ユニークスキルのせいでモテない俺は、酔っ払った勢いで奴隷を買いました。

練太郎

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俺、奴隷を購入しました その3

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「あ、エリック様。ちょうど今洗い終えたところです」

 『どうですか? えっへん』みたいな顔をしていたので、見て見ると……皿は綺麗に整頓されいて、しっかりと水分も取ってあった。

「すごいな。ここまでしてくれなくても良かったのに」
「いえ、これもエリック様に気持ちよく過ごしてもらうためですから」

 ……いい子だなぁ……
 しかし、やはり『奴隷』という身分というのをかなり意識している感じがする。
 まあ、それは事実なんだが……いつかは『ご主人様』と『奴隷』ではなく、『夫』と『妻』みたいな関係に……っと、キモい想像をして、にやけ顔をしてしまうところだった。
 というか、出会って二日目でそんな妄想をしているとバレたら幻滅されかねん。気をつけなければ。

「それでエリック様。その格好は……」

 シエナは不思議そうな顔で俺の服と装備を見てくる。

「俺は冒険者なんだ。で、今からモンスターを討伐するクエストを受けに行こうと思ってな。まあ、仕事に行くって感じだ」

 彼女は『冒険者……初めてその名前を聞きました。世の中にはそういうお仕事もあるのですね』と初耳というような顔で頷いていた。
 ……結構有名な職業なんだけど……知らないのか……
 もしかして箱入り娘かなにかなのかな?

 シエナの生い立ちや、なぜ奴隷として売られていたのか話を聞きたかったが、もうそろそろギルドの方に寄ってクエストを受注しないと、あの人がうるさいしな……
 ただ……彼女をどうしようか迷っていた。家でずっと待ってもらっているというのもいいが……昨日の今日で一人ぼっちにさせるのは酷かもしれない。セキュリティ面はしっかりとしている家なので心配ないのだが。
 幸い、今日の敵はそこまで強くないし……俺の仕事をシエナに理解してもらうために一緒にクエストについてきてもらうのもいいかもしれない。
 俺がユニークスキルを使用すれば、周りにいる女性は例外なく『発情』してしまうのだが……それでもシエナと一緒にクエストを受けたいというか……いや、別にいやらしい意味じゃなくてね?

 しばらく悩んだ後、シエナも一緒にクエストに連れて行くことにした。 
 となると……服だが……
 シエナをちらりと見る。流石に今のボロボロの服のまま街を歩かせると俺が完全にやばい奴だと思われる。いや、今でも思われているけどね、悲しいことだが。

「ちょっと待ってて」

 彼女に待機するように言い、自室にあるクローゼットから服を見繕うことにした。
 シエナはひんにゅ……もとい。お胸の主張が若干ではあるが控えめなので、俺の服でも十分入るだろう。
 背丈は……俺と比べると低いが……まあ、クエスト終了後、彼女にはきちんとした服をプレゼントするつもりだし、今はダブダブでもいいだろう。それにまくればいけるはずだ。
 適当に選んだ服を持って、彼女の居るところまで戻る。

「はい、これ。今から一緒に出かけるからこの服に着替えてくれるか? 俺は自分の部屋にいるから、着替えたら呼んでくれ」

 服を渡して、さっさとまた自室へ戻る。
 正直言えば、シエナのお着替えシーンを見たいのは山々だったのだが……流石に彼女の主人とはいえ、そういうのは信頼関係をもっと築いてからだと思うのだ。
 え? 善人ぶるなって? ……善人ですが何か?

 自室で装備などをもう一度チェックし直していると……コンコンというノックオンが聞こえた。

「エリック様。着替え終わりました」

 意外と早く終わったな。たぶん、急いで着替えてくれたのだろう。

 装備確認を終わらせてクエストに必要な荷物を持ち、ドアを開ける。
 すると、目の前には美しい女性が立っていた。
 いや、シエナなんだけど……服装をしっかりとしたものに変えるだけでここまで化けるのか……しかも今、彼女が着ているのは俺の服だぞ?
 なのに、完全に自分の服かのように着こなしている。俺の服も泣いて喜んでそうだな。
 くそっ! 服よ、今すぐその場所を変わってくれ!

「……どう……でしょうか……?」

 おずおずとシエナが俺に感想を聞いてきた。
 おっと、ずっと黙って見ていたから怖がらせてしまったか。

「うん、すっごい良い。ただただそれしか出てこない。うん、すごい……良い」

 バカみたいな発言しかとっさに出てこなかったが、彼女が微笑んでくれたのでこの発言で良かったらしい。

 ずっと見ていたいのは山々だったが、もうそろそろギルドに向かわないとまずい。

「よし、じゃあ……行くか!」

 そう言って、今日はシエナという女性を引き連れて家を出た。おら、これからワクワクすっぞ!


 街をシエナと共に歩き、ギルドを目指す。
 俺が今住んでいる街は、アルメルドと言って一応冒険者の中でもツワモノが集っているところだ。
 街ゆく人を見ても、重厚な鎧を着た戦士や、如何にも強そうな魔術師など初心者がこの街に入ったら腰を抜かすような高ランクの人がうようよいる。
 シエナもさっきからキョロキョロしっぱなしだ。

「……エリック様、街の人々の中にしっぽが生えた人や猫耳やウサギ耳を生やした人がいますが……」

 ふむ、そっちが気になるか。これも、結構有名な話なんだが……

「ああ。冒険者という職業には亜人と呼ばれる人間とは少し違った人たちもたくさんいてな。一部の人間は亜人を差別したりしているんだが……俺たち人間よりも遥かに基礎能力が高くて強い人ばかりなんだ」

 そう、彼らはめちゃくちゃ強い。
 俺も、野郎どもとパーティーを組む時はよく一緒になるんだが……はえーってなるくらい強い。俺もそこそこ腕が立つとは思うのだが……彼らの戦いを見ると、まだまだだなと思ったりしている。

「そうなのですか……」

 差別されている、と聞いて心を痛めているようだ。
 優しい心を持っているんだな……
 いい子だ……と思っていると、女性冒険者が俺達の進路上にちょこちょこと現れてきた。

「ちょっと見て! あの歩く公然わいせつ人物が女を連れて歩いているわよ!」
「……! なんですって!? ……本当だわ! それに、その女性は奴隷よ!?」
「あんなに美人な女性を……あいつが奴隷として買ったなんて……!」

 俺の心を削り取っていく言葉がちらほら聞こえる。
 この世界では、奴隷を売買するのは合法で、別に珍しくもない。男女関係なく実力があってお金も持っている冒険者は、必ず奴隷を買っていると言われているくらいだし。
 ただ……俺の場合は、買った奴隷の性別が『女性』ということで、女性冒険者のひんしゅくを買ってしまったのかもしれない。
 そうでなくとも、女性から非常に嫌われている俺は、歩くだけでもヤイヤイと影で言われているのだから、たとえ男性の奴隷を買ったところで文句を言われるのだろうが。悲しい……
 ただ……せめて、もう少し声を抑えて話して欲しいと思うんですが……

 ゲッソリ顔になりながら歩いていると

「エリック様を見る周りの女性の方の視線が、その……厳しいものになっているのですが……なにかあったのですか……?」

 ……心優しいシエナは、言葉を非常にオブラートに包んで俺に質問をしてきた。
 いいんだよ? 素直に、どストレートに『周りの女性が汚物を見るような目で俺を見てきているけど』って言ってくれて。もう、慣れたからさ。というか、なんというかもう少しで新しい世界が見えてくる気もするし。

「まあ、何かあったというか、俺がしてしまったというか……」

 言いよどんでいると……ギルドに着いてしまった。
 シエナにはきちんとこの事を話さないといけないが……それはあとからにしよう。
 別に嫌われるかも知れない、と思って後回しにするわけではない。そう、これは逃げではなく、戦略的撤退なのだ。

「……クエストを受注しなくちゃいけないから、この話はまた今度な」

 彼女は特に口を挟むことなく『分かりました』と言ってくれた。
 うん、本当に心優しい子だ。お兄さん、嬉しいよ。
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