25年後より、感謝を込めて

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第九章 爆弾投下とゼロの犠牲者

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爆弾が町を消し去った翌日。
空き地は灰色の瓦礫に囲まれていた。
でも、不思議と人々の表情は絶望ではなく、どこか安堵に近いものだった。

「……誰も、死んでないんだ」
「ほんとに……みんな助かったんだな」

避難所の中で、大人たちは互いの肩を抱き合い、涙を流していた。
その光景を見て、俺たちは胸の奥からこみ上げるものを抑えられなかった。

数日後。
ニュースが全国を駆け巡った。

《シャクナ軍による不法爆撃。民間人ゼロの状況下で実行》
《戦争犯罪として国際的に非難。国際会議で制裁決定》

シャクナの思惑は完全に外れた。
犠牲者がいなかったからだ。
攻撃の正当性は一切主張できず、逆に世界中の怒りを買った。

「これからシャクナはどうなるんだ?」
ユウタがテレビを見ながら言った。

《不利な条約を締結。多額の賠償金を支払うことで戦争回避へ》

アナウンサーの声が続く。
俺たちは顔を見合わせ、息をついた。

「……戦争、起きなかったんだ」
「すげぇ……!俺たち、本当に未来を変えたんだ!」
ケンタが叫び、ミナが涙をぬぐった。

大人たちは口々に「奇跡だ」と言った。
誰も本当の理由――俺たちがサイレンを鳴らしたことなんて知らない。
でも、それでよかった。

「未来を変えられたかな……?」
俺は小さく呟いた。

「変えられたよ!」
ケンタが力強く答える。
「だって戦争は起きなかったもん!」

ユウタも、ミナも笑った。
俺も、自然と笑っていた。

夕暮れの空き地に、俺たちは並んで座った。
消えてしまった町の向こうに、赤く沈む夕日が広がっている。

「……なぁ」
「ん?」
「いつか未来で、誰かが笑っててくれるといいな」

俺の言葉に、みんながうなずいた。
風が吹き抜け、パイプがかすかに鳴った気がした。
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