3 / 5
3
しおりを挟む
「…え~~ん」
千代は泣き出してしまった。
「きもいね。きもい」
「うん」
周りの女の子や男の子は千代を奇異の目で見る。俺はいてもたってもいられなかった。
「やめろい!弱い者いじめはやめろい!」
俺はいじめっ子たちと千代の間に入って大声で叫んだ。いじめは許せなかった。そもそも何が楽しいのかわからない。いろいろな人がいるから楽しいのに、出る杭を打っては本末転倒だ。
「…え…」
千代は泣き止んだ。
「あ、あいつやばいやつだ」
「なんか先生に投げられたチョークキャッチしたりしてたよね。眠ったまま」
「家のある場所がわからないらしいよ。田舎に住んでるのか都会に住んでいるのかもわからないらしい」
「あいつ、仲のいい友達一人もいないよね。体育の授業はいつも独り相撲してるし、柔道の授業の時は壁と格闘してた」
皆が口々に噂話をしている。は~、とため息をつきたくなる。もう中学生にも飽き飽きしているころであった。何度も繰り返すと、疲れもたまる。これで1万と78483929回目ループしていた。何万年生きてきてから1万と78483929回ループしているが、ループしているときは年を経ていないので年齢にカウントしていない。そういえば、と思って俺は気づいた。この千代という女、今までのループで見たことがない。いや、いたかもしれないが気づかなかった。影の薄い女というよりは、むしろ濃すぎるタイプだと思うのだけれど。
千代は泣き出してしまった。
「きもいね。きもい」
「うん」
周りの女の子や男の子は千代を奇異の目で見る。俺はいてもたってもいられなかった。
「やめろい!弱い者いじめはやめろい!」
俺はいじめっ子たちと千代の間に入って大声で叫んだ。いじめは許せなかった。そもそも何が楽しいのかわからない。いろいろな人がいるから楽しいのに、出る杭を打っては本末転倒だ。
「…え…」
千代は泣き止んだ。
「あ、あいつやばいやつだ」
「なんか先生に投げられたチョークキャッチしたりしてたよね。眠ったまま」
「家のある場所がわからないらしいよ。田舎に住んでるのか都会に住んでいるのかもわからないらしい」
「あいつ、仲のいい友達一人もいないよね。体育の授業はいつも独り相撲してるし、柔道の授業の時は壁と格闘してた」
皆が口々に噂話をしている。は~、とため息をつきたくなる。もう中学生にも飽き飽きしているころであった。何度も繰り返すと、疲れもたまる。これで1万と78483929回目ループしていた。何万年生きてきてから1万と78483929回ループしているが、ループしているときは年を経ていないので年齢にカウントしていない。そういえば、と思って俺は気づいた。この千代という女、今までのループで見たことがない。いや、いたかもしれないが気づかなかった。影の薄い女というよりは、むしろ濃すぎるタイプだと思うのだけれど。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる