道具職人だから魔道具を使ってきてくれると思う」
ん?
『お祖父さんが魔道具を使うのはいいんだな?』
「うん。お祖父さまが魔道具職人なのはみんな知ってるから」
そうなのか。
区分けが難しい……。
『ちなみにどんな魔道具を作ってるんだ?』
「それこそ送風機とか、コンロとかだね」
『なるほど、家庭用、居住用だから魔導騎士団が反対しないのか』
「そう」
その方向から攻めて、コンロで火炎爆発とかやったら怒られるかな?
『治療の魔道具もその理論でありにならないか?』
「魔導騎士団は治療術師も抱えてるんだ」
『なるほど。治療院やもしかしたら神殿もか?』
「神殿はないと思う。神殿は国とは別だし、魔道具を使ってると思う。ただ、この国ではあまり活用されない」
神殿については私はよくわからない。
昔は私が星の加護を持ってることを嗅ぎつけて何か言ってきたことがあるけど喋れないふりをしてやり過ごした。
200年くらい。
『では、設計をお祖父さんに手伝ってもらうとして、魔力病について説明するぞ?』
「うん!」
顔が明るくなったな。
やはり考えるべきではないことは考えないことが重要だ。
『まず魔力病についての説明だ。そもそも正常な生命体の場合、魔力が全身を循環していることは知っているな?』
「うん。家さんはどうなってるの?」
『私のことはいい』
なぜ急に私の話になるんだ?
私は生命なのだ。巡回しているに決まっているだろう。
……いや、生命なのか?
長い年月の中で何回も思い出そうとしたけど、やっぱり召喚前のことはよく思い出せない。
美しい景色の湖畔のほとりに建っていたということくらいだ。
そもそも私は家なのにどうやって景色を見ていた?
「家さん?」
『あぁ、悪い。続けるぞ。体のどこかに問題が生じてこの循環を止めてしまうのが魔力病の発端だ』
「すみません、口をはさんでしまいますが、体のどこかなのですか?魔力的な問題で発生するわけではないのでしょうか?」
『あぁ、違う。口ははさんでくれていいぞ?なぁフィン』
「もちろんだよ。ローザも気になったことがあったら教えてほしい」
「わかりました」
こういうところは王……かどうかは置いておいて、施政者向きな気はする。
アホな高位貴族だったら下位のものに口を挟まれるのを嫌う場合が多い。
『昔は魔力の問題だと考えられていた。だから様々な魔法が試された。けど、ダメだった。魔力の問題だと思われたのは、この病気が発症すると回復魔法が効かなくなるからだな』
フィンとローザは黙って聞いている。
うずうず……。
『だが、解明されて見ればなんてことはない。不調を生じた体の部位で魔力がうまく循環できなくなり溜まってしまう。その溜まった魔力によって不調が増強されてしまい、その部分の機能が死んでしまう。また、魔力が溜まったことによって、回復魔法を弾くようになる。魔力病の魔力溜まりは密度が濃いから回復魔法が回復魔法のまま患部に届かないためと言われている。これによって、患者は死に向かっていくんだ』
「そうだったのか……」
ダメだ、なにも思いつかない。
嘘だよ~んとか言える雰囲気じゃない。
『あとはこれらの機能を備えた魔道具を作ればいいんだと思うが』
「わかった。ありがとう家さん。調べてみるよ。お祖父さまにも聞いてみる」
それが良いと思う。
明るくなったフィンに昼食を出してやると美味しそうに食べていった。
ローザは驚愕していたが……早く慣れろ。
とりあえずフィンたちの様子を探っている感じだった怪しい男たちを全員眠らせる。なんてできる家なんだ。
私の手にあるときにフィンの邪魔はさせないよ。
少し王城にも探りを入れておくか……。
「うん」
振出しに戻る……だが、少しすっきりした顔のフィンに私は話す。
『お前の祖父が魔道具職人だったか……」
「そうだよ」
『そのお祖父さんに手伝ってもらうとか、アドバイスしてもらうことはできるか?』
私は魔道具は詳しくない。
ある程度設計してもらえれば作れると思うが……。
「それは大丈夫だと思う。お祖父さまは領地にいるけど、王都からそんなに遠くないし、魔道具職人だから魔道具を使ってきてくれると思う」
ん?
『お祖父さんが魔道具を使うのはいいんだな?』
「うん。お祖父さまが魔道具職人なのはみんな知ってるから」
そうなのか。
区分けが難しい……。
『ちなみにどんな魔道具を作ってるんだ?』
「それこそ送風機とか、コンロとかだね」
『なるほど、家庭用、居住用だから魔導騎士団が反対しないのか』
「そう」
その方向から攻めて、コンロで火炎爆発とかやったら怒られるかな?
『治療の魔道具もその理論でありにならないか?』
「魔導騎士団は治療術師も抱えてるんだ」
『なるほど。治療院やもしかしたら神殿もか?』
「神殿はないと思う。神殿は国とは別だし、魔道具を使ってると思う。ただ、この国ではあまり活用されない」
神殿については私はよくわからない。
昔は私が星の加護を持ってることを嗅ぎつけて何か言ってきたことがあるけど喋れないふりをしてやり過ごした。
200年くらい。
『では、設計をお祖父さんに手伝ってもらうとして、魔力病について説明するぞ?』
「うん!」
顔が明るくなったな。
やはり考えるべきではないことは考えないことが重要だ。
『まず魔力病についての説明だ。そもそも正常な生命体の場合、魔力が全身を循環していることは知っているな?』
「うん。家さんはどうなってるの?」
『私のことはいい』
なぜ急に私の話になるんだ?
私は生命なのだ。巡回しているに決まっているだろう。
……いや、生命なのか?
長い年月の中で何回も思い出そうとしたけど、やっぱり召喚前のことはよく思い出せない。
美しい景色の湖畔のほとりに建っていたということくらいだ。
そもそも私は家なのにどうやって景色を見ていた?
「家さん?」
『あぁ、悪い。続けるぞ。体のどこかに問題が生じてこの循環を止めてしまうのが魔力病の発端だ』
「すみません、口をはさんでしまいますが、体のどこかなのですか?魔力的な問題で発生するわけではないのでしょうか?」
『あぁ、違う。口ははさんでくれていいぞ?なぁフィン』
「もちろんだよ。ローザも気になったことがあったら教えてほしい」
「わかりました」
こういうところは王……かどうかは置いておいて、施政者向きな気はする。
アホな高位貴族だったら下位のものに口を挟まれるのを嫌う場合が多い。
『昔は魔力の問題だと考えられていた。だから様々な魔法が試された。けど、ダメだった。魔力の問題だと思われたのは、この病気が発症すると回復魔法が効かなくなるからだな』
フィンとローザは黙って聞いている。
うずうず……。
『だが、解明されて見ればなんてことはない。不調を生じた体の部位で魔力がうまく循環できなくなり溜まってしまう。その溜まった魔力によって不調が増強されてしまい、その部分の機能が死んでしまう。また、魔力が溜まったことによって、回復魔法を弾くようになる。魔力病の魔力溜まりは密度が濃いから回復魔法が回復魔法のまま患部に届かないためと言われている。これによって、患者は死に向かっていくんだ』
「そうだったのか……」
ダメだ、なにも思いつかない。
嘘だよ~んとか言える雰囲気じゃない。
『あとはこれらの機能を備えた魔道具を作ればいいんだと思うが』
「わかった。ありがとう家さん。調べてみるよ。お祖父さまにも聞いてみる」
それが良いと思う。
明るくなったフィンに昼食を出してやると美味しそうに食べていった。
ローザは驚愕していたが……早く慣れろ。
とりあえずフィンたちの様子を探っている感じだった怪しい男たちを全員眠らせる。なんてできる家なんだ。
私の手にあるときにフィンの邪魔はさせないよ。
少し王城にも探りを入れておくか……。
1
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
喪女だった私が異世界転生した途端に地味枠を脱却して逆転恋愛
タマ マコト
ファンタジー
喪女として誰にも選ばれない人生を終えた佐倉真凛は、異世界の伯爵家三女リーナとして転生する。
しかしそこでも彼女は、美しい姉妹に埋もれた「地味枠」の令嬢だった。
前世の経験から派手さを捨て、魔法地雷や罠といったトラップ魔法を選んだリーナは、目立たず確実に力を磨いていく。
魔法学園で騎士カイにその才能を見抜かれたことで、彼女の止まっていた人生は静かに動き出す。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる