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【番外編】どぎまぎしていた頃(1)(R3.11.20追加)
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ちゃんと付き合うことになってから初めて、生田さんの家へ遊びに行った。
「こんにちは」
「こんにちはっ! お邪魔します」
出迎えて貰って挨拶をするのは今までと全然変わらない。テーブルにおやつを準備してくれてるのも、そうだった。俺の大好物のアルフォートのファミリーパックを含めた、たくさんのお菓子。
それから……チョコレートケーキと、苺タルトまである。この辺りでは買えそうにない、お洒落で高級そうなケーキだった。休みの日なのに、わざわざ俺に食べさせるために遠くまで買いに行ってくれたのかなって、ちょっとだけ申し訳なくなる。
「おやつ、いっぱい準備して貰って、すみません……。ありがとうございます」
「鈴井さんが来てくれるのが嬉しくて、それで買いすぎてしまった」
「あの……今日はどうしますか?」
言ってしまってから、これからはそんなことは確認しなくてもよかったんだ、って顔が熱くなる。身に付いてしまった習慣って、怖い。
今日からは、生田さんとの間では「60分でいいですか?」とか「オプションは付けますか? ……手コキしながら、なるべくなじってくれたら、追加でお金を……? わかりました、頑張ります……!」とか、そういうやりとりはしなくてもいい。付き合っているのだから、当たり前のことなのに、なんだか変な感じがする。
「変なことを言ってしまって、すみません……」
「鈴井さん、何もしなくていいよ」
普通に過ごしてくれたらそれでいいよ、いてくれるだけでいいよ、と生田さんから優しく言われて、なんだか照れ臭い。俺がどんなオカズで抜いているのかも、乳首が小さい、ということも知られていて、しゃぶったことも、しゃぶって貰ったこともあるのに、普通に「付き合っている」状態になると、どうしたらいいのか、何をしてあげたらいいのか、途端にわからなくなる。
変に意識をしすぎてソワソワしている俺と違って、生田さんは今までとほとんど変わらなかった。俺がおやつを食べている所をじーっと見ては「可愛いな」とボソッと呟く。真剣な顔つきだけど、これは生田さんが「 可愛い、ヤりたい、食べたい、抱きたい」と思っている時の表情だから、少し気まずい。
フォークでケーキをつついた後に、モグモグやっているところや、ゴク、と飲み込むところを凝視されるのはやっぱり恥ずかしい。口いっぱいに頬張ったり、タルトのクッキー生地をポロポロ溢したりはしていないけど、ちゃんと行儀よく食べられているんだろうかって不安になる。
「あのー……生田さんは食べないんですか?」
「俺はいいよ。鈴井さんが食べているところを見られればそれでいいから」
「でも……」
ただ、好きなようにお菓子を食べて「美味しい!」と喜んでいるところを見ているだけなんて、飽きないんだろうか。しかも、自分は一口も食べない。
いつもだったら、この辺りで「ベッドに行こう」と誘われるけど、今日はそれが無い。付き合っているんだから、もうお金を払わなくたってお互いの体に触れたり、キスをしたりしてもいいはずなのに、なんだかタイミングが掴めない。
「……鈴井さん」
「えっ! は、はい、なんでしょう?」
「ケーキ、おかわりする?」
「あっ、大丈夫です、ごちそうさまでした……。あの、お皿洗ってきますね」
間が持たない、という理由でケーキ二個は、あっという間に食べ尽くしてしまった。
せっかく、生田さんの部屋に忍び込んで好きだって伝えて、それで付き合うことになったのに、これじゃあ告白する前よりも状況が悪くなってしまっている。
普通に過ごす……普通ってなんだっけ……と思いながら、皿を洗っていると、ヌッと生田さんが後ろから俺の手元を覗き込んできた。
「わあっ!?」
「鈴井さん、片付けなんてしなくてもよかったのに……」
「いえ、自分で使った食器くらいは綺麗にさせてください」
皿を洗い終えると、いよいよすることが無くなってしまった。生田さんも「間が持たない」と感じているのか、一緒に映画でも見よう、と誘ってくれる。
一応、頷いたけど、せっかくだから生田さんといろいろ話をして、もっと仲良くなりたかった。だけど、部屋の中をキョロキョロと見回してみても、余計な物は一つも置かれていない。いつも綺麗に片付いてる部屋だなとは思っていたけど、それにしたって、本当に最低限の家具と家電があるくらいで、余計な小物や本やゲームといった、生田さんの趣味がわかるものは見当たらなかった。
「鈴井さん、何か探してる?」
「えっと……綺麗な部屋だなーと思って……。生田さんって、持ち物は全部クローゼットの中にしまってるんですか? 俺の家と全然違う……。どんなふうに収納してるんですか?」
「いや、全然、収納出来てないよ。本当に無理やり物を詰め込んで綺麗に見せてるだけだから……」
そう言って生田さんは謙遜するけど、どう見ても普段からキチンと片付けをしている人の部屋だった。一週間に一度しかない回収日をいつも忘れてしまうせいで、ペットボトルや空き缶用のゴミ箱はいつも満杯なうえに、読みかけの雑誌や脱いだ服が床に落ちている俺の部屋とは全然違う。……生田さんが俺の部屋に遊びに来たら、「だらしないな……」って軽蔑されてしまうかもしれない。
それに生田さんの部屋と違ってテレビは小さいし、パソコンもない。生田さんの家のテレビではユーチューブもアマゾンプライムもなんでも見放題だけど、俺の家はそうじゃない。
「生田さんの家は映画もアニメもいろいろ見られるからいいなー……。生田さんは、普段何を見てるんですか?」
生田さんの好きなものを知りたい、と思って質問したのに、なんだか聞いてはいけないことを聞いてしまったのかもしれない。生田さんの表情がみるみるうちに曇っていく。
「それは、ちょっと言えないな……。鈴井さんを、きっとすごく怖がらせてしまうだろうし……」
「えっ!?」
怖がらせてしまうようなものを見てるってどういうこと!? とビックリして固まってしまっていると、生田さんもすごく気まずそうにしている。
「……もしかしてスプラッター映画とかですか? 俺はあんまり好きじゃないけど……心を無にしたら一緒に見ることが出来る、かも……」
「そうじゃなくて……。実は……小さい犬の動画をしょっちゅう見てる」
「へ!?」
もしかして目を覆いたくなる程残酷な映像でも見てるのかな!? と勝手に想像していたから、「小さい犬」という可愛い単語に拍子抜けしてしまう。
なぜか生田さんはすごく居心地が悪そうにしているけれど、一緒に犬の動画を「可愛いね」って眺めていれば、よそよそしい雰囲気も変わるかもしれない。
「俺も犬、好きですよ。どんな種類の犬が好きなんですか?」
「そうだな……ポメラニアンとかチワワが特に好きだな……。目が大きくて丸っこい感じの……」
「へ~! なんだあ……。てっきりもっと怖い映像を見てるのかと……」
「……子犬がオヤツを食べたり眠ったりしてる動画をひたすら見て癒されてるって、引かない?」
「いやいや、むしろ、今まで聞いた話の中では全然普通の方ですよ! 自信持ってください!」
「……それなら良かった」
せっかくだから一緒に見ましょうよ! って早速生田さんを促して、二人で子犬の動画を見ることにした。
「見てください! すごく可愛い!」って生田さんの方を見ると生田さんもなぜか俺のことをじっと見ていて、何度も目が合う。「……本当だ。すごく可愛い」って生田さんも嬉しそうだし、二人で「この動画はどうだろう?」ってより可愛くて面白い映像を探していると会話が途切れることもなかった。
生田さんは犬以外の小さい可愛い動物も好きみたいだから、ウサギやハムスターの動画も開拓した。仕事で帰るのが遅くなってしまった日も、寝る前に小さい犬の動画を見ている、という生田さんのために頑張って当たりの動画を探してあげたかったからだ。
「……鈴井さん、鈴井さんの好きな動画を見ていてもいいから、ほんの少しだけ添い寝をさせて欲しいんだけど」
「添い寝ですか? いいですよ?」
動画に夢中になってしまってウッカリしていたけれど、休日の14時過ぎという中途半端な時間は、普段の生田さんは昼寝をしている頃なのかもしれない。
添い寝なら付き合う前から何度もやっているけど、暖かくて落ち着くから、俺も好きだ。「おじゃまします」と生田さんのベッドに横になると、横向きで寝ている体を後ろから抱き締められる。
「生田さん、このまま俺を抱き枕代わりにしてもいいですよ?」
「……ありがとう」
生田さんはくっついてくるくらいで、それ以外は特に何も起こらなかった。
……勝手に忍び込んで、初めて生田さんに「好きです」と伝えた夜もそうだった。何もしないから、と約束してきたとおり、生田さんは本当に何もしてこなかった。朝まで同じベッドで寝る、ただそれだけ。「こんなに可愛い良い子が付き合ってくれるなんて……。やっぱり俺は死んでる……?」と翌朝もまだ混乱はしていたけど……。
付き合う前は、体を触られるのが当たり前だったからなんだか変な感じがする。生田さんは後ろから俺を抱き締めたまま、ほとんど何も喋らない。そーっと様子を窺うと、疲れているのか眠ってしまっていた。
毎日遅い時間まで働いているし、きっと俺の想像の何倍も大変なんだろうな……と思うし、生田さんを休ませてあげたいな、と感じた。
テレビでは冬毛になったウサギの映像が流れている。フワフワで丸くて可愛い。生田さんが起きたら「可愛いの見つけましたよ!」って教えてあげよう……と頭の片隅にメモをしながら、俺は抱き枕としての役割を全うすることにした。
「こんにちは」
「こんにちはっ! お邪魔します」
出迎えて貰って挨拶をするのは今までと全然変わらない。テーブルにおやつを準備してくれてるのも、そうだった。俺の大好物のアルフォートのファミリーパックを含めた、たくさんのお菓子。
それから……チョコレートケーキと、苺タルトまである。この辺りでは買えそうにない、お洒落で高級そうなケーキだった。休みの日なのに、わざわざ俺に食べさせるために遠くまで買いに行ってくれたのかなって、ちょっとだけ申し訳なくなる。
「おやつ、いっぱい準備して貰って、すみません……。ありがとうございます」
「鈴井さんが来てくれるのが嬉しくて、それで買いすぎてしまった」
「あの……今日はどうしますか?」
言ってしまってから、これからはそんなことは確認しなくてもよかったんだ、って顔が熱くなる。身に付いてしまった習慣って、怖い。
今日からは、生田さんとの間では「60分でいいですか?」とか「オプションは付けますか? ……手コキしながら、なるべくなじってくれたら、追加でお金を……? わかりました、頑張ります……!」とか、そういうやりとりはしなくてもいい。付き合っているのだから、当たり前のことなのに、なんだか変な感じがする。
「変なことを言ってしまって、すみません……」
「鈴井さん、何もしなくていいよ」
普通に過ごしてくれたらそれでいいよ、いてくれるだけでいいよ、と生田さんから優しく言われて、なんだか照れ臭い。俺がどんなオカズで抜いているのかも、乳首が小さい、ということも知られていて、しゃぶったことも、しゃぶって貰ったこともあるのに、普通に「付き合っている」状態になると、どうしたらいいのか、何をしてあげたらいいのか、途端にわからなくなる。
変に意識をしすぎてソワソワしている俺と違って、生田さんは今までとほとんど変わらなかった。俺がおやつを食べている所をじーっと見ては「可愛いな」とボソッと呟く。真剣な顔つきだけど、これは生田さんが「 可愛い、ヤりたい、食べたい、抱きたい」と思っている時の表情だから、少し気まずい。
フォークでケーキをつついた後に、モグモグやっているところや、ゴク、と飲み込むところを凝視されるのはやっぱり恥ずかしい。口いっぱいに頬張ったり、タルトのクッキー生地をポロポロ溢したりはしていないけど、ちゃんと行儀よく食べられているんだろうかって不安になる。
「あのー……生田さんは食べないんですか?」
「俺はいいよ。鈴井さんが食べているところを見られればそれでいいから」
「でも……」
ただ、好きなようにお菓子を食べて「美味しい!」と喜んでいるところを見ているだけなんて、飽きないんだろうか。しかも、自分は一口も食べない。
いつもだったら、この辺りで「ベッドに行こう」と誘われるけど、今日はそれが無い。付き合っているんだから、もうお金を払わなくたってお互いの体に触れたり、キスをしたりしてもいいはずなのに、なんだかタイミングが掴めない。
「……鈴井さん」
「えっ! は、はい、なんでしょう?」
「ケーキ、おかわりする?」
「あっ、大丈夫です、ごちそうさまでした……。あの、お皿洗ってきますね」
間が持たない、という理由でケーキ二個は、あっという間に食べ尽くしてしまった。
せっかく、生田さんの部屋に忍び込んで好きだって伝えて、それで付き合うことになったのに、これじゃあ告白する前よりも状況が悪くなってしまっている。
普通に過ごす……普通ってなんだっけ……と思いながら、皿を洗っていると、ヌッと生田さんが後ろから俺の手元を覗き込んできた。
「わあっ!?」
「鈴井さん、片付けなんてしなくてもよかったのに……」
「いえ、自分で使った食器くらいは綺麗にさせてください」
皿を洗い終えると、いよいよすることが無くなってしまった。生田さんも「間が持たない」と感じているのか、一緒に映画でも見よう、と誘ってくれる。
一応、頷いたけど、せっかくだから生田さんといろいろ話をして、もっと仲良くなりたかった。だけど、部屋の中をキョロキョロと見回してみても、余計な物は一つも置かれていない。いつも綺麗に片付いてる部屋だなとは思っていたけど、それにしたって、本当に最低限の家具と家電があるくらいで、余計な小物や本やゲームといった、生田さんの趣味がわかるものは見当たらなかった。
「鈴井さん、何か探してる?」
「えっと……綺麗な部屋だなーと思って……。生田さんって、持ち物は全部クローゼットの中にしまってるんですか? 俺の家と全然違う……。どんなふうに収納してるんですか?」
「いや、全然、収納出来てないよ。本当に無理やり物を詰め込んで綺麗に見せてるだけだから……」
そう言って生田さんは謙遜するけど、どう見ても普段からキチンと片付けをしている人の部屋だった。一週間に一度しかない回収日をいつも忘れてしまうせいで、ペットボトルや空き缶用のゴミ箱はいつも満杯なうえに、読みかけの雑誌や脱いだ服が床に落ちている俺の部屋とは全然違う。……生田さんが俺の部屋に遊びに来たら、「だらしないな……」って軽蔑されてしまうかもしれない。
それに生田さんの部屋と違ってテレビは小さいし、パソコンもない。生田さんの家のテレビではユーチューブもアマゾンプライムもなんでも見放題だけど、俺の家はそうじゃない。
「生田さんの家は映画もアニメもいろいろ見られるからいいなー……。生田さんは、普段何を見てるんですか?」
生田さんの好きなものを知りたい、と思って質問したのに、なんだか聞いてはいけないことを聞いてしまったのかもしれない。生田さんの表情がみるみるうちに曇っていく。
「それは、ちょっと言えないな……。鈴井さんを、きっとすごく怖がらせてしまうだろうし……」
「えっ!?」
怖がらせてしまうようなものを見てるってどういうこと!? とビックリして固まってしまっていると、生田さんもすごく気まずそうにしている。
「……もしかしてスプラッター映画とかですか? 俺はあんまり好きじゃないけど……心を無にしたら一緒に見ることが出来る、かも……」
「そうじゃなくて……。実は……小さい犬の動画をしょっちゅう見てる」
「へ!?」
もしかして目を覆いたくなる程残酷な映像でも見てるのかな!? と勝手に想像していたから、「小さい犬」という可愛い単語に拍子抜けしてしまう。
なぜか生田さんはすごく居心地が悪そうにしているけれど、一緒に犬の動画を「可愛いね」って眺めていれば、よそよそしい雰囲気も変わるかもしれない。
「俺も犬、好きですよ。どんな種類の犬が好きなんですか?」
「そうだな……ポメラニアンとかチワワが特に好きだな……。目が大きくて丸っこい感じの……」
「へ~! なんだあ……。てっきりもっと怖い映像を見てるのかと……」
「……子犬がオヤツを食べたり眠ったりしてる動画をひたすら見て癒されてるって、引かない?」
「いやいや、むしろ、今まで聞いた話の中では全然普通の方ですよ! 自信持ってください!」
「……それなら良かった」
せっかくだから一緒に見ましょうよ! って早速生田さんを促して、二人で子犬の動画を見ることにした。
「見てください! すごく可愛い!」って生田さんの方を見ると生田さんもなぜか俺のことをじっと見ていて、何度も目が合う。「……本当だ。すごく可愛い」って生田さんも嬉しそうだし、二人で「この動画はどうだろう?」ってより可愛くて面白い映像を探していると会話が途切れることもなかった。
生田さんは犬以外の小さい可愛い動物も好きみたいだから、ウサギやハムスターの動画も開拓した。仕事で帰るのが遅くなってしまった日も、寝る前に小さい犬の動画を見ている、という生田さんのために頑張って当たりの動画を探してあげたかったからだ。
「……鈴井さん、鈴井さんの好きな動画を見ていてもいいから、ほんの少しだけ添い寝をさせて欲しいんだけど」
「添い寝ですか? いいですよ?」
動画に夢中になってしまってウッカリしていたけれど、休日の14時過ぎという中途半端な時間は、普段の生田さんは昼寝をしている頃なのかもしれない。
添い寝なら付き合う前から何度もやっているけど、暖かくて落ち着くから、俺も好きだ。「おじゃまします」と生田さんのベッドに横になると、横向きで寝ている体を後ろから抱き締められる。
「生田さん、このまま俺を抱き枕代わりにしてもいいですよ?」
「……ありがとう」
生田さんはくっついてくるくらいで、それ以外は特に何も起こらなかった。
……勝手に忍び込んで、初めて生田さんに「好きです」と伝えた夜もそうだった。何もしないから、と約束してきたとおり、生田さんは本当に何もしてこなかった。朝まで同じベッドで寝る、ただそれだけ。「こんなに可愛い良い子が付き合ってくれるなんて……。やっぱり俺は死んでる……?」と翌朝もまだ混乱はしていたけど……。
付き合う前は、体を触られるのが当たり前だったからなんだか変な感じがする。生田さんは後ろから俺を抱き締めたまま、ほとんど何も喋らない。そーっと様子を窺うと、疲れているのか眠ってしまっていた。
毎日遅い時間まで働いているし、きっと俺の想像の何倍も大変なんだろうな……と思うし、生田さんを休ませてあげたいな、と感じた。
テレビでは冬毛になったウサギの映像が流れている。フワフワで丸くて可愛い。生田さんが起きたら「可愛いの見つけましたよ!」って教えてあげよう……と頭の片隅にメモをしながら、俺は抱き枕としての役割を全うすることにした。
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