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「また、六月一日か」

いままでに夏が終わらないことはあった。冬が進まないこともあったし、秋がすぐにすぎたこともあった。春はいつも素通りする。しかしループすることは始めてだ。

「じゃあ、学校に行くか」

俺は着替えて、支度して、家を出発した。何万年も生きているが学校には行く。何万年も生きてきて、今ほど平和な時間はない。明日もこの平和な日々が続いていますように。
学校はあまり離れていはいない。今年齢は何万歳にもなっているが、一応高校生ということになっている。戸籍上もそうだ。高校一年生。何万年も生きていても容姿は高校生くらいのまま。これは、女性はうらやましい限りだろう。ははは。せいぜいうらやましく感じてくれ。
電車に乗る。いつも通り、なんどもなんどもこの電車に乗るけれど、電車はいまだになれなかった。見ず知らずの他人と四角い箱に押し込められていると想像するだけで不快な気分になってくる。じっと黙ってみんな座っているから鼻歌を歌うことすらできやしない。俺は耳にイヤホンをさして音楽を聴いてみることにする。もちろんクラシック。何万年も生きていると一周回ってクラシックのブームがやってくる。
そんなこんな電車に乗っているうちに学校に着いた。もちろん学校の駅に着いたというだけで学校に直接ついたわけではない。うちの高校はあまり有名な高校ではないので○○高校駅という名前にはならない。
自分のクラスへと向かう。俺のクラスは一回の第二校舎にある。そんな遠くはないけど、道のりを長く感じた。あまり学校は居心地がよくなかった。
自分のクラスの目の前に来た時、目の前に女の子がいた。

「きもいんだよ!」

「本当にうざいなお前」

「我が名は、千代、千年の時を生きる、巫女」

「また変なこと言ってるよ」

千年の時を生きる?本当か?
その女の子は背が小さく、ラビットスタイルのツインテールをしていた。見たところ全く千年の時を生きているようには見えない。こんなことをいうと、お前はどうなんだ?といわれてしまいそうだ。俺も一万年以上の時を生きているからだ。もしかしたら、同胞にあったのではないかと、一喜一憂していると。
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