転生したので好きに生きよう!

ゆっけ

文字の大きさ
86 / 100
第二章ドラゴニア帝国編

しおりを挟む
 私はスヴェンさんが取り乱す中、夢を見ていた。

 真っ暗な暗闇の中をふよふよと浮かんでいる。地面のようなものは存在しないので安定しない姿勢でくるくると縦回転してみたり、現実では出来ない世界大会の選手も真っ青な捻りを加えての横回転や側転したりしてみたけど一向に何かが起こる事もない。

 暫くそのままで目が回るのが逆に楽しくなってしまい調子にのってスピンしていると遠くに光を見たような気がした。

 回転するのを止めると案の定、フラフラになってしまい、その場で治るのを待ちながら、どうにか移動したいけどどうやって移動しようかと考える。

 感覚的には水の中のような気がしてきたのでクロールで進んでみると簡単に移動する事が出来た。

 クロールからバタフライにシフトして進んでいると光の中には黒髪の少年が蹲っていた。

 膝を抱え、顔を伏せている姿に何故か、庇護欲を刺激される。私は光に近付くと途端に重力が戻ってきたのか地面を踏み締める感覚が戻ってきたので少し安心した。だってずっとふよふよしてたらやっぱりソワソワするのだ。人間、地に足がついていないとね。

「どうしたの?」

 精神世界なだけあり、滑舌は普通だった。現実世界だと噛み噛みだからな、とちょっぴり悲しかった。

「え?」

 自分一人だけだと思っていたのに私が出現した事で驚いたのか、少年は顔を上げた。

 長めの黒い髪に真っ青なサファイアの瞳の綺麗な美少年だった。十六、七位だろうか?本当、私は美形遭遇率高い。こちらを見上げる蒼の瞳は涙に潤み、擦ったのか目元が赤くなっている。今もはらはらと流れる涙。とても綺麗な泣き顔に私は言い様のない動悸に襲われた。

 同時に全身が粟立ち、私の感情とは関係無く本能が興奮していくのを感じた。

「君は?」

「私はニア。貴方は?」

「名前…僕にも名前があるのだろうか?」

 悲しそうに歪む顔に私もなんか切なくなる。それにしても名前を忘れでもしたのかな?そんな事ってある?

 少年の隣に座るとビクッと体が揺れた。その表情からも驚きが伝わってくる。なんだろう?初対面で馴れ馴れしくし過ぎたのかな?

 そう思って、少し離れると少年は悲しそうに眉を下げた。なんなんだろ?隣に座る事で私の本能が本格的に騒ぎ出す。それを押し込めて、少年へと手を伸ばす。

「君は僕が怖くないの?」

 さらりとした黒髪の感触を確かめながら撫でていると少年がポツリと呟く。

「なんで?」

 撫でられて気持ち良いのか目を瞑った少年の長い睫毛をぼんやりと眺める。

「なんでって…」

 困惑しているのは十分伝わるけれど私は少年から何もされていないし、心当たりもない。だから怖くないし、怯える必要など無い。

「怖くないよ」

 小首を傾げるとほんの少しだけ嬉しそうに笑った。それが私の心臓を握り潰さん勢いで

 平静を装いながら乱暴に打つ心臓を上から押さえる。けれど自己主張が激しく、なかなか鎮まってくれない。

「また、会える?」

 膝を抱えたまま、こてりと首を傾げる少年と離れたくないと何処かで声がする。けれど覚醒が近いのか私の体が透け出した。

「うん。またきっと、近いうちに会えるよ」

 確証など無いのに確信があった。きっとまた直ぐに会えるだろうと。本能で感じた数々の感覚。きっと、彼はーーーーー


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

※作者よりお知らせ※

リアルが忙しくなり、いつ更新できるのか定かではない為、一旦ドラゴニア帝国編が終了したら完結にさせていただきます。

章完結まではこの話を含めて十五話あります。引き続き読んでいただけるとありがたいです。

読んでいただいている方々には大変申し訳ありません。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

モブっと異世界転生

月夜の庭
ファンタジー
会社の経理課に所属する地味系OL鳳来寺 桜姫(ほうらいじ さくらこ)は、ゲーム片手に宅飲みしながら、家猫のカメリア(黒猫)と戯れることが生き甲斐だった。 ところが台風の夜に強風に飛ばされたプレハブが窓に直撃してカメリアを庇いながら息を引き取った………筈だった。 目が覚めると小さな籠の中で、おそらく兄弟らしき子猫達と一緒に丸くなって寝ていました。 サクラと名付けられた私は、黒猫の獣人だと知って驚愕する。 死ぬ寸前に遊んでた乙女ゲームじゃね?! しかもヒロイン(茶虎猫)の義理の妹…………ってモブかよ! *誤字脱字は発見次第、修正しますので長い目でお願い致します。

【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……

ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。  そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。 ※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。 ※残酷描写は保険です。 ※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

追放令嬢、辺境王国で無双して王宮を揺るがす

yukataka
ファンタジー
王国随一の名門ハーランド公爵家の令嬢エリシアは、第一王子の婚約者でありながら、王宮の陰謀により突然追放される。濡れ衣を着せられ、全てを奪われた彼女は極寒の辺境国家ノルディアへと流される。しかしエリシアには秘密があった――前世の記憶と現代日本の経営知識を持つ転生者だったのだ。荒廃した辺境で、彼女は持ち前の戦略眼と人心掌握術で奇跡の復興を成し遂げる。やがて彼女の手腕は王国全土を震撼させ、自らを追放した者たちに復讐の刃を向ける。だが辺境王ルシアンとの運命的な出会いが、彼女の心に新たな感情を芽生えさせていく。これは、理不尽に奪われた女性が、知略と情熱で世界を変える物語――。

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

処理中です...