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百三十二話 誓い2

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「に、人魚姫様......」


しまった......壁を開けたままにしていた。
よりにもよって、人の子に見られ
るなんて。


「すみません! 覗くつもりでは......
こ、これをエレディア村から
三日月島に届けるようにと......
そ、その途中で......」


その少年は、年は人でいうと
まだ10才もいってなさそうなのに、
随分としっかりとしていた。


私を見て先ほど落としてしまったの
だろう、エレディア村でしか
手に入れることのできない、
テッコウセキというものを
彼は慌てて拾い集めている。


そんな彼が面白くて私はじーっと
見ていた。


「......そ、それでは失礼しました!」


「待って!」


どうしてだろうか、私はここを
秘密の場所にしているのに
つい呼び止めてしまった。


「?」


「貴方も少しここで泳いでいかない?」


これが私と彼の初めての出会いだった。









私も従者から聞いたことがあるだけ
だけど、この海底洞窟の先には
エレディア村という人が住む
土地があるらしい。


その土地では三日月島同様、
私が崇拝されているようだった。


だからかもしれないけど、
彼は緊張のあまり
汗をだらだらかきながら、結局
一緒に泳ぐこともせず、帰ってしまった。


「また、来てね?」


私の言葉にはい、と返事をしたけど
もう多分来ないだろうなぁ......
正直、私もなんだか余計に疲れちゃった。


けど、また彼は来てくれた。
正直者なのかな?


私は少し彼に興味を持った。
だから、色々聞いてみた。
エレディア村での生活のこと、
食べ物のこと。楽しいこと。


話しているうちに彼は緊張していた
心が和らいでくれたみたいで、
結構喋るようになってくれた。


すると


「に、人魚姫様は何が好きなんですか?」



彼はそう私に尋ねてきた。
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