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第2話「ジャンクフードリベンジと庶民の反撃」
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翌日、俺――朝日新は悩んでいた。
「うーん……昨日の惨敗は痛いな……」
ハンバーガーもポテトも撃沈。
「まずい」とまで言われてしまった庶民ジャンクの名誉のため、どうにかリベンジしたい。
「新、また何か考えてる顔してる」
泉が教室の隅でこちらをじっと見ている。
彼女は無口だけど観察眼だけは鋭い幼なじみだ。
「昨日、西園寺くんとどこ行ってたの?」
「……えっ!? なんで知ってるの?」
「SNS、見てた。目立ってた」
まさかの目撃情報拡散中!?
昨日のハンバーガー屋で、俺たちの背後から何枚も写真を撮っていた輩がいたっけ。
やばい、学園中に変な噂が立つやつだこれ!
「西園寺くんと仲良し疑惑……本当?」
「違う違う違う! あいつを“堕とす”ための社会科見学みたいなもんだから!」
「……堕とす?」
「いや、あの……その……」
言い訳しようにも、泉の目はまったく信じていない。
「いいけど。面白いから、続き頑張って」
――うん。やっぱり君、全部見透かしてるよね?
―――
そして放課後。
またしても西園寺は、正門前の高級車の横に立っていた。
目が合うと、小さく顎で「来い」と合図する。運転手さんは昨日よりも表情が明るい。
どうやら「お友達と一緒に帰る御曹司」をかなり応援してるらしい。
「今日はどこだ?」
「今日は……これだッ!」
俺が差し出したのは――駄菓子屋のチラシ。
「“うまい棒・20本までOK!”って書いてある」
「20本も食べる必要が?」
「違う違う、食べ歩きが楽しいの! 行こう!」
腕を引っ張ると、西園寺は苦い顔をしつつもついてきた。
高級車を横目に徒歩で歩く御曹司、完全に街の違和感。
「……初めて来た」
「だよね。俺、小学生の頃からの常連」
狭い店内には、お菓子の山と懐かしいラムネの香り。
おばちゃんが「いらっしゃい」と笑ってくれる。
「君、西園寺家の坊ちゃんでしょ?珍しいわねぇ」
「なぜ分かる」
「オーラで分かる」
やっぱり……オーラって本当にあるんだな。
―――
「まずはコレ、食べてみてよ。うまい棒・たこ焼き味!」
駄菓子屋の定番中の定番。
西園寺は、怪訝な顔で一口。
「……不思議な食感。なんだこれは」
「それが、うまい棒!」
「……味は?」
「……悪くない」
「キターーー!」
思わずガッツポーズを決める俺。
西園寺はポーカーフェイスを崩さないが、なぜか2本目に手を伸ばした。
「ほかにも、ベビースター、ラムネ、よっちゃんイカ!」
「なんでこんなに安いんだ? これで利益が出るのか?」
「そこはツッコむとこじゃないから!」
俺がカゴに次々と詰めていくと、西園寺もだんだん慣れてきたのか、好奇心でいろんなお菓子を手に取る。
「……これも、悪くない」
「ふふ、意外と“庶民”もいける口じゃん?」
「調子に乗るな」
でも、昨日よりずっと柔らかい表情だ。
たぶん、西園寺なりに“楽しい”と感じてるのかもしれない。
―――
「じゃあ、次はラムネ飲もうぜ!」
シュポッと開けると、西園寺は小さな声で「おぉ……」とつぶやいた。
「これ、中のビー玉が飲めないようになっている……工夫だな」
「日本の知恵!」
「……気に入った」
――なんか今、ちょっとだけ笑った?
俺はその瞬間を見逃さなかった。
―――
帰り道。
「西園寺、今日はどうだった?」
「……悪くなかった。昨日のものより、だいぶマシだ」
「やった! じゃあ、また次も“庶民スポット”案内していい?」
「別に構わない。だが……次は俺が選んでやる」
「え?」
「庶民の世界を理解するには、まず“情報戦”から始めるべきだ」
「何それカッコいい!」
「お前、バカだな」
不意に笑った西園寺の顔が、まぶしかった。
「ま、いいか。また明日な!」
「……ああ」
庶民Aと御曹司の不思議な日々は、こうして少しずつ――でも確実に、距離を縮めていくのであった。
「うーん……昨日の惨敗は痛いな……」
ハンバーガーもポテトも撃沈。
「まずい」とまで言われてしまった庶民ジャンクの名誉のため、どうにかリベンジしたい。
「新、また何か考えてる顔してる」
泉が教室の隅でこちらをじっと見ている。
彼女は無口だけど観察眼だけは鋭い幼なじみだ。
「昨日、西園寺くんとどこ行ってたの?」
「……えっ!? なんで知ってるの?」
「SNS、見てた。目立ってた」
まさかの目撃情報拡散中!?
昨日のハンバーガー屋で、俺たちの背後から何枚も写真を撮っていた輩がいたっけ。
やばい、学園中に変な噂が立つやつだこれ!
「西園寺くんと仲良し疑惑……本当?」
「違う違う違う! あいつを“堕とす”ための社会科見学みたいなもんだから!」
「……堕とす?」
「いや、あの……その……」
言い訳しようにも、泉の目はまったく信じていない。
「いいけど。面白いから、続き頑張って」
――うん。やっぱり君、全部見透かしてるよね?
―――
そして放課後。
またしても西園寺は、正門前の高級車の横に立っていた。
目が合うと、小さく顎で「来い」と合図する。運転手さんは昨日よりも表情が明るい。
どうやら「お友達と一緒に帰る御曹司」をかなり応援してるらしい。
「今日はどこだ?」
「今日は……これだッ!」
俺が差し出したのは――駄菓子屋のチラシ。
「“うまい棒・20本までOK!”って書いてある」
「20本も食べる必要が?」
「違う違う、食べ歩きが楽しいの! 行こう!」
腕を引っ張ると、西園寺は苦い顔をしつつもついてきた。
高級車を横目に徒歩で歩く御曹司、完全に街の違和感。
「……初めて来た」
「だよね。俺、小学生の頃からの常連」
狭い店内には、お菓子の山と懐かしいラムネの香り。
おばちゃんが「いらっしゃい」と笑ってくれる。
「君、西園寺家の坊ちゃんでしょ?珍しいわねぇ」
「なぜ分かる」
「オーラで分かる」
やっぱり……オーラって本当にあるんだな。
―――
「まずはコレ、食べてみてよ。うまい棒・たこ焼き味!」
駄菓子屋の定番中の定番。
西園寺は、怪訝な顔で一口。
「……不思議な食感。なんだこれは」
「それが、うまい棒!」
「……味は?」
「……悪くない」
「キターーー!」
思わずガッツポーズを決める俺。
西園寺はポーカーフェイスを崩さないが、なぜか2本目に手を伸ばした。
「ほかにも、ベビースター、ラムネ、よっちゃんイカ!」
「なんでこんなに安いんだ? これで利益が出るのか?」
「そこはツッコむとこじゃないから!」
俺がカゴに次々と詰めていくと、西園寺もだんだん慣れてきたのか、好奇心でいろんなお菓子を手に取る。
「……これも、悪くない」
「ふふ、意外と“庶民”もいける口じゃん?」
「調子に乗るな」
でも、昨日よりずっと柔らかい表情だ。
たぶん、西園寺なりに“楽しい”と感じてるのかもしれない。
―――
「じゃあ、次はラムネ飲もうぜ!」
シュポッと開けると、西園寺は小さな声で「おぉ……」とつぶやいた。
「これ、中のビー玉が飲めないようになっている……工夫だな」
「日本の知恵!」
「……気に入った」
――なんか今、ちょっとだけ笑った?
俺はその瞬間を見逃さなかった。
―――
帰り道。
「西園寺、今日はどうだった?」
「……悪くなかった。昨日のものより、だいぶマシだ」
「やった! じゃあ、また次も“庶民スポット”案内していい?」
「別に構わない。だが……次は俺が選んでやる」
「え?」
「庶民の世界を理解するには、まず“情報戦”から始めるべきだ」
「何それカッコいい!」
「お前、バカだな」
不意に笑った西園寺の顔が、まぶしかった。
「ま、いいか。また明日な!」
「……ああ」
庶民Aと御曹司の不思議な日々は、こうして少しずつ――でも確実に、距離を縮めていくのであった。
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