何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

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第14話:この笑顔を、ずっと守りたいと、皆が願った日

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「本日はカノン様のお誕生日、誠におめでとうございます!」

王宮の大広間には花が飾られ、色とりどりの装飾が天井を彩っていた。
楽団が静かに奏でる音楽に合わせて、貴族の子どもたちが列をなして次々と挨拶をしてくる。

「カノン様、本当におめでとうございます!今日は私たちからも贈り物が――。」

「俺からは手作りの木の剣!」

「リンはこのあいだ摘んだ幸運草の押し花、つくってきたの!」

「お、おれ……はちょっと遅れちゃったけど……お絵かき、あとで見せる!」

リドル、デニス、リン。それぞれの言葉と贈り物に、私は自然と笑顔になる。

「ありがとう、みんな。本当にうれしいよ。」

そして――

「カノン様。こちらは僕からの贈り物です。」

アレスが差し出したのは、小さな銀のブローチだった。
丸い石には淡い青が浮かび、どこか優しく、どこか寂しげな光を放っていた。

「綺麗……これ、君が選んだの?」

「はい。カノン様の瞳の色に似た石を探しました。……ずっと、傍にいてほしいという想いを込めて。」

その言葉に、場の空気が一瞬だけ静まり返る。

「……ありがとう、大事にするよ。」

私は少し照れくさく笑いながら答えたが、胸の奥で何かがひっかかっていた。

(“傍にいてほしい”……。)

確かに、それは友情の言葉としても受け取れる。
けれど、アレスの目は、それ以上の何かを含んでいるように見えた。

それを――今は、考えないようにした。

誕生日の宴は、夜まで続いた。

甘いケーキ、舞踏会のようなダンス、そして王子である私へのたくさんの祝福。

だが、そんな華やかさの中、ふとひとりになる瞬間があった。
バルコニーに出ると、星空が広がっている。

「カノン様。」

やはり、アレスはすぐに見つけてしまうのだ。

「……あまりにぎやかで、少しだけ逃げたかっただけだよ。」

「わかります。僕も、似たような気持ちでした。」

二人、肩を並べて星を眺める。

「今日、いろんな人が祝ってくれた。俺、ちゃんと王子やってるんだなぁって……思った。」

「……ええ、カノン様は立派です。」

「でも、こうやって静かに星を見てるとさ……やっぱり、普通の子として生きたかったな、って少しだけ思うんだ。」

その言葉に、アレスは黙っていた。

やがて彼は、小さく言った。

「僕にとっては……カノン様が、今ここにいるだけで、世界のすべてです。」

それは――誓いにも、呪いにも、祈りにも聞こえる言葉だった。

カノン・ライエル・フィルディア、4歳。
祝福に包まれたその日、誰もが“彼の幸せ”を願っていた。
ただ一人を除いて。
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