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海坊主の手
しおりを挟む神操り師それは…体の中に入っている神通力で、神を操り、強化する者である…
シュンはとある事情から、カラスの神様 ワルカラスのパワーがそのまま入ってしまい、強制的に神操り師になった
そんなシュンとワンカラス達の一部のエピソードです。
海坊主の手
ガタンゴトン——。
海辺近くを走る線路を、電車がゆっくりと進んでいく。
その車内、窓際の席に、緑のフードをかぶった目がどこか沈んでいる茶髪の少年「シュン」と、二頭身で学生帽をかぶった小さな存在が並んで座っていた。
その小さな者は「ワルカラス」といい、耳がファンタジー世界にいるエルフの耳を持っており、左右で大きさの違う黒い翼を持ち、右は子供の手で、左手が黄金に輝く鳥の鉤爪を持っているカラスの神様だ。
「なぁ~、なんで電車なんだ?」
羽をガクッと下げながら、ワルカラスは不満そうにシュンへ言った。
「電車がいいから」
シュンは間髪入れずに答える。
「いやいや~、我の力を使えば飛んでひとっ飛びだぞ?
わざわざ金払ってまで電車に乗るなんて……ほんっと人間って馬鹿だよなぁ~、カァカァ!」
ワルカラスは意地悪く笑いながら、嘴の端を釣り上げる。
「……飛んで運んでくれるって言いながら、途中で落として、力を奪い返そうとするんでしょ?」
シュンが冷静にそう返すと——
「な、なんでバレたぁ……!?」
ワルカラスはギクッと肩羽を跳ねさせ、視線を泳がせた。
そう会話していると、
「まもなく~海鳴駅~海鳴駅」
とアナウンスが聞こえてきた。
海鳴駅は、シュン達の目的地であり、それを聞いたワルカラスは背伸びをし、
「やっと着く~」と言って電車が止まるのを座って待っていた。
その間、シュンは両目を閉じ、今回の依頼の事を思い出し、振り返ろうとした…
【船を襲う怪異】
依頼者は漁師であり、その日もいつも通り、ひとりで漁に出ていた。
しかし、その日はどうにも魚の数が少ない。
「今日は潮の流れが違うのかもしれん」と思い、彼はいつもとは別の場所へ船を向けた。
しばらく進むうちに、海面を白い霧が覆いはじめた。
視界がどんどん悪くなり、やがてその霧の向こうに――何か、巨大な影が見えた。
目を凝らすと、それは黒々とした大きな洞窟。
海の上にぽっかりと口を開けたその入り口は、まるで闇そのもののように深く、底が見えない。
「……なんだ、あれは」
恐ろしさよりも先に、漁師の好奇心が勝ってしまった。
彼は舵を握り、ゆっくりとその空洞へ近づいていった――その時だった。
バシャァン!!
突然、船の目の前で海が叩き割られたような音が響いた。
次の瞬間、巨大な高波が立ち上がり、船を容赦なく飲み込む。
船は大きく揺れ、後方へと押し流されていった。
それでも漁師は、どうにか無事だった。
しかし――高波に飲まれる直前、彼は確かに見たのだ。
霧の向こう、海の表面から、人間のような巨大な腕が伸び上がるのを――。
(今回はその巨大な腕の正体を突き止めればいいんだね)とシュンは目を開き、依頼の内容を振り返った。
「でも…果たしてうまくいくのかな…?」とシュンはボソッと独り言を言うと、ワルカラスの尖った耳がピクピクと動き、不満そうにシュンの方を向く
「なんだ!なんだ!我を侮っているのか!?このカラスの神!ワルカラス様だぞ!なーにが心配だ!」
とワルカラスは腕を組み、シュンの顔に近づけ、額をあわせる。
「そう慢心しているから、いつも変な方向になって依頼が上手くいかなくなるでしょ」とワルカラスの額を離して、シュンはそう言う
「我は”神”だ! ”神” は全てが正しいんだ! だからいつも上手くいかないのは君のせいである!我の言うことを聞けば!なんでも上手くいく! さぁ!シュンよ!我の言う事を聞くがいい!そして、我の力を…返すのだ!返した暁には!シュン!…君の願いを叶えてやろう!どんな願いでもいい!この世界の王になるのもよし!宇宙旅行に行かせることもできる!そしてそして…」
シュンはワルカラスの長話を無視して、駅に着いたので、電車の中にワルカラスを置いていった。
ワルカラスは気づいておらず、まだ長話を続けており、電車のドアが閉まる
そのまま次の駅に行ってしまった。
「まぁ…いっか…」とシュンはそう言い改札を出た。
海鳴漁港
ここは海岸が近くにある緑が多い町で、どこか昔の昭和感を出しており、少し懐かしい気分になる人もいるとか…
そして、海鳴には…とある噂話があり、「満月の夜に海辺に行くと、綺麗な笛の音色が聞こえてくる」という…
「なーーーーーーーんで!我を無視するんだ!むー」とシュンの両腕の中で可愛らしいほっぺを膨らませながら、怒っているワルカラス。
「…成り行きかな」
「ムーーーーーー」とシュンの言葉に物凄くほっぺを膨らませるワルカラスだった。
そんな中、シュン達は依頼主に会うために、目的地の漁港に行こうとしていた。
「そういえばさ…僕…まだ子供だけど…大丈夫かな?」
と少し心配そうにワルカラスに言うと、ワルカラスはにやりと笑い、シュンの腕から抜け出し、腕を組んだ。
「ふーん我は!全てのパワーは奪われてないからな!人間の大人にだってなれる!!」といい、パチンっ! と左手で指を鳴らした…が何も変わらなかった…
「うん?うーん?何も変わってないような?」とシュンは首をこくりと傾げた。
「…あっし…いやいや!今のは!体がすこーし汚れてたから!体が清潔になる術を使ったんだ!!」
と自分のミスを強引に隠そうとしたワルカラスを見たシュンは(あっ、ミスったんだ)と思いながらもツッコミはしなかった。
そして、ワルカラスは気を取り直して、また指を鳴らしたが…また何も変わっていなかった。
ワルカラスは焦り始め、バチンッ!バチンッ!と何度も指を鳴らすが、全然、変化しない
それを見て呆れたシュンは、左手の小指の爪の隙間から、青く光る細い糸が生物みたいな動きをしているのを見た。
そして、その糸が気づかれないように、ワルカラスの背中にちょこんと差し、そして、小さくて丸い、白色のエネルギーが糸を伝ってワルカラスに集まる。
そしたら、冷や汗をかき焦りながら、指を十数回も鳴らしていたワルカラスが、バチン!!とさっきよりも大きい音が出た瞬間、白い煙が沸き出てきた。
そして、煙が晴れると、大人の人間の姿をしていて、黒いコートと学生帽を着た黒髪の誰もが美人と言われそうな顔立ちをしているワルカラスがそこに立っていた。
「やっ…ふん!見よ!シュン!これが誰もが羨む!美しい我ぞ!」とシュンに向かって、ドヤ顔をするワルカラス
「すごいね」とシュンは真顔で拍手をする。
青い糸は、神操り師が生み出す「神糸」と呼ばれるものだ。
その糸を通じて、神操り師は自らの神通力を神に送り、神の力を高めたり、時には操ることさえできるという。
「これで、依頼主に会っても大丈夫…じゃあ行こ」とシュンはそう言い、依頼主のところへ早歩きで行くことにした。
(…こんなに美貌なのになー反応薄いよなー…)と少しつまらなそうにしていた。
「ワルカラス早く行くよ」
「おいおい この美人な我を置いていくなよー」とワルカラスはシュンの後を追い、依頼人がいる桟橋に向かうのであった。
そうして,何分か歩き、目的地の桟橋に着いた。
そこに桟橋海鳴漁港に座って、タバコを吸っている漁師の男が居た。
シュンが行こうとしたが、ワルカラスは、それを止め、
一瞬で男の背後に行き、肩を優しくポンポンと叩いた。
「うわぁ!だれだ……」
男は、驚き怒鳴りながら、振り向こうとしたら、ワルカラスの美貌が目に入り,黙ってしまった。
「やぁ!突然だか!アジフライ鬼神かぁ~?」
と男にそう言うと、
「…はいそうですが…八咫烏妖探偵サイトの方ですか…?」
※八咫烏妖探偵サイトとは、ワルカラスが作ったサイトであり,このサイトのお陰で依頼が溜まっていく。
「そうそう!我があの八咫烏妖探偵サイトの運営をしている 悪田 鴉」じゃ!よーく覚えておくがよい!」
とワルカラスは(決まった…)とカッコをつけながら,そう言った。
シュンは呆れながら,ワルカラスの横にゆっくりと歩いていく
「で、アジフライ鬼神は、どんな事が起きたのか?」
「それがぁ……」
ワルカラスは、依頼主に今回の依頼の事を話させたが,同じ内容なので,ワルカラスは途中でつまんなくなり立ったまま寝てしまい、シュンは,呆れてしまった。
「…って事が…」
そうして、男は,依頼内容をはなし終わり、シュンは小指で少し動かし、
「ひゅん!?はぁ…そういことがあったのか…」
とワルカラスの背筋を ピン! と、強制的に伸ばされて,その反動でワルカラスの目が覚めた。
「で…その場所はどの辺か?」
と聞いてみると,男は、とある古い紙を取り出して、広げた。
それは、この土地、海鳴漁港の地図であり、茶色のシミがたくさんあり、所々がシミで隠されている、とても古い品である事が分かった。
「古そうな地図だね」とシュンは顔を傾げた。
「この地図しか、広い範囲を写しているのが、ないからな…仕方ない…そうはそうと、多分だが、ここら辺だった気がする…」
と男は指を刺して,胸ポケットに入った赤ペンを取り出し、何も描いてないところに、印をつけ、ワルカラスに渡した。
「この場所ら辺だったんだが…何も描いてないんだ~」
と男は少し不思議そうにいった。
「まぁいい!ありがとよ!あとは!我に任せろ!」
とワルカラスは、立ち去ろうとしたが、
「おっおい!船に乗らないと行けないところだが!?大丈夫か!?」
と男は叫んだが,
「大丈夫だ…我がいるからな!」とカッコつけて、立ち去った。
シュンは(えー…)と思いながら,ワルカラスについて行くことにした。
そうして、依頼主の男から貰った地図を見て、目的地へもっとも近い海岸へ行くことになった。
青くてきれいな海と、ゴミが一つもない砂場で、人気がない海岸
ワルカラスは人間の姿から元の小さい姿に戻り、小さい腕で背伸びした
「ふぅ人間の姿も一苦労だ…さっさと行こ…う?」ワルカラスはそう言い、シュンの方を向くと、シュンは目を瞑っていた。
「…涼しいね…」と目を開けて、ワルカラスの方を向く
「なんだ~クールな雰囲気出して~このこの~」とワルカラスは柔らかい子猫のように。弱い拳で何度も何度もシュンの右腕をパンチをした。
「で…どうやって行こう」とシュンは首を傾げ、ワルカラスが「ズコー」と落っこちてしまった。
「…いや我がいるじゃないか!…我が本気の姿になれば、目的地まで一飛びだぞ!」
とワルカラスは強く突っ込みをするが、シュン「うーん」と躊躇している。
「まさか、飛んでる間に我がお前を落とすんじゃないかって心配してるのか? 安心しろ! 落としたりしないって!」
とワルカラスは弁明するが、シュンは「うーん」とまだ躊躇している。
「何が不安なんだよ~!」とワルカラスは怒ってほっぺを大きく膨らませる
「いや…だって」とシュンが理由を言おうとしたその時だった
「おーいそこの少年ー!」
と元気な女性の呼び声が海の方へ聞こえ、その方向を見ると,白くて小さなミニボートが静かに近づき,その乗っている漁師みたいな服装を着ている黒い短髪の日焼けをした女性の呼び声だと分かりました。
「そこで立ってどおしたのー!」と女性は元気な声でシュン達にそう言う。
「丁度いい…この人に運んでもらお」
「えっ??我は??」とシュンの言葉に動揺を隠せないワルカラスは、焦って突っ込んだが、
シュンは無視して,ボートに近づき,女性に話しかけようとした。
「あのすいません…宝の地図を拾って~宝がある~方向に行きたくてですね~…」
とシュンは地図を持ちながら,そう言った。
ワルカラス(そんなにうまく…)
「そうなの!いいじゃん!私が連れてってやろう!さぁ乗れ!」とノリ良く引き受けてくれた。
ワルカラス(えーーー)とワルカラスはがっくしになる
シュンはワルカラスに手招きし,その女性の船に乗った。
船に乗ると,船に嫉妬してほっぺを膨らませて拗ねているワルカラスだった。
そして、船が静かに発進し、その目的地の方向を向かうのであった。
向かう途中、拗ねているワルカラスを横目につまんなそうに海ら辺を見ていシュンを見ていると、
「ねぇ…この海鳴漁港の噂を知ってるかい?」
と女性が急に話しかけてきた.
「えっ?あれですか?あの満月の夜に砂場に行くと、綺麗な笛の音色が聞こえてくる話ですか?」とシュンは少し驚いたが,自分が知っている噂を話した。
「まぁそうだね…でもその噂の裏には,こういうお話があるんだよ…」と女性がとある昔話を始めた…
【笛吹の巫女】
昔、この土地に巫女が居た…
その巫女はとても村人達に優しく、村一番のべっぴんさんと言われていたらしい…
彼女には、とある秘密があり,笛を吹くと、海水を操る事ができる不思議な力を持っていた。
そんなある日の満月の夜のことだった
男の子が溺れそうになった所を、彼女は笛を吹いて海水を操り、助けた姿を見たとある村人達が「あいつは!妖怪だ!!」と勘違いをし,その彼女を縄で拘束し、重りをつけて彼女を海に放り投げた。
そして、彼女は沈んでしまった…
そして、この頃から、満月になると美しい笛の音色が聞こえてくる様になった。
その音色に魅了されたとある村人は、音色が聞こえる方向に船を発進して行く…その後…その村人は帰ってこなかったらしい…
「…って噂話だったけど」と女性はシュンに聞いた…
「なんか…よくある話みたい」とシュンはつまんなそうにそう言う。
「まぁまぁ似ている話は沢山あるからね…君はこの話…信じるかい?」
「…僕には良く分かんないけど…信じないかな」とシュンは少し考え、そう返答した。
シュン達が話をしている間,ワルカラスはカラスに愚痴をいっぱいこぼしていた。
そうしていると、霧が段々濃ゆくなり,前が見えなくなる。
「霧がすごいね…うん?」シュンは霧の中でとある巨大な硬い岩の様なものが薄らと見えてきた。
「あれが…依頼人が言ってた…巨大な空洞…?」
と目をその方向に向いた時、
笛の音色が聞こえてきた
「あれ…?笛の音が」
その瞬間だった
バシャァァァン!!!!!!!
と海から強烈な爆音のような音が響き,一気に高波が船を襲った。
「!!?」
シュンは、急な高波により体勢を崩してしまい,船の中に水がたくさん入り,シュンの服が水で濡れてしまったが、なんとか、船にしがみつき無事であった。
操縦席に居た女性が、高波の揺れで,ドアにぶつかり,気絶してしまった。
シュンはあの爆音の方へ向くと,そこには海坊主のような手が二つあり,その真ん中に霧で隠れた何かがいた…
「そこの人の子よ…ここから立ち去れ…」
という無機質な声がシュンの脳内に笛の音色と共に流れてきて、頭痛がし、シュンは頭を抑える。
「あの音色…確か」
シュンの隣に、ワルカラスがやって来た。
「ワルカラス…?何か知ってるの?」
とシュンは、ワルカラスに質問をした。
「あの音色の音…神器「海鳴りの笛」というもので、この笛を吹くと海水を自由自在に操る事ができる。これは…すごい神通力だ…」
ワルカラスは、真面目にそう答えた。
「立ち去れ…死にたくなければ…立ち去れ…」
またシュンの脳内にその無機質な声が流れてきて、頭痛がする。
「多分、今回の依頼のことと、あの噂話は同じ奴の仕業ぜ~…さぁ…シュンよ…どうする?」
ワルカラスはニヤリと笑い、シュンに問いかける。
「これじゃあ…あいつのせいで…事故や死人が出るかもしれない…ワルカラス…力を貸して」
とシュンはワルカラスにそう言い、手を前に広げた。
そして、その全部の指の指先から、神糸が出てきて、ワルカラスの方へ行く。
「カァカァ!力を貸してやろうじゃないか…我の本当の力を久しぶりに見せてやろう…」
とワルカラスはまたニヤリと笑い、身体を委ね、神糸がワルカラスの背中に刺さる。
そして、ワルカラスの身体に、シュンの神通力が流れ込んで行く…
段々、体が大きくなり、大人の女性のような体つきに、とても凛々しく美しい顔、黒く大きな羽、鋭い尖った鴉の鉤爪と左手の黄金の鉤爪、装飾が豪華になり、とても神々しくなった
これがワルカラスの真の姿である。
「ふっ!我の名は!カラスの神!!ワルカラス様だ!お前の名はなんだ!」
とワルカラスは決めポーズを取るように、そう相手を左の鉤爪で指差した。
「…そこまで…ここに居たいのなら…受けてやろう…」
と何かが、霧の中から姿を現し出した。
物語に出てくるようなとても巨大な人魚で、巨大な帽子に、その鱗が虹色に輝くような鱗を持っており、美しさを放っていた。
手には、古い笛を持っており、これはさっきワルカラスが言っていた神器であるだろう…
可愛らしい顔つきだが、真剣な顔をしかめて、威圧感を出す。
「我は名もなき者である…」
シュン(あの威圧感…やっぱり神様だったのか…)
シュンとワルカラスは一目で神の類だと気づいた。
「さぁ…ごういんに…!?」
とその名もなき神が笛を吹こうとする、後ろ
からワルカラスが一瞬で背後を取り、その笛を盗み取ろうとした
ピィィ!!
と名もなき神が急いで笛を吹き、周りの海が急激に上昇し、海流のバリアを作る。
シュンは急いで、手を左に動かし、ワルカラスは左に大きく下がった。
「ふぅ…あぶないあぶない…シュンナイスだ…盗めると思ったのだがな…」
「いきなりは無理だよ…隙を見つければ…」
とシュンはそう言うと、名もなき神の笛の音色が聞こえて来た。
その笛の音色と共に,海流が蛇のように動き出し、ワルカラスの方へ、うねるように向かい,突撃してきた。
シュンは器用に指先を動かしながら、ワルカラスを操り,その攻撃を華麗に避けまくる
(でもこれじゃあ…攻撃もできないし…体力もなくなってしまって最終的に終わってしまう)
とシュンはそう思い、あの名もなき神に、隙がないのか、探そうとしたが,避けるのに集中して確認する暇もなかった。
するとシュンの脳内から何かが聞こえる
「シュン…困っているな…」
ワルカラスの声が聞こえて来た。
「知っているか…あの神は最近、神格化した神だ…」
「それが…?」
「あいつは…まだ神同士の闘いが,今回初めての戦いになるのだろう…簡単に言えば,ど素人だ…もし、少しでも攻撃が早くなったら…あの技を出すぞ…タイミングは任せる」
「…分かった」とシュンは同意し,ワルカラスの声が脳内から離れ、会話は終わった。
シュンは、指先を動かしながら,ワルカラスを操り、攻撃を避けまくる。
(…こっちも素早く攻撃をしなければ…)
と名もなき神の笛の音色が早くなると、攻撃も早くなってきた。
その瞬間を、シュンは腕を後ろに引き,ワルカラスを後ろに動かし、立ち止まらせた。
(何をしてるのか…?)と名もなき神が思いながらも,ワルカラスの方へ,蛇のような海流を一気に突撃しようとしたその瞬間、
ワルカラスの左の黄金の鉤爪が神々しく光り出す
「なんだ…?」
「いいタイミングだぜ…シュン…」
とワルカラスはニヤリと笑い、体を深くし、構える。
海流が近づき、攻撃が当たるその瞬間、
「我の神技を見ろ!これが!神風突破だ!!」
ワルカラスの目が鋭くなり、誰もが目が追いつけない速さと猛烈な風圧が、海流を貫通し!名もなき神の方へ突撃するように攻撃をする!
「なに!? だが…我には周りには…海流が…」
名もなき神の周りの海流のバリアで守られると思ったが,そのワルカラスの攻撃は海流のバリアを貫通し、名もなき神を貫いた!
「なんだ…と…」と名もなき神は、ワルカラスの神風突破をもろに喰らってしまい、海の方へ落ちてしまう…
そして、霧が晴れ明るくなる。
「ふっ!見たか!我の技を!この技を喰った事を誇りに思うがいい!」
「攻撃に集中しすぎて、守りが薄くなったんだね…はぁはぁ…」
シュンのそう言った瞬間、神糸が切れてしまい、はぁはぁと息が乱れ,肩を落とし、尻餅をつく。
「かぁ!かぁ!かぁ…あっ…しゅ~ん」
すると、ワルカラスは一瞬で、小さい姿になり、しょぼんとして、シュンのところへ行く。
「これで!一件落着だな!さぁーって!ドラゴンクリエイトでいっぱい勝ってやるー!!!」とワルカラスは慢心しながら、ウキウキで帰ろうとした。
「その前に、お姉さん起こさなきゃ…」とシュンは操縦席に行こうとした時だった…
「にげ…て…」
急にシュンの脳内にあの名もなき神の声が響く
「えっ?」
とシュンが動揺すると、
「何あれは!!」
とワルカラスはとある場所に指を差し、驚いたように叫んだ。
「何があっ…あれは…?」
シュンはワルカラスの指を差した場所を見た。
それはあの大きな真っ暗な空洞だった…
だが、その空洞の中をよく見ると…黒い何かが蠢いていた…
その空洞の周りの水が段々…青黒く侵食され、そして…鋭い赤い目がこちらの方に見るように開き、禍々しいオーラを放っている。
シュンとワルカラスは、得体の知れないものに背筋が凍りながら、目が離せずにそれを見つめていると、
「やっと解放されたー」
と後ろから、運転席で気絶していた女性の声が聞こえる
シュン「あっ無事で…えっ?」
シュンは後ろを向いて、女性の方を見ると、女性の目が全体的に黒くなる…
「私は…深海の神…シンエルド…解放してくれてありがとうね…愚かな神操り師よ…」
と何人かの声が混ざったような声で語り出した。
「深海の神…だからあんな威圧を…」
ワルカラスは強張っている。
「知ってるの…?」
「神の中でも伝説級に邪悪な事をした…神だ…だが…最近…いなくなったと思ったら…なぜ…こんな所に…」
「それは…昔ここで、力を高める為、神通力が多い人間を食おうとしたら…あの女!!!俺の嫌いな!!弟の海の神が作り出した!神器を使ったせいで!!閉じ込められてしまったんだ!クソが!!」
と怒りを込めながら、シンエルドはそう言う
「そのくせ…亡霊になっても…ずっと封印してくるしぃ…!そして神格化するしよぉ…ふぅ…話を戻します」
と落ち着き、こちらの方へ向く
シュン(…だからあのデタラメな…噂を…)
「さぁ…出してもらった…お礼に…」
と段々…女性の体が黒く溶け、海の方へ流れていく…
そして青黒く侵食した海水が盛り上がっていき、姿を現した
それは、得体の知れない体つきをし、禍々しい赤く鋭い目つきと、タコのような顔をし、手のような部分に、触手が生えている姿をしているシンエルドが目の前に現れた。
「お前らを喰ってやる!!」
とシュン達を睨みつきながら、見ていた
「シュン行くぞ!」
とワルカラスは、真剣に戦おうと、シュンの方向を振り向いた
「ごめんもう出ない…」
と指に力を入れても神糸が出なかった…
「かぁ…かぁ…どうしよ…これ…」
ワルカラスは少し苦笑いした。
「これじゃあ何もできないなぁ!!俺が止められるのは!!!もう消えた!暴食の野郎と!!絶対神だけだ!!!」
シュン(暴食…)
とシンエルドは黒い触手で襲い掛かろうとした時、
「ねぇ!!」
と左手の手のひらを目の前に出し、シュンは大声を出した。
シンエルドは、その声と、手のひらを見て,ビクッと攻撃を急に止めた。
「…なん…なんでお前が…!」
シンエルドは手のひらを見て、すごく動揺している…
…シュンの手のひらに…とある黒い刻印が刻まれていた。
「僕は…神操り師でもあり…暴食の神…信者である…だから!信者の僕を…食べたら…分かってるよね…」
とシンエルドに自分の手のひらを見せながら脅すようにシュンは言う…
「ちっ…分かった…だが…今回は…立ち去ろうじゃないか…だが…覚えとけ…神はお前らなんか…気にしてないと…」
とシンエルドは、そのまま海に沈み何処かへ消えた…
「はぁ…はぁ…怖かった…」
とシュンは、恐怖がなくなり、全身に力が抜け、膝が落ちた。
「良かったな…暴食の名がなかったら、終わってた…」とワルカラスも力が抜けて、ぺこりと床についた。
「…後でご飯作ってあげよ…」
「我は…チーズが伸びるピザが食べたい…」
「…うん…やらかしたね…」
「やらかしたな…」
とシュンとワルカラスはため息を吐いた。
すると、海の中から何かが跳ねて、船の中に入ってきた。
「うん?」
シュンは何かが跳ねて入って来た所を見ると、そこには、さっき戦ったあの名もなき神が小さくされた姿をして、こちらを向いて、怒ったように、鋭く睨んで、ぷくっとほっぺを膨らませている。
「もぉー!!!なんでー!!!解放したのよー!!この二百年間ぐらい!!封印したのにー!!」
と感情的で可愛らしい声で、シュンの左腕をポコポコと柔らかいパンチを連続で叩く。
「ご…ごめんなさい…」
とシュンはしょぼんとしながら,謝った。
(いや…性格変わりすぎ)とワルカラスはそう思った。
「まぁー私も!急に襲いかかったから~いいけどさ~!!責任取ってくれるよね~!」
とぷんすかとまだ怒っている。
「うん…あの深海の神…シンエルドがまた人を襲った時、必ず僕が退治するよ」
とシュンは真剣な目で名もなき神の方を向く
「よーし!人の子よ!じゃあ任せるよ!じゃあ~私は温泉に入っていこ~」
と言いながら,名もなき神は、海の中へ戻り泳いで何処かへ行こうとした時、
「おーいちょっと待てー!!」
とワルカラスは呼び止めた
「どおしたの?」
と不思議そうに首を横に傾げる
「いや…あんた…名がないだろ…?」
「それが…」
「名の神に言わないと、色々とめんどくさいことが多くなるから!申請した方がいい!行き先はごりょごりょ」
と名もなき神に近づいて、色々と話した。
そうして,名もなき神がバイバイと手を振って何処かへ行ってしまった。
ワルカラスはシュンの横に戻り,またちょこんと座った。
「そういえばさー、なぁーんで頑なに、我の力で飛ばないんだ?」
と不思議にシュンの方へ向く
「…」とシュンは、ワルカラスと違う方向へ頭を向け、だんまりした。
「なんで!なんで!なんで!」
とワルカラスしつこくそう言うと、
「…だっこする時…胸に…当たるから…」
「えっ?聞こえなかった」
とワルカラスは耳をぴょこぴょこし、ニヤニヤしながら、そう言うと、
「もう!」と拗ねたシュンは仰向けに倒れて、目を瞑ってしまった。
「カァカァ…神通力が回復したら、帰ろうぜ…」
とワルカラスは、そう言い、やって来たカラスと一緒に雑談をしていた。
この後、奇跡的に船が海岸につき,依頼主の男に解決した(悪化したけども)と伝え、シュンはワルカラスに抱っこされながら、帰って行ったのだ。
終わり…
「な…なんだお前…これ…魔術の類か…!?」
と小さくなったシンエルドが、何かに光り輝く輪っかに拘束された…
「ふふふ…」
何者かがの手に小さな瓶を取り出し、瓶の口をシンエルドに、向かせた。
すると、シンエルドの体が,強い力で、瓶の中へ渦巻き状に入っていく
「うぎゃぁぉぁぁぁあ」
と瓶に完全に入り,何者が蓋をした。
「ふふふ…いいね…よきだね…そうだねぇ~♪」
と愉快な女性の声や厳しそうな女性の声や、優しそう女性の声が混ざったように聞こえてくる。
「さてさて…あと5体…いいね~♪いいね~♪進歩は着実に!進んでいるねぇ~私達の恨みは晴れるのかな~晴れるだろう…いいだろう…ふふふふふ」
と言いながら,消えてしまった…
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百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
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