何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

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第27話:忠誠か、感情か。その選択に名前をつけるなら

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「アレス=クラヴィス。式典警護および王子同行の任を命ずる。」

その辞令が下されたのは、王都南部で行われる中規模の友好式典。
カノンは王子として“お披露目”を兼ねた出席を予定されており、アレスも護衛役として随行が決まった。

「公務での“公式随行”、初めてだね、アレス!」

「はい。……ですが、内心では緊張しかありません。」

「大丈夫、いつも通りでいいよ。」

(いつも通りが、どれほど特別か――カノン様は、まだ気づいていない。)



式典の会場は煌びやかだった。
貴族、領主、地方の商人や文化人たちが集い、舞踏と晩餐と“表面上の平和”が彩られていた。

「王子殿下、お噂はかねがね。まあ、お顔も整っていていらして……。」

「あら、お傍の騎士見習いさんもなかなか素敵じゃありませんの。」

その言葉を口にしたのは、東部領の有力伯爵家の令嬢――シエル=ロッセリア。

「あら、騎士さん。少しこちらで、私のエスコートなど……どう?」

「申し訳ありません。私は第一王子付の随行者ですので。」

「だからこそ、あなたの“忠誠”がどこに向いているのか、試してみたくなるのよ?」

微笑みながら近づくシエルの目は、明らかに“試して”いた。

「……騎士とは、誰のために剣を振るうのか。あなたはまだ、その答えを持っていないのでしょう?」



その夜、アレスは控室の窓辺で一人、深く息を吐いていた。

「“誰のために剣を振るうのか”……か。」

彼にとって、答えは決まっているはずだった。
“カノン様のため”。
その想いは偽りなく、真実だった。

でも――それは本当に“忠誠”だけなのか?

もし、そこに“好きだから”が混じっていたら?

「……その剣は、まだ“私物”だと、言われてしまうのかもしれません。」



「アレス、どうしたの?」

カノンがひょっこり顔を出した。
晩餐後に少し抜け出してきたらしい。

「ん?まさか、貴族の娘さんに口説かれて困ってた?」

「……否定できませんが、困っていたのは、別の理由です。」

「じゃあ、俺が助けるべきだったかな。」

「……いえ。むしろ、あなたのために、“正しい騎士”であれるよう、精進する覚悟を新たにしました。」

カノンは笑って、言った。

「じゃあその覚悟に……俺も恥じないように、しっかり王子してやらなきゃな。」

月明かりの下。
アレスの心に、ほんの少しだけ“誇り”が戻っていた。

カノン・ライエル・フィルディア、8歳と数ヶ月。
彼の影に立つ少年は、少しずつ“本物の騎士”へと成長していた。
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