元天才子役の美少年だった俺が、元ヒーローのせいで開発されてしまいそう

サトー

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★初体験

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「初めての戦闘で、舐めてかかってくる敵に散々遊ばれて、一度は『こんなことやってられるか』と諦めそうになりながらも、親友や恋人との日常を守るために、ボロボロになった体で立ち上がって、掠れた声で『変身』っていうシーンをやって貰っていいですか!?」

 興奮気味に捲し立てる俺を見て、細かい所までよく覚えてるな、と圭太さんは笑っていた。

「へへ……。俺、全部のシーンをちゃんと覚えてる……。グッズだって大事に持ってるし」

 今日は誕生日だから空の欲しいものをあげる、という圭太さんに思いきって「あの頃の名場面をもう一度見たいです」とリクエストをした。
 子供のくせに生意気なことばかり言って正義のヒーローを踏みつける自分の演技が恥ずかしいから、映像はもう見られない……とお願いしたら、圭太さんは「俺もそうだよ」と頷いた。
 そして、声が大きすぎて隣室の迷惑になるようなリクエストじゃなければ、応じてくれた。

「もう昔と同じには出来ない」と渋っていたけど、 額から流れる血をダルそうに拭った後、「そーこなくちゃ。来いよ」と薄ら笑いを浮かべるシーンも、たくさんの人を傷付けてきた黒幕の正体が実は長年の親友だったと発覚して、涙を堪えながら「……変身」と最後の戦いに挑むシーンも、 圭太さんはあの頃と全然変わらなかった。

「すっごい……! かっこいい……!」
「かっこよくない、そもそも俺は芝居が下手だし……」
「そんなことない! 圭太さんはずっとずっと、俺の憧れのヒーローです」

 子供の心に戻って、俺は圭太さんに熱狂した。本人は「俺なんかダメだよ」と謙遜するけれどまだまだ俳優として充分やっていけそうだった。


「圭太さん、ありがとう。ありがとう……!」
「こんなことで喜ぶなんて……」

 ハタチの誕生日はすごく幸せな夜になった。
「もうすぐ着く」という連絡を受けた後、すぐに家から飛び出して、圭太さんを待っていた。仕事帰りに俺をわざわざ迎えに来てくれた圭太さんからは、こんなに寒いのにどうして外で待っていたんだってちょっとだけ叱られた。
「嬉しくて待ちきれなかった」と言ったら、圭太さんはまだ何か言いたそうだったけど結局は何も言わずに、誰も周囲にいないかサッと確認してから俺のことを抱き締めた。

 
 圭太さんには「誕生日は空の食べたいものを食べに行こう」と、ずっと言われていた。ステーキがいい、コース料理が食べたい、なんて図々しいことは言えない。
 どんなお店を選ぶのが正解なんだろうって迷っていたけど、今日はすごく寒い夜だから「ラーメンが食べたい」とリクエストした。



「俺の稼ぎがもっと多ければ、空に良いものを食べさせてやれたのにな……」
「圭太さんと一緒に食べられるなら、なんでもいい。そんなこと言わないで……」

 圭太さんは残念そうにしていたけど、高価なものなんか、何もいらない。子役時代、撮影の合間にお弁当を一緒に食べてみたい、もっとお話ししてみたい、とどれだけ願っても叶わなかったから、 圭太さんの側にいられるだけで嬉しかった。

 それで、替え玉はグループでまとめて注文、ラーメンの撮影禁止、とあらゆる注意書きが壁に貼られているラーメン屋に連れていってもらえた。
 店のピリピリした雰囲気にすっかり怯えてしまった俺は、注文から替え玉のタイミングまで、「怖い……? ラーメン屋ってこんなもんじゃない?」と首を捻る圭太さんに全部お任せした。


 温かくて美味しいラーメンの後に、コンビニでショートケーキも圭太さんが買ってくれた。
 子役をしていた頃は大勢の大人に囲まれて、俺の似顔絵入りのケーキや、50人以上で食べる特大ケーキでいつもお祝いしてもらっていた。
 あの頃みたいに、派手さや豪華さはないけれど、子供の頃憧れていた人を一人占めしているうえに、すごく優しくしてもらえる。
 しかも、この後は……とドキドキしながら、時々「はい」と差し出されるフォークをぱくっと咥えた。

 餌付けをするみたいにして、自分の分のケーキをほとんど俺に分け与えた後「誕生日おめでとう」と圭太さんはキスしてくれた。





「……もしかして、初めて?」

 ちょっとだけ体を触り合った日に、圭太さんからそう聞かれて、迷ったけど、一応「うん」と頷いておいた。

……まだ、美少年の面影があった中一の時に、俺はアイドル事務所の練習生と付き合ってエッチまで済ませていたから、実はもう童貞じゃない。
 でも、7年も前のことだし、男の人とするのは初めてだから、これは決して嘘をついているわけじゃない。「広い意味での初めて」に当てはまる、ということにしている。

 圭太さんが「いいのかな。初めてが俺で」と言い出した時にはすごく焦ったけど、今さら「ごめんなさい。童貞じゃないです」とは言えず、すごく緊張したけど、自分の正直な気持ちを伝えた。



「圭太さんじゃないと嫌だ……」

 圭太さんとエッチをするのがずっと待ち遠しかった。
 今日だって迷惑をかけないように、着替えもタオルも持って来たし、一箱二十個入りのコンドームも大容量のローションだって持参した。念のため使い捨てのコンタクトレンズは十枚も持っている。

「そっか、こんなに持って来たかあ……。空の期待に応えられるように頑張らないとな」
「えっ!?」
「二十個も使いきれるかなー……」
「ちがっ……! 買ってそのまま持って来ただけだよ……!」

  足らないよりは余る方がいい、と地方ロケに行けそうなくらい大量の荷物を持参した俺のことを「可愛すぎるだろ」と圭太さんは笑った。

 子供の頃と違って可愛くない俺がバカみたいに張り切るのも、「圭太さんじゃなきゃ嫌だ」とモジモジと伝えるのも、全部を優しく受け入れてくれる。
 初めてお邪魔した圭太さんの部屋のロフトで、俺はこの日一番の幸せを感じていた。




「圭太さん……あっ、だめ……くすぐったい……」

 圭太さんが普段眠っているロフトは、マットレスを敷いたらそれだけでギュウギュウなうえに天井との距離が近くて、二人の体を常に密着させていないといけなかった。

 乳首を熱く濡れた舌でペロペロと舐め回された後に、ちゅう、と吸われると、とてもくすぐったい。
 大きな声が出てしまいそうで恥ずかしいうえに、自分の体にこんなに敏感な場所があったんだって戸惑っているのに、小さなロフトの上ではどこにも逃げ場なんて無かった。
 俺が暴れたら圭太さんはきっと体や頭をぶつけてしまう。空、と俺の体のあちこちに唇で触れる圭太さんに身を任せて、じっとおとなしくしているしかなかった。

「ん、く……あ、んっ……んんーっ……」

 唾液で濡れた両方の乳首を指の腹で転がされた後、きゅっと摘ままれる。筋肉で盛り上がっているわけでもなければ、女の人のように柔らかいわけでもないのに圭太さんは、俺のソコを執拗に責めた。

「や、いやっ、気持ちいい……けいたさんっ……」
「腰、びくびくしてる。可愛い」
「あっ! やだっ……だめっ……!」

 圭太さんに抱かれることを想像しながら、自分で何度も乳首を触って、気持ちよくなっていたけど、それとは比べ物にならなかった。
 柔らかい唇で挟まれた後、ねっとりと舌が乳首に絡みついてくる。圭太さんの口の中で、乳首を固くして、恥ずかしいくらいに感じてしまっているのに、頭の中は「キモチイイ」でいっぱいになっていった。

「あっ、あっ……んうっ、いやあっ、やだあっ……」

 こんなふうにされて、乳首で気持ちよくなれるんだって教え込まれてしまったらますます圭太さんにのめり込んでしまう。気持ちいいのに、強く吸われると、なんだか切なくて、グズグズと泣いてるみたいな声で喘ぐのがやめられない。
 窮屈なスペースで、マットレスと圭太さんに挟まれながら、俺の体は初めての快感の虜になっていた。



 圭太さんの体は脱毛の成果で、どこを触ってもなんだかサラサラしていた。アクションヒーローとして活躍し、今は宅配ドライバーの仕事をしている圭太さんの体は、大きくはないけど、背中にもお腹にも、腕にもキチンと筋肉があって、堅い。
 人間の裸、というよりは「綺麗な肉体」をモデルにして作った彫刻みたいだった。

 圭太さんは「いいよ」って遠慮したけど、してみたい、ってお願いして初めて圭太さんの性器を口に含んだ。大好きな圭太さんの引き締まった体にうっとりしながら、大きく堅くなったペニスを頬張った。

「んっ……ん、ふ……好き……」

 舌を伸ばして裏筋を舐め回すと、圭太さんの太ももから爪先まで、一気に力が入る。触れあっている部分からそれが伝わってきて、圭太さんも気持ちいいんだって嬉しくなった。

「すき、ん、んぅ……」
「あ……。空、それ、ヤバイ……。っ、ダメだよ……」

「今から俺の中に入ってくるんだ」って思うと、止められなかった。根本を手で掴まえて、唇で触れてみたり、口に含んだまま頭を上下に動かしたり、夢中になっていた。



「ああっ……!」

 天井に頭をぶつける勢いで、急に顔を上げて、あたふたし始めた俺に、圭太さんも「どうした」とすごくビックリしていた。

「あっ、ごめんなさい……。俺、まだ圭太さんに好きって伝えてないのに、先に、圭太さんのに、好きって言っちゃった……」

 普段は圭太さんから「好きだよ」と言われても、恥ずかしくてコクコクと頷くことしか出来ないのに、まさか先に圭太さんの勃起した……に言ってしまうなんて。
 自分がすごくいやらしい人間になってしまった気がして、もう一度「ごめんなさい」と謝ると、圭太さんは俺を黙って引き寄せた。

「空はいつも『好き』って顔に出てるから、言われなくてもわかるよ」
「本当……?」
「……だからもっと、好きってして」
「うん……」

 陰気で、トロくて、友達もいない俺だけど、圭太さんは「大好き」の代わりに俺が抱き付いてくることも、圭太さんの側で幸せを感じていることも、ちゃんとわかってくれていた。

 だから、「ありがとう、大好き」っていっぱい口と舌で尽くした。圭太さんももちろん好きだけど、圭太さんが気持ちよくなってくれるフェラも、俺は大好きになってしまった。舐めていると触ってもいない俺のペニスに、先走りが滲む。
 
 狭いから難しかったけど、圭太さんのペニスの先っぽを自分の乳首に擦り付けながら、「気持ちいい」って喘いでいたら、「可愛い声」と圭太さんはすごく喜んでくれた。
 可愛さなんか変声と同時に失ってしまった声だ。だけど、感じている時の声は圭太さんだけにしか聞かせられない。俺の、可愛くない特別な声は、圭太さんの前でどんどん淫らになっていく。



 そして、本当の本当に初めての場所で圭太さんのモノを受け入れた時、俺はほとんど声を出せないまま、ちょっとだけ泣いてしまった。
 天井に体や頭をぶつけないよう、うつ伏せに寝かせた俺に、圭太さんはゆっくり入ってきた。ちょっとだけ痛かったし怖かったけど、やっと圭太さんとエッチが出来たんだって、嬉しくて、涙が溢れた。

「う……んうっ……」
「空……?」
「ううっ……」

 子供の頃、側にいてくれた大人は俺が子役としての輝きを無くした途端、みんないなくなってしまったけど、「圭太お兄ちゃん」と呼んで憧れていた人だけは、成長して可愛くなくなった俺のことを好きでいてくれる。

 好き、圭太さんだけ……と抜き差しを受け入れながらつっかえつっかえ伝えると、「俺も、空だけだよ」と圭太さんが吐息混じりの声で答えてくれる。

「あ、んっ、けいたさんっ……」
「ずっと、空だけだから……」
「あっ、あ、あ、まって、お腹の方ぐりぐりしちゃやだっ、いっちゃう……」

 ずっとずっと俺には空だけ、と圭太さんは何度も俺に言い聞かせながらゆっくり腰を振った。熱くて、なんだかお腹が苦しい。それなのに、ペニスが自分の体とマットレスの間で擦れて突かれるたびに、気持ちがいい。
 まだ中だけでイク感覚はわからない。だけど、「空」と名前を呼ばれながら、熱いペニスで中を擦られると、頭がボーッとしてくる。
 もう俺の身も心も、全部が圭太さんを欲しがるようになってしまったんだって感じられた。


「あっ、ああっ……けいたさん……」

 やっぱりロフトは狭くて、いつの間にか俺の体の下敷きになっていた照明スイッチが「ピッ」と反応して、ピストン中に部屋の灯りがついてしまうというアクシデントには見舞われたものの、幸せな初体験だった。

 コンドーム、二個しか使えなかったねって、終わった後に圭太さんと笑い合った。「次はいつしてくれる?」って聞きたかったけど、聞かなかった。勇気が出なかったからじゃなくて、「おいで」と終わった後も触れるだけのキスで、圭太さんがいっぱい愛してくれたから、きっとすぐ出来るよね、圭太さんも「したい」って思ってくれてるよね……って信じられたからだった。
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