正義の劣等生は異世界にて活躍する夢を見ない

マキシマム・ザ ・俊ちゃん

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第二章 スーパーハカーがただ無双するだけの話

金田一◯助かって言いたくなるというか、素材はダイヤモンドが如く輝いているのになとは思う

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「みのりん、無事でよかった」
「真もね~。準備をするのに手間取ったからゴメン~」

 白井が隠田と熱い抱擁を交わす。

 キマシタワー!

 などと喜んでいると、隠田の冷たい視線が突き刺さった。

 ふう、冗談の通じない奴め。

 愛称『みのりん』こと隠田実里かくれだみのりは、リアリストだ。
 夢想家の俺とはとても相容れぬ存在で、白井という仲介役がいなければ話すこともままならない相手なのである。

 クラスメイトというだけなら、まだ呆れられつつも相手にされるのだが、いかんせん俺の【魂の形状】が見せた現実が彼女の心証を損なわせてしまっていた。

 ま、そう思われるのは仕方がないんだがな。

 だがリアリストだけあって、俺を簡単に切ることができないのも事実だと受け止めている。

 白井が俺に依存していることを理解しているからこそ、俺と白井を無理矢理に引き離すのはマイナスだとしっかりと理解しているのである。

 だから彼女は最後のメンバーを決める時に白井と俺を指名したのだが、他の三人が納得しない形となった。

 自分が組みたいだけだろうってな。

 結局俺が提案したランダムで実現する形となってしまったが――。

「もし、この組み合わせにならなかったどうするつもりだったのかな~?」

 隠田はまだ根に持っているようで、自分以外に白井と俺のペアをまとめられる人間はいないと自負している。

「結果オーライとは言わないよ。でも、ずっと決まらないよりはマシだったろ? むしろ今のメンツが八百長を疑われるのが心配だけど?」

「そこはもう早く助けに行って合流してあげるしかないでしょ~。起こってしまったことは変えられないんだし~」

「そりゃそうだ。まあ、当てにしてるよ」
「当然、言われなくても僕が全て解決するし~。で、無能の小森君~。あのイケメン君はどちら様~?」

「レベル8の狩人オタカリだ。村に嫌気が差して山賊希望だそうだ」

「へえ、それはまたタイムリーな話だね~。僕以外は皆そんなに強くないからさ~。レベル8は嬉しいね~」

「オタロ・カリキレムです。なかなかの自信家のようですね」

 オタカリは一瞬だけ俺の方を見た。
 ああ、まあ言いたいことは何となく分かる。

 失礼な奴だと思ったんだろ?

 やめとけ。
 思うだけ無駄だから。
 あいつが同列に扱う相手は白井だけだから。

「ああ、小森君とのやりとりが気に入らなかったのかな~。 ゴメンね~。でも、リーダーってそういうもんじゃないの~? ガッカリするようなリーダーよりはマシじゃないかな~? それに、オタカリ君は僕にお願いする立場なんだよね~? まあ、僕が気に入らなかったら好きに抜けてくれて構わないし~。まあ、僕の名前なんか覚えてくれなくても構わないし~、自己紹介するつもりもないし~、それでも長くいてくれたら助かるよ~」

「え? あ、はい…………」

 ニヘラと笑った隠田の表情は悔しいが可愛い。
 不意討ちをくらったオタカリが一瞬だけ怯んだのを俺は見逃さなかった。

 イケメンのくせに童貞か!

 そんなこんながありまして、マイペースに、不遜に、そして大胆かつ寛容に、正論をオタカリにぶつけた隠田は言いたいことだけ言って話を戻した。

「それじゃあアジトにご紹介しようかな~。僕の方もね~。色々と苦労したんだよ~」

「そういや隠田さんたちは突然現れた感じだったね。こっちの【察知】で気付かなかったんだし、何かしたんでしょ?」

「ふ~ん、さすがはゲーマーとだけ言っておくかな~。けどまあ、そのくらいの知識じゃ僕の代わりは務まらないんだけどね~」

「みのりん、分かっているけど一言多いよ」

 さすがの白井も隠田をたしなめる。

「ん~、僕の過去を免罪符にするわけじゃないんだ~。それは無能の小森君だって理解していると思うんだけどな~。違ったかな~。僕から見ても変に鋭い時があるからさ~」

 隠田はガリガリと頭を掻く。
 ストレスがたまると痒みを感じるらしく、身綺麗にしていても乾燥肌がフケを撒き散らす。

 本人はフケなんてまったく気にしないのだが――。

 金田一◯助かって言いたくなるというか、素材はダイヤモンドが如く輝いているのになとは思う。

 まあ、本人は白井に怒られて不満だってことだな。

「そうだな。俺は隠田さんらしく生きればいいと思うよ」
「ほらね~」
「小森くん、甘すぎ……」

 白井にジト目で見られた気がした。
 無表情だけど。

「じゃ、行くよ~」

 隠田は地面に手を触れる。

 すると、ぽっかりと穴が空いて山賊たちが一斉に飛び込んでいく。

「はいはい~、閉じるのは僕にしかできないからね~。真たちも入っちゃって~」

 隠田に追い込まれるようにして穴に落ちると、そこは家の中だった。

 いや、窓も外の景色もない壁に囲まれた部屋なのだが、そこに置いてある椅子やテーブルなどの家具は中世の貴族が使うような高価そうなものばかり。

 天井のシャンデリアは魔法で発光しているのだろう。部屋を明るく照らしていた。

 しかもまだ扉がたくさんあって、その広さはこの場所からでははかり知れるものではない。

「どうかな~? 僕が一日で作った秘密基地の感想は~」

 白井ではなく、俺か?
 隠田に視線を向けられて俺は答える。

「まったくもって理解不能すぎる。これが一日とか、ジェバ◯ニですらやれたかどうか疑うレベルだわ」

「あ~、まあ僕はジェ◯ンニより優秀だし~」
「一体、何をやらかしたらこうなるんだ?」

 俺の質問に隠田はニヘラと笑った。

「魔法って面白いね~。【ストレジ】が楽しくて色々と試してたら、【ストレジ】に自分で入る方法を見つけたんだよね~」

「は?」

「まったく鈍いな~。【ストレジ】の魔法を自分好みにカスタマイズしただけだってば~。入りたいな~と思ったから、入れるようにしたってことさ~」

 隠田の言ってることは何となく分かる。
 分かるのに、その過程が全く見えてこない。

 頑張れ隠田。お前がナンバーワンだ。

 俺はもうそんな言葉を告げて、ここで隠居したい気分にさせられた。
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