庶民Aは御曹司を堕としたい!

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第3話「西園寺のエリートスポット突撃!庶民Aの文化ショック」

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放課後。
今日はいつもと様子が違う。
俺が校門を出ると、すでに西園寺が待っていた。しかも、その隣には黒服スーツの運転手さん、さらになぜか執事っぽい人までいる。

「今日は俺の番だ」

「えっ、もしかして……?」

「ああ。お前を“俺の世界”に招待してやる。覚悟しておけ」

――何その決めゼリフ。

運転手さんがドアを開ける。俺はなんとなく、スリッパで高級ホテルに入るような気分で車に乗り込んだ。

―――

連れてこられたのは――。

「……ここって、会員制レストラン?」

都心のビルの最上階。ガラス張りの窓から見下ろす街の景色。
おしゃれなピアノのBGM。
テーブルには白いクロスと、謎に多いナイフとフォーク。

「初めての場所だろう?」

「うん、間違いなく初めてだよ!」

「失礼のないようにしろよ。“庶民”の恥は、俺の恥になるからな」

「その言い方やめて!」

―――

席に案内されると、さっそく執事さん(?)がメニューを渡してきた。
値段が書いてない時点で恐怖しかない。

「注文は俺に任せろ。ここでは“おすすめコース”が一番いい」

「コース……緊張してきた」

「心配するな。俺がすべてのマナーを教えてやる。……まったく、こういうのも勉強だ」

隣でめちゃくちゃキメ顔で言う西園寺。
その横で、俺はお冷のグラスを両手で持って震えていた。

―――

コース料理、第一品目は――。

「なんか、花びらみたいなサラダが出てきたんだけど……」

「これは“エディブルフラワー”だ」

「食べられる花……?」

「驚いたか?  これが“本物”の味だ」

「……俺、駄菓子のほうが好きかも」

「バカ野郎、黙って食え」

たぶん、彼なりに気を遣ってくれているのだろう。
けど、心の中は“庶民代表”として負けられない。

―――

 続くメインは、牛フィレ肉の何とかソース。
 フォークとナイフが手からすべりそうになる。

「新、ちゃんと見ろ。フォークは左手、ナイフは右手。肘をつけるな」

「う、うん……!」

横で真剣に指導されながら、なんとか完食。
味は――確かに美味しい。でも、値段を考えたら多分緊張で味が分からない。

―――

食後のデザートタイム。

「どうだ。これが俺の世界だ」

「うん……緊張で胃がキリキリする世界だった……」

「ふっ、慣れだ。いつか“俺と並ぶ”くらいになれ」

西園寺が、ふいに小さく笑った気がした。

「それにしても、今日は新の顔が面白かった。……また、連れてきてやる」

「……え、嬉しいけど、次はもっと気楽なとこがいい!」

「ダメだ。お前は俺の付き合いにも慣れろ」

「うぅ~~~っ、庶民力で乗り切るしか……!」

―――

その帰り道。
高級車の後部座席で、西園寺がぽつりと言った。

「……悪くないな。こういうのも」

「え?」

「“友達”ってやつ、案外、悪くない」

「……は?」

「なんでもない。次は、お前のターンだ。考えておけよ」

「……!」

少しずつ、二人の“距離”は近づいていく――
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