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★気持ちいい
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◇◆◇
一度オナニーについていろいろ教えてしまったからなのか、生田さんは俺が抜く頻度やオカズについてしつこく聞いてくるようになった。今日だって、貰ったお菓子を食べている最中に「昨日は抜いた?」と身を乗り出しながら聞かれて、ビックリしてむせてしまった。
「きゅ、急にそういうこと聞くのやめてくださいよ……!」
「ごめんごめん。鈴井さん、大丈夫?」
ゴホゴホ咳き込んでいると、生田さんが背中を擦ってくれる。今日、生田さんと会うから何日も前からずっと我慢をしていたから、今はすごくムラムラしてます……と言うのは悔しかったから「知りません!」とだけ答えておいた。
「今日は鈴井さんが一人でしてるところが見たいな……じっくりと」
薄ら笑いを浮かべながら、わざわざ「じっくりと」と付け足してくるところが、なんだか怖い。怖いけど、確かオナニーを見せたら追加でお金を貰えることになっていたからオーケーした。
「どんなふうにしたらいいですか?」
「そうだな……。料金を上乗せするから、服を全部脱いでエム字に開脚した状態で、して貰っても?」
「えっ…!」
それは……と、口ごもってしまう。そんな格好、想像するだけで恥ずかしいうえに、もちろん部屋だって暗くして貰えないだろうから、何もかもを見られてしまう。「ヤダヤダ」と言いながら感じている表情も、手の動きも、普段下着で隠れている場所も、全部をさらけ出さないといけない。生田さんは「ゆっくり考えていいよ」と言ってくれたけど、返事に困ってオロオロする俺を眺めてはニヤニヤしていた。
「わかりました、やります……」
頼んでおきながら断られると思っていたのか「本当に?」と生田さんはビックリしていた。本当はとても恥ずかしいし、自分がそんな格好をしているのを想像したらなんだかすごくバカみたいだって思えた。だけど、お金は欲しいし、それに、生田さんはこの前俺のことを「一生懸命仕事をしてくれる」って言ってくれた。生田さんはお金を払って俺を買ってくれているわけだから、誰にも言えないアルバイトではあるものの、満足してもらえるよう精一杯やろうって思っていたから嬉しかった。
「あの、あの……上だけ着ててもいいですか? 全裸は恥ずかしくて……。すみません、本当にごめんなさい」
「上は着ててもいいし、気分が乗らないならしなくてもいいよ」
さっき、オナニーを見せる時のオプションをどんどん追加していた時は、いきいきしていたのに、生田さんの方がなんだか弱気になってしまったみたいだった。テンションの上がり下がりが少なくて、いつも淡々と話すからちょっとだけわかりにくいけど、生田さんは怖い人じゃない。威圧的な態度や乱暴な立ち振舞いといったものとは無縁で、基本的にはいつも穏やかだ。そういうものとは全然次元が違う怖さは時々感じるけど、いつも俺にすごく気を遣ってくれる。
「大丈夫です。ただ、全部脱ぐのが恥ずかしいだけだから……あ、足は頑張って開くようにしますから」
「……うっ」
「えっ!? 出ちゃいました?」
「大丈夫だけど、うっ、一発、抜いておきたい……」
せっかくいつも親切にしてもらっていることに対して、何かお返しがしたくて頑張ろうと思っていたのに、よっぽど溜まっているのか、生田さんは「今、抜いておかないと大変なことになる」と言って聞かなかった。
「生田さんダメです! 今、トイレに抜きにいっちゃダメ!」
「ちょっと、鈴井さん……」
「俺の……オナニーしてるところを見ながら抜いた方が絶対気持ちいいですよ! だから、我慢してください!」
「あああっ……!」
高いお金を払っているんだからたくさん満足して欲しくて説得しているのに、生田さんはいつの間にか大量に汗をかいていて、死にそうな顔をしていた。
◇◆◇
「あっ、んんっ……あっ、あっ、ヤバ……」
いっちゃいそう、と言いかけたのをなんとか我慢して、自分で性器の根本をぎゅうっと掴まえた。
ベッドの上で膝を立てた状態で、大きく開いた脚の間を見られている。下には何も身に付けていないし、部屋は明るい。こんな姿を人に見せるのは初めてだった。そのせいで、耳も頬も熱い。ちっとも悲しくないのに、油断したら目の端から涙が零れそうだった。
「生田さん……、も、恥ずかしい、もう出したいです……」
じっくり楽しみたいと言っていたから、すぐ終わってしまわないように自分なりに頑張った。何度も「イく」と感じた瞬間に手を止めて、いっぱい我慢したけれど、それももう限界だった。側に腰掛けてそれをじいっと眺めていた生田さんが、鈴井さん、と一気に距離を詰めてくる。
「汚れるとか気にしないで。ここにそのまま出していいよ」
「ああっ……!」
「……もうちょっと、足開ける?」
射精の瞬間が近くて、自然と膝を内側へモゾモゾと擦り合わせるようにしていた。そろそろと足を開く。こんな格好で先走りで濡れている性器を晒しているなんて、自分でもなんだか信じられなかった。それなのに、バカみたいに手を上下に動かして扱き続けることをやめられない。
「あっ、いやだっ、見ないでください……! いやっ……!」
見ないで、と絞り出すような声で訴えながら、すごくいやらしい格好で生田さんに性器を見せつけていて、自分でも「どっちなんだろう」とわけがわからなくなる。
「ああっ……! いく、いく、いやっ……!」
可愛い、と生田さんがそっと俺の膝に手を乗せた。ゾクゾクするような快感がせり上がってきて、膝がガクガク震える。こんな格好で射精したことなんて、もちろん無い。寝転がっている時と違って、折り曲げられた膝の裏まで、なんだかビリビリする。気持ちがよくて、恥ずかしくて、苦しい。
いく、いく、と何度も声をあげながらも、なかなか達することが出来なかった。慣れない体勢のせいなのか、それとも羞恥のせいなのかはわからない。「オナニーを見せて欲しい」と頼んだからなのか、生田さんは俺の性器や乳首には絶対に触れようとしなかった。出したいのに上手くいかない状態が長く続いて、それがなんだかもどかしくて堪らなかった。
「生田さん、生田さんも、して……? 恥ずかしいです……」
本当に、一人はとてもとても恥ずかしいんです、と気を抜いたらシクシク泣いてしまいそうだった。だけど、なぜか生田さんは俺の側で抜くことを躊躇している。パンツを脱ぐどころか、部屋着をずり下ろそうともしない。それなのに、時々「ぐう……」と苦しそうに呻いては前屈みになる。
「……生田さん」
気分が乗らなくて出来ないのならともかく、どう見ても勃起しているのに、生田さんは生田さんで俺の体を見て抜くことをなぜだか我慢しているようだった。だから、限界まで足を開いて、見せつけるようにしながら生田さんを誘った。
「生田さん、もう俺いきそうです……だから、生田さんも」
「……わかった」
我慢することをようやく諦めた生田さんが部屋着の中に手を突っ込んだ。部屋の気温が高すぎるというわけでもないし、くっついているわけでもないのに、二人とも汗をかきながら、自分のモノを擦る。
「鈴井さん…」
切羽詰まった様子の生田さんが顔を近付けてきた。キス、がしたいのかなって、薄く開いた唇を意識してしまう。契約する時にキスはNGとは伝えていないし、生田さんの作ったオプション一覧表にも載っていなかった気がする。お金で体を売っている俺とはそもそもしないことが前提になっているんだろうか。
このままキスをしてしまうかも、ということを嫌か嫌じゃないか聞かれたら、不思議と嫌だとは思わなかった。自分の意思よりも生田さんが、したいと感じているのなら、それに合わせるべきだって、そう感じていた。
「んうぅ……」
「キスしますか?」って自分の方から聞くべきだってわかっていたけど、気持ちよすぎて、上手く言葉が出てこない。ヌチ、ヌチという性器を擦る音と、お互いの荒い呼吸がすぐ側で聞こえるほどの距離感で、顔を上げて生田さんのことをじっと見ることしか出来なかった。生田さんも何も言わなかった。そして、本当にあと数センチ顔を近付けたら、このまま唇どうしが触れ合うという瞬間に、急にビックリした顔をしてパッと離れていってしまった。
「……鈴井さん、ごめん」
いったい何に対しての「ごめん」なんだろう。俺は、「ああ、やっぱり、付き合っていない相手とはそういうことはしないんだ」って納得していたのに。鈴井さん、と生田さんが首筋に顔を埋めてくる。もたれ掛かっている壁と生田さんに挟まれるようにして、性器を擦る。首に生暖かいものが触れてくすぐったい。舌だ、舐められてる、ってわかって、自分が汗をたくさんかいていることがどうしても気になってしまう。
「あっ、ああっ……出ちゃう……」
生田さんの唇が、舌が、首筋や肩に触れているせいで、さっきよりもずっとずっと気持ちがいい。生田さんの唇は俺の皮膚を軽く挟んではすぐに離れていく。慎重なその動きがなんだかもどかしい。
痕が残らないように気を遣ってくれているんだろうけど、一度では終わらずに、触れては離れるを繰り返すのが、なんだか名残惜しそうだった。
「いくたさん、ここ舐めて……俺の、おっぱい、あ、うっ……吸ってください……」
キスも、俺の体に痕を残すのも抵抗があるのなら、せめてここだけでも、と思い着ていた服を捲り上げる。乳首まで見せてしまったら結局全裸とあまり変わらないけど、それを判断して躊躇するための感覚は、すっかり鈍ってしまっていた。
「鈴井さん、ほ、本当に吸っても……?」
生田さんはビックリしていたし多少遠慮しているけど、微妙に目線が合わないから、ギラギラした目で俺の乳首しか見ていないのは明らかだった。本当は乳首が小さいって言われるのは恥ずかしいし、生田さんに乳首を弄られると、自分でも「大丈夫かな」って思うくらい感じてしまうのから、時々ちょっとだけ不安になる。それでも、より満足してくれるならと思って、「おっぱい、吸って」って自分からおねだりした。ゴク、と喉を鳴らした後、生田さんは俺の胸に顔を近付けてから、乳首にむしゃぶりついた。
「ひゃっ……あ、ああっ……! いく、いく、あっ、あっ、あ」
そんなに強く吸われたら、おかしくなる、怖い、と思ったのはほんの一瞬で、「気持ちいいです」と声を震わせながら生田さんよりも先に達してしまった。
「うう……」
なんだかすごく疲れていた。疲れていたけど、生田さんが射精するまでは、ちゃんと付き合わないといけない。
「あの、手でしますか……?」
「いや、自分でするからいいよ。代わりにおっぱいを……」
少しだけ貸して欲しい、と言われたから何をするつもりなのかは聞かずにオーケーした。生田さんは俺の胸を「おっぱい」と呼ぶことは一切躊躇わないのに、「貸して」と言う時はすごく申し訳なさそうにしていた。
「あっ、あ、んっ……」
「鈴井さん、体キツイ?」
「んっ、平気です……でも、恥ずかしい……」
どれだけ我慢しなきゃ、と思っても、射精した後は敏感になっているせいで、乳首を吸われると、体が「もういらない」と生田さんから逃げようとする。押し倒された後、乳首をピチャピチャと音を立てて舐められている間、生田さんの体にしがみついて、ぎゅっと目を閉じた。
生田さんの唇は、キスするみたいに何度も俺の胸に触れた。それから、いやらしい音をたてて乳首を舌でねぶられる。射精する前になんだか口寂しいと感じたのかな? と思って、軽い気持ちで差し出したけれど、唇と舌で俺の乳首に触れている間、生田さんはうっとりしているみたいだった。
長い愛撫の後、最後は生暖かいものがたっぷり胸にかけられた。ぽた、ぽた、と乳首に生田さんの精液が垂らされるたびに、「もっと気持ちよくして」と訴えるみたいにして、俺の体はピクピクと反応した。
◇◆◇
シャワーの後、生田さんから「痕が残っていないか確認させて欲しい」と言われた。体を洗っていた時、べつに気になる場所は無かったし、そこまで強く吸われた覚えも無かったから大丈夫だろうとは思っていた。だけど、生田さんが心配そうにしながら、「人に見られるような場所に残っていたらゴメン」と謝ってくる。仕方がないから上に着ているものを脱いで体を見せることにした。
「これでいいですか……?」
さっきこんなことよりももっといやらしい姿を見せているのに、一仕事を終えた後だと、べつの種類の気まずさを感じる。生田さんは俺の首や肩、胸を見た後、「大丈夫だ」と安心したように呟いた。それからすぐに、俺に服を着せてくれて、労るようにしてそっと背中を擦ってくれた。
「あの……」
「ん?」
「……やっぱりなんでもないです」
生田さん、本当は男の人が好きなんですか? と聞きたかったけど、言えなかった。一応、生田さんは「新しい彼女を作る」とは言っていたし、俺の体を買っている名目も「若くて顔が可愛いから」ということになっている。オナニーを見せてきたり見たがったりするのも、「気持ち悪い! サイテーです!」と嫌がったり、恥ずかしがったりする俺の反応に喜びを感じるから、とも言っていた。
彼女は欲しいし、いたことがある。若くて可愛い容姿をしているなら男女どちらでも触れ合う相手としては好ましい……。生田さんは一度も俺に「女性ではなく男が好きだ」と言ってきたことはない。
だけど……俺の胸を吸っている時の生田さんは、俺が「若くて可愛くて、生田さん好みの反応をする」というだけじゃなくて、単純に同じ男の肉体にすごく興奮しているように見えた。本当は男の人じゃないとダメで、だから俺がプロの女の人のいるお店を勧めた時に「行けない」って言ったんですか、と聞きたい。だけど、聞いたら暖かい大きな手が俺の背中から離れていってしまいそうで、それが惜しく感じられたから、言えなかった。
一度オナニーについていろいろ教えてしまったからなのか、生田さんは俺が抜く頻度やオカズについてしつこく聞いてくるようになった。今日だって、貰ったお菓子を食べている最中に「昨日は抜いた?」と身を乗り出しながら聞かれて、ビックリしてむせてしまった。
「きゅ、急にそういうこと聞くのやめてくださいよ……!」
「ごめんごめん。鈴井さん、大丈夫?」
ゴホゴホ咳き込んでいると、生田さんが背中を擦ってくれる。今日、生田さんと会うから何日も前からずっと我慢をしていたから、今はすごくムラムラしてます……と言うのは悔しかったから「知りません!」とだけ答えておいた。
「今日は鈴井さんが一人でしてるところが見たいな……じっくりと」
薄ら笑いを浮かべながら、わざわざ「じっくりと」と付け足してくるところが、なんだか怖い。怖いけど、確かオナニーを見せたら追加でお金を貰えることになっていたからオーケーした。
「どんなふうにしたらいいですか?」
「そうだな……。料金を上乗せするから、服を全部脱いでエム字に開脚した状態で、して貰っても?」
「えっ…!」
それは……と、口ごもってしまう。そんな格好、想像するだけで恥ずかしいうえに、もちろん部屋だって暗くして貰えないだろうから、何もかもを見られてしまう。「ヤダヤダ」と言いながら感じている表情も、手の動きも、普段下着で隠れている場所も、全部をさらけ出さないといけない。生田さんは「ゆっくり考えていいよ」と言ってくれたけど、返事に困ってオロオロする俺を眺めてはニヤニヤしていた。
「わかりました、やります……」
頼んでおきながら断られると思っていたのか「本当に?」と生田さんはビックリしていた。本当はとても恥ずかしいし、自分がそんな格好をしているのを想像したらなんだかすごくバカみたいだって思えた。だけど、お金は欲しいし、それに、生田さんはこの前俺のことを「一生懸命仕事をしてくれる」って言ってくれた。生田さんはお金を払って俺を買ってくれているわけだから、誰にも言えないアルバイトではあるものの、満足してもらえるよう精一杯やろうって思っていたから嬉しかった。
「あの、あの……上だけ着ててもいいですか? 全裸は恥ずかしくて……。すみません、本当にごめんなさい」
「上は着ててもいいし、気分が乗らないならしなくてもいいよ」
さっき、オナニーを見せる時のオプションをどんどん追加していた時は、いきいきしていたのに、生田さんの方がなんだか弱気になってしまったみたいだった。テンションの上がり下がりが少なくて、いつも淡々と話すからちょっとだけわかりにくいけど、生田さんは怖い人じゃない。威圧的な態度や乱暴な立ち振舞いといったものとは無縁で、基本的にはいつも穏やかだ。そういうものとは全然次元が違う怖さは時々感じるけど、いつも俺にすごく気を遣ってくれる。
「大丈夫です。ただ、全部脱ぐのが恥ずかしいだけだから……あ、足は頑張って開くようにしますから」
「……うっ」
「えっ!? 出ちゃいました?」
「大丈夫だけど、うっ、一発、抜いておきたい……」
せっかくいつも親切にしてもらっていることに対して、何かお返しがしたくて頑張ろうと思っていたのに、よっぽど溜まっているのか、生田さんは「今、抜いておかないと大変なことになる」と言って聞かなかった。
「生田さんダメです! 今、トイレに抜きにいっちゃダメ!」
「ちょっと、鈴井さん……」
「俺の……オナニーしてるところを見ながら抜いた方が絶対気持ちいいですよ! だから、我慢してください!」
「あああっ……!」
高いお金を払っているんだからたくさん満足して欲しくて説得しているのに、生田さんはいつの間にか大量に汗をかいていて、死にそうな顔をしていた。
◇◆◇
「あっ、んんっ……あっ、あっ、ヤバ……」
いっちゃいそう、と言いかけたのをなんとか我慢して、自分で性器の根本をぎゅうっと掴まえた。
ベッドの上で膝を立てた状態で、大きく開いた脚の間を見られている。下には何も身に付けていないし、部屋は明るい。こんな姿を人に見せるのは初めてだった。そのせいで、耳も頬も熱い。ちっとも悲しくないのに、油断したら目の端から涙が零れそうだった。
「生田さん……、も、恥ずかしい、もう出したいです……」
じっくり楽しみたいと言っていたから、すぐ終わってしまわないように自分なりに頑張った。何度も「イく」と感じた瞬間に手を止めて、いっぱい我慢したけれど、それももう限界だった。側に腰掛けてそれをじいっと眺めていた生田さんが、鈴井さん、と一気に距離を詰めてくる。
「汚れるとか気にしないで。ここにそのまま出していいよ」
「ああっ……!」
「……もうちょっと、足開ける?」
射精の瞬間が近くて、自然と膝を内側へモゾモゾと擦り合わせるようにしていた。そろそろと足を開く。こんな格好で先走りで濡れている性器を晒しているなんて、自分でもなんだか信じられなかった。それなのに、バカみたいに手を上下に動かして扱き続けることをやめられない。
「あっ、いやだっ、見ないでください……! いやっ……!」
見ないで、と絞り出すような声で訴えながら、すごくいやらしい格好で生田さんに性器を見せつけていて、自分でも「どっちなんだろう」とわけがわからなくなる。
「ああっ……! いく、いく、いやっ……!」
可愛い、と生田さんがそっと俺の膝に手を乗せた。ゾクゾクするような快感がせり上がってきて、膝がガクガク震える。こんな格好で射精したことなんて、もちろん無い。寝転がっている時と違って、折り曲げられた膝の裏まで、なんだかビリビリする。気持ちがよくて、恥ずかしくて、苦しい。
いく、いく、と何度も声をあげながらも、なかなか達することが出来なかった。慣れない体勢のせいなのか、それとも羞恥のせいなのかはわからない。「オナニーを見せて欲しい」と頼んだからなのか、生田さんは俺の性器や乳首には絶対に触れようとしなかった。出したいのに上手くいかない状態が長く続いて、それがなんだかもどかしくて堪らなかった。
「生田さん、生田さんも、して……? 恥ずかしいです……」
本当に、一人はとてもとても恥ずかしいんです、と気を抜いたらシクシク泣いてしまいそうだった。だけど、なぜか生田さんは俺の側で抜くことを躊躇している。パンツを脱ぐどころか、部屋着をずり下ろそうともしない。それなのに、時々「ぐう……」と苦しそうに呻いては前屈みになる。
「……生田さん」
気分が乗らなくて出来ないのならともかく、どう見ても勃起しているのに、生田さんは生田さんで俺の体を見て抜くことをなぜだか我慢しているようだった。だから、限界まで足を開いて、見せつけるようにしながら生田さんを誘った。
「生田さん、もう俺いきそうです……だから、生田さんも」
「……わかった」
我慢することをようやく諦めた生田さんが部屋着の中に手を突っ込んだ。部屋の気温が高すぎるというわけでもないし、くっついているわけでもないのに、二人とも汗をかきながら、自分のモノを擦る。
「鈴井さん…」
切羽詰まった様子の生田さんが顔を近付けてきた。キス、がしたいのかなって、薄く開いた唇を意識してしまう。契約する時にキスはNGとは伝えていないし、生田さんの作ったオプション一覧表にも載っていなかった気がする。お金で体を売っている俺とはそもそもしないことが前提になっているんだろうか。
このままキスをしてしまうかも、ということを嫌か嫌じゃないか聞かれたら、不思議と嫌だとは思わなかった。自分の意思よりも生田さんが、したいと感じているのなら、それに合わせるべきだって、そう感じていた。
「んうぅ……」
「キスしますか?」って自分の方から聞くべきだってわかっていたけど、気持ちよすぎて、上手く言葉が出てこない。ヌチ、ヌチという性器を擦る音と、お互いの荒い呼吸がすぐ側で聞こえるほどの距離感で、顔を上げて生田さんのことをじっと見ることしか出来なかった。生田さんも何も言わなかった。そして、本当にあと数センチ顔を近付けたら、このまま唇どうしが触れ合うという瞬間に、急にビックリした顔をしてパッと離れていってしまった。
「……鈴井さん、ごめん」
いったい何に対しての「ごめん」なんだろう。俺は、「ああ、やっぱり、付き合っていない相手とはそういうことはしないんだ」って納得していたのに。鈴井さん、と生田さんが首筋に顔を埋めてくる。もたれ掛かっている壁と生田さんに挟まれるようにして、性器を擦る。首に生暖かいものが触れてくすぐったい。舌だ、舐められてる、ってわかって、自分が汗をたくさんかいていることがどうしても気になってしまう。
「あっ、ああっ……出ちゃう……」
生田さんの唇が、舌が、首筋や肩に触れているせいで、さっきよりもずっとずっと気持ちがいい。生田さんの唇は俺の皮膚を軽く挟んではすぐに離れていく。慎重なその動きがなんだかもどかしい。
痕が残らないように気を遣ってくれているんだろうけど、一度では終わらずに、触れては離れるを繰り返すのが、なんだか名残惜しそうだった。
「いくたさん、ここ舐めて……俺の、おっぱい、あ、うっ……吸ってください……」
キスも、俺の体に痕を残すのも抵抗があるのなら、せめてここだけでも、と思い着ていた服を捲り上げる。乳首まで見せてしまったら結局全裸とあまり変わらないけど、それを判断して躊躇するための感覚は、すっかり鈍ってしまっていた。
「鈴井さん、ほ、本当に吸っても……?」
生田さんはビックリしていたし多少遠慮しているけど、微妙に目線が合わないから、ギラギラした目で俺の乳首しか見ていないのは明らかだった。本当は乳首が小さいって言われるのは恥ずかしいし、生田さんに乳首を弄られると、自分でも「大丈夫かな」って思うくらい感じてしまうのから、時々ちょっとだけ不安になる。それでも、より満足してくれるならと思って、「おっぱい、吸って」って自分からおねだりした。ゴク、と喉を鳴らした後、生田さんは俺の胸に顔を近付けてから、乳首にむしゃぶりついた。
「ひゃっ……あ、ああっ……! いく、いく、あっ、あっ、あ」
そんなに強く吸われたら、おかしくなる、怖い、と思ったのはほんの一瞬で、「気持ちいいです」と声を震わせながら生田さんよりも先に達してしまった。
「うう……」
なんだかすごく疲れていた。疲れていたけど、生田さんが射精するまでは、ちゃんと付き合わないといけない。
「あの、手でしますか……?」
「いや、自分でするからいいよ。代わりにおっぱいを……」
少しだけ貸して欲しい、と言われたから何をするつもりなのかは聞かずにオーケーした。生田さんは俺の胸を「おっぱい」と呼ぶことは一切躊躇わないのに、「貸して」と言う時はすごく申し訳なさそうにしていた。
「あっ、あ、んっ……」
「鈴井さん、体キツイ?」
「んっ、平気です……でも、恥ずかしい……」
どれだけ我慢しなきゃ、と思っても、射精した後は敏感になっているせいで、乳首を吸われると、体が「もういらない」と生田さんから逃げようとする。押し倒された後、乳首をピチャピチャと音を立てて舐められている間、生田さんの体にしがみついて、ぎゅっと目を閉じた。
生田さんの唇は、キスするみたいに何度も俺の胸に触れた。それから、いやらしい音をたてて乳首を舌でねぶられる。射精する前になんだか口寂しいと感じたのかな? と思って、軽い気持ちで差し出したけれど、唇と舌で俺の乳首に触れている間、生田さんはうっとりしているみたいだった。
長い愛撫の後、最後は生暖かいものがたっぷり胸にかけられた。ぽた、ぽた、と乳首に生田さんの精液が垂らされるたびに、「もっと気持ちよくして」と訴えるみたいにして、俺の体はピクピクと反応した。
◇◆◇
シャワーの後、生田さんから「痕が残っていないか確認させて欲しい」と言われた。体を洗っていた時、べつに気になる場所は無かったし、そこまで強く吸われた覚えも無かったから大丈夫だろうとは思っていた。だけど、生田さんが心配そうにしながら、「人に見られるような場所に残っていたらゴメン」と謝ってくる。仕方がないから上に着ているものを脱いで体を見せることにした。
「これでいいですか……?」
さっきこんなことよりももっといやらしい姿を見せているのに、一仕事を終えた後だと、べつの種類の気まずさを感じる。生田さんは俺の首や肩、胸を見た後、「大丈夫だ」と安心したように呟いた。それからすぐに、俺に服を着せてくれて、労るようにしてそっと背中を擦ってくれた。
「あの……」
「ん?」
「……やっぱりなんでもないです」
生田さん、本当は男の人が好きなんですか? と聞きたかったけど、言えなかった。一応、生田さんは「新しい彼女を作る」とは言っていたし、俺の体を買っている名目も「若くて顔が可愛いから」ということになっている。オナニーを見せてきたり見たがったりするのも、「気持ち悪い! サイテーです!」と嫌がったり、恥ずかしがったりする俺の反応に喜びを感じるから、とも言っていた。
彼女は欲しいし、いたことがある。若くて可愛い容姿をしているなら男女どちらでも触れ合う相手としては好ましい……。生田さんは一度も俺に「女性ではなく男が好きだ」と言ってきたことはない。
だけど……俺の胸を吸っている時の生田さんは、俺が「若くて可愛くて、生田さん好みの反応をする」というだけじゃなくて、単純に同じ男の肉体にすごく興奮しているように見えた。本当は男の人じゃないとダメで、だから俺がプロの女の人のいるお店を勧めた時に「行けない」って言ったんですか、と聞きたい。だけど、聞いたら暖かい大きな手が俺の背中から離れていってしまいそうで、それが惜しく感じられたから、言えなかった。
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スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
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