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第二章ドラゴニア帝国編

天使とは?

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 無事みんなほぼ無傷での生還にほっと胸を撫で下ろす。

 船から桟橋へと降りたって塩の香りを肺いっぱいに吸い込んだ。

 私が寝ている間にすっかり夜が明け、真っ青な海と白い海岸線が見えるまでに日が昇っていた。

 海は何処までも澄んでいて小魚が泳いでいるのが上から見えてしまう透明度。これって鳥とかに狙われやすくない?

「おかえりなさいませ」

 おっとり微笑むカトレアさんは無事に帰還したミゲランヘルさんと熱い抱擁からの情熱的なキスを皆に見せ付ける。

「う?」

「見てはいけません」

 突然真っ暗になった視界はカイルさんの手だった。教育上宜しくないと判断しての行動だろうけど、バッチリ見ちゃったし、なんなら横でも始めてるけどね。

「フィー殿」

「何です?番とイチャつくのがいけない事です?」

「ニアの前ですよ」

「姫様、申し訳ありません」

「う」

 この遣り取り中ずっと私真っ暗だから声のする方に顔をあっちこっちと振る。イチャつき終わった?終わったんなら早く退かして欲しいんだけど。

 もう大丈夫だと判断したのかカイルさんが手を外してくれた。キョロキョロしてみるとファンティーヌさんは相変わらずニコニコしてるけど隣でエレンさんが口を押さえて真っ赤な顔で俯いてる。乙女か。

 これ確実にファンティーヌさんの尻に敷かれるね。元々、エレンさんは優しかったからファンティーヌさんと番っても彼女には勝てないだろうな。

 そんな事を考えながら遠くを見ていると船から続々と荷を運び出している船員さんが横を通り過ぎる。

「天使様、ありがとう」

「う?」

「天使様、飴ちゃん食べるか?」

「あい」

「天使様、邪魔」

 ナチュラルに返事しちゃったけど、何?天使って?私の事?だよね?私見ながら言ってるし。なんで皆に私の事天使って呼んでるの?

「定着したか」

 私の疑問はミゲランヘルさんのボソリと溢した言葉で更に疑問が膨らむ。

 じっとミゲランヘルさんを見上げる。それに気不味そうに視線を逸らすミゲランヘルさん。怪しい。とっても怪しいよ。殺人事件で不審な行動とって警察にマークされる容疑者並みに怪しいよ。

「…………」

 ただただ無言でミゲランヘルさんを見上げる。おや?汗を掻き始めましたね。なんでしょうね。疚しい事でもあるんでしょうか?

「……申し訳ありません」

 認めた。なんか分からないけど認めた。さあ、供述を始めていただきましょう。

「天使は姫様の事です。どうやら彼等には姫様の事がリュシエル様から遣わされた御使い様…つまり天使だと思い込まれてしまったようです」

 なんて?そして、なんで?いや、聞こえてるよ?聞こえてるけど、内容がさっぱり頭に入ってこないんだけど。
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