2 / 108
俺、奴隷を購入しました その2
しおりを挟む
「それで、君は一体誰なんだ? なんで俺の家に、というか部屋にいたんだ?」
張り切って作った朝食を奴隷の首輪を付けている女性と一緒に食べながら質問をする。
返ってくる言葉なんて分かりきっていることだ。しかし、もしかしたらもしかするかもしれーー
「私は、シエナと申します。昨晩、奴隷市場で売られていたときにエリック様に購入されて、そのままこの家に連れてきていただきました」
うん、だよね。やっぱり、そうだよね。知ってた。
「ごめん。その……酔っ払っていたからそこら辺の記憶がなくて……」
「いえ、謝らないで下さい。私としても昨日のことは忘れていただきたかったですし……」
少し、彼女がうつむく。
ふむ、俺は何かをしてしまったのだろうか? それとも、彼女が何かをしてしまったのだろうか?
「昨日、シエナに対してなんか嫌なことをしてしまったのか……? だとしたらごめん! 酔っていたとはいえそんなーー」
「いえ! そうではなくて……その……奴隷市場で売られていたときに、悲しくて泣いていたのものですから……そういうところをエリック様に思い出されると……少し恥ずかしいと言いますか……」
彼女はうつむいたまま、少し顔を赤くする。
……え? めっちゃ可愛いんですけど!
いや、奴隷として売られて悲しくて泣いていた、という話を聞いてその感想が出てくるっておかしいと思うかも知れない。いや、おかしいのだろう。
でも、その暗い話を吹き飛ばすくらい彼女が可愛かったのだ。
「大丈夫、本当に昨日のことを何も覚えていないから! で、話を急に変えて申し訳ないんだけど、どういう流れで今のこの状態になったのか簡潔に教えてくれるか?」
流石に経緯を全く覚えていないのは今後支障が出てくると思ったので、彼女に聞いたのだが……『もちろんいいですよ』と快諾してくれた。
「昨日、奴隷市場で私は売りに出されていました。平均的な売買金額よりもかなり高額だったらしく、お金持ちの人たちがこぞって私を競り落とそうとしていたのですが……そこにエリック様が現れて……金貨三千枚で私を買っていただきました」
……ん? 聞き間違いかな? 今、金貨三千枚って言った……?
ちょっと待ってくれ、昨日の俺。
三千枚って、普通に王都の一等地で立派な一軒家を建てられる金額だし、俺が頑張って難易度の高いクエストを一年間受けて、ようやくその額に届くかどうかのレベルなのに……たった一日で、しかも酒で酔っ払った勢いで……
いや、こんな美人さんをそれだけで迎い入れることが出来たと考えたら安いものなのかも知れない。彼女がいなければ、俺は独身道まっしぐらだったわけだし。
でも……俺の財産が三分の一消えたんですけど……苦労して、頑張って、節約に節約を重ねて貯めてきたお金が……
頭を抱えたくなっていると……
「エリック様……? もしかして……私を買ったのを後悔していらっしゃいますか……? それでしたら……今すぐに奴隷市場で契約を解除していただければ……お金は戻って……くるかと……」
彼女が首輪を差し出してきた。
記憶が全く無いが、おそらく奴隷契約を結んだのだろう。で、その契約はその首輪に掛けられている、と聞いたことがある。
彼女は、手を震わせながらも首輪を健気に差し出している。
また、奴隷市場に戻ることが怖いのだろう。それに、次の主人はひどいことをする人かもしれない。
まあ、それを言えば、彼女からしてみれば俺もそういう人に映っている、もしくはこれから映るのかも知れない。最初は優しくして、徐々にきつくあたりだす、というのはよくある話らしいし。
「俺は後悔などしていない。まあ、財産が大きく目減りしたのは事実だが、シエナに何不自由ない生活を提供できるだけの金額は持っている。でも……君が契約を解除し、自由の身になりたいというのであれば、俺は止めはしない。それによって何かひどいことをするわけでもない。シエナが望むことであれば、これから出来る限り答えていくつもりだ」
安心させる言葉をかけようとなんとか絞り出したのだが……ついついカッコつけてしまった。
というか、これで『じゃあ、お言葉に甘えて……奴隷契約を解除して頂いて、自由の身になります。お世話になりました』とか言われたら……一ヶ月位は寝込むな。告白したことはないけど、好きな子に振られた、みたいなショックが俺を襲ってくると思う。
しかし
「……! いえ、奴隷契約を解除なんて、そんな……でも、ありがとうございます! ……その……本当に嬉しいです。奴隷として売られていた時は、全てを諦めかけていたのですが……私はいいご主人様に巡り会えたみたいです!」
ぱぁ! っと明るい顔でお礼を述べてきてくれた。いやー、これは百点満点をあげたい笑顔ですね。
そのあとは軽い談笑をしながら朝食を食べた。
いやー、食事がこんなに楽しかったのは初めてだわ。やっぱり女性と食事をするっていいな!
ご飯を食べ終わった後、『食器は私が洗いますので!』と健気に言ってきたので、洗うのは任せて今日のクエストを受けるための準備をする。
といっても、服を着替えて、装備を身につけるだけだが。
俺のジョブは剣士だ。
まあ、元々は魔術師で中間ポジションをパーティーで担当していたのだが、『戦場で女性を発情させる』ということが分かってからは、さっきも言ったとおり野郎どもと一緒に冒険をするか、ソロで頑張るかの二択になってしまったわけで。
俺みたいなやつと組んでくれる野郎もあまり居らず、結局はソロで冒険やクエストをすることが多くなったのだ。
となると、近接タイプでも遠距離タイプでもない魔術師は、俺の実力ではソロをするには荷が重くなってしまったので、剣士にジョブチェンジした、という感じである。
才能は自分で言うのも何だがあったので、ジョブチェンジしても別に困ることはなかった。というか、魔術師よりも剣士の方が向いているんじゃないか、と思うくらい今では体に馴染んでいる。
動きやすい服に着替え終え、最後に大剣を抜身のまま腰のフックに下げる。
今日は動きの遅いモンスターを討伐する予定なので、一撃の攻撃力を重視した大剣を選択したのだ。
あ、服に関しては鎧は重くて動けないし、俺の戦闘スタイルは一撃離脱を繰り返す、といものなので、必然的に身軽なものとなった。
一通りの準備が終わったので、キッチンに戻る。皿洗いは無事に出来たのだろうか。
張り切って作った朝食を奴隷の首輪を付けている女性と一緒に食べながら質問をする。
返ってくる言葉なんて分かりきっていることだ。しかし、もしかしたらもしかするかもしれーー
「私は、シエナと申します。昨晩、奴隷市場で売られていたときにエリック様に購入されて、そのままこの家に連れてきていただきました」
うん、だよね。やっぱり、そうだよね。知ってた。
「ごめん。その……酔っ払っていたからそこら辺の記憶がなくて……」
「いえ、謝らないで下さい。私としても昨日のことは忘れていただきたかったですし……」
少し、彼女がうつむく。
ふむ、俺は何かをしてしまったのだろうか? それとも、彼女が何かをしてしまったのだろうか?
「昨日、シエナに対してなんか嫌なことをしてしまったのか……? だとしたらごめん! 酔っていたとはいえそんなーー」
「いえ! そうではなくて……その……奴隷市場で売られていたときに、悲しくて泣いていたのものですから……そういうところをエリック様に思い出されると……少し恥ずかしいと言いますか……」
彼女はうつむいたまま、少し顔を赤くする。
……え? めっちゃ可愛いんですけど!
いや、奴隷として売られて悲しくて泣いていた、という話を聞いてその感想が出てくるっておかしいと思うかも知れない。いや、おかしいのだろう。
でも、その暗い話を吹き飛ばすくらい彼女が可愛かったのだ。
「大丈夫、本当に昨日のことを何も覚えていないから! で、話を急に変えて申し訳ないんだけど、どういう流れで今のこの状態になったのか簡潔に教えてくれるか?」
流石に経緯を全く覚えていないのは今後支障が出てくると思ったので、彼女に聞いたのだが……『もちろんいいですよ』と快諾してくれた。
「昨日、奴隷市場で私は売りに出されていました。平均的な売買金額よりもかなり高額だったらしく、お金持ちの人たちがこぞって私を競り落とそうとしていたのですが……そこにエリック様が現れて……金貨三千枚で私を買っていただきました」
……ん? 聞き間違いかな? 今、金貨三千枚って言った……?
ちょっと待ってくれ、昨日の俺。
三千枚って、普通に王都の一等地で立派な一軒家を建てられる金額だし、俺が頑張って難易度の高いクエストを一年間受けて、ようやくその額に届くかどうかのレベルなのに……たった一日で、しかも酒で酔っ払った勢いで……
いや、こんな美人さんをそれだけで迎い入れることが出来たと考えたら安いものなのかも知れない。彼女がいなければ、俺は独身道まっしぐらだったわけだし。
でも……俺の財産が三分の一消えたんですけど……苦労して、頑張って、節約に節約を重ねて貯めてきたお金が……
頭を抱えたくなっていると……
「エリック様……? もしかして……私を買ったのを後悔していらっしゃいますか……? それでしたら……今すぐに奴隷市場で契約を解除していただければ……お金は戻って……くるかと……」
彼女が首輪を差し出してきた。
記憶が全く無いが、おそらく奴隷契約を結んだのだろう。で、その契約はその首輪に掛けられている、と聞いたことがある。
彼女は、手を震わせながらも首輪を健気に差し出している。
また、奴隷市場に戻ることが怖いのだろう。それに、次の主人はひどいことをする人かもしれない。
まあ、それを言えば、彼女からしてみれば俺もそういう人に映っている、もしくはこれから映るのかも知れない。最初は優しくして、徐々にきつくあたりだす、というのはよくある話らしいし。
「俺は後悔などしていない。まあ、財産が大きく目減りしたのは事実だが、シエナに何不自由ない生活を提供できるだけの金額は持っている。でも……君が契約を解除し、自由の身になりたいというのであれば、俺は止めはしない。それによって何かひどいことをするわけでもない。シエナが望むことであれば、これから出来る限り答えていくつもりだ」
安心させる言葉をかけようとなんとか絞り出したのだが……ついついカッコつけてしまった。
というか、これで『じゃあ、お言葉に甘えて……奴隷契約を解除して頂いて、自由の身になります。お世話になりました』とか言われたら……一ヶ月位は寝込むな。告白したことはないけど、好きな子に振られた、みたいなショックが俺を襲ってくると思う。
しかし
「……! いえ、奴隷契約を解除なんて、そんな……でも、ありがとうございます! ……その……本当に嬉しいです。奴隷として売られていた時は、全てを諦めかけていたのですが……私はいいご主人様に巡り会えたみたいです!」
ぱぁ! っと明るい顔でお礼を述べてきてくれた。いやー、これは百点満点をあげたい笑顔ですね。
そのあとは軽い談笑をしながら朝食を食べた。
いやー、食事がこんなに楽しかったのは初めてだわ。やっぱり女性と食事をするっていいな!
ご飯を食べ終わった後、『食器は私が洗いますので!』と健気に言ってきたので、洗うのは任せて今日のクエストを受けるための準備をする。
といっても、服を着替えて、装備を身につけるだけだが。
俺のジョブは剣士だ。
まあ、元々は魔術師で中間ポジションをパーティーで担当していたのだが、『戦場で女性を発情させる』ということが分かってからは、さっきも言ったとおり野郎どもと一緒に冒険をするか、ソロで頑張るかの二択になってしまったわけで。
俺みたいなやつと組んでくれる野郎もあまり居らず、結局はソロで冒険やクエストをすることが多くなったのだ。
となると、近接タイプでも遠距離タイプでもない魔術師は、俺の実力ではソロをするには荷が重くなってしまったので、剣士にジョブチェンジした、という感じである。
才能は自分で言うのも何だがあったので、ジョブチェンジしても別に困ることはなかった。というか、魔術師よりも剣士の方が向いているんじゃないか、と思うくらい今では体に馴染んでいる。
動きやすい服に着替え終え、最後に大剣を抜身のまま腰のフックに下げる。
今日は動きの遅いモンスターを討伐する予定なので、一撃の攻撃力を重視した大剣を選択したのだ。
あ、服に関しては鎧は重くて動けないし、俺の戦闘スタイルは一撃離脱を繰り返す、といものなので、必然的に身軽なものとなった。
一通りの準備が終わったので、キッチンに戻る。皿洗いは無事に出来たのだろうか。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる