25年後より、感謝を込めて

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第十章 子供たちの集い

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数日後。
光阜町こうふちょうの人々は、避難所から少しずつ新しい生活を始めていた。
町そのものは消えてしまったけど、人が生きている限り「町」は消えないんだと、大人たちは口々に言っていた。

俺たちは、あの日の空き地に集まった。
かつて「秘密基地」って呼んで遊んでいた場所。
今はもう周囲は瓦礫と焼け跡ばかりだけど、パイプだけは変わらず立っていた。

「……戻ってきたな」
ケンタが感慨深げに言った。
「でも、もう町はないんだよね」
ミナの目は少し潤んでいた。
「でも、人は生きてる」
俺がそう言うと、ユウタがにやりと笑った。
「そうだな。俺たちの勝ちだ」

缶を通して未来の子供に手紙を送ったあの日から、返事は来ていない。
もうパイプは沈黙したままだ。
けど、不思議とそれでいい気がしていた。

「なぁ」ケンタが夕焼けを見上げながら言った。
「未来、変えられたかな」

少しの沈黙。
俺たちは顔を見合わせて、同時に笑った。

「変えられたよ!」
「だって戦争は起きなかったもん!」

笑い声が空き地に響く。
その声は風に流され、どこまでも広がっていく気がした。

俺たちは並んで座り込み、ただ空を見ていた。
オレンジから群青に変わる夕空。
そこには、爆弾の光なんかじゃなく、ただ静かな夜が訪れようとしていた。

「……ありがとうな、みんな」
自然とそんな言葉が漏れた。
ケンタも、ユウタも、ミナも、静かにうなずいた。

俺たちは子供だ。
大人みたいに武器を持って戦ったわけじゃない。
でも――未来を変えるためにできることをやった。
それで十分だった。

パイプの横にしゃがみこみ、俺は土を指でなぞった。
「またいつか、ここで集まろうな」

「おう!」
「絶対な!」

俺たちは笑いながら小指を差し出し、全員で絡めた。

約束の指は、温かかった。
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