ユニークスキルのせいでモテない俺は、酔っ払った勢いで奴隷を買いました。

練太郎

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お料理

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 十分かけてようやく息子を元の大きさに戻した後、店の中に入ってダイニングへと向かう。

 部屋の中に入ると……早速シエナとメリッサがワイアットに料理を教わっていた。

「料理は下準備が大切なんだ。肉を炒めてながら野菜を切り、それでいて調味料の量も測る、なんてことをしていたら全てが雑になってしまって、料理が美味しくなくなってしまう。料理人である俺でも下準備は全てやっておく、ということは徹底しているくらいだからな」
「……なるほど……下準備が命、だということですね。覚えておきます」
「あと、野菜の大きさは揃えておくというのも大事だ。大きさがバラバラだったら火の通り具合が均一じゃなくなって、火が通っていない食材が出てきてしまう可能性があるから」
「……わたくしが作っていた料理がまずかった原因が分かりましたわ……」

 それとも仲睦まじいですなぁ……メリッサも敬語から『ですわ』口調にいつの間にかなっているし……

 俺は荷物を床に置き、ダイニングの椅子に座ってテーブルに置いてあったお水をグビグビと飲む。
 ……てか、何度も言うけど息子がでかくなったのは俺のせいじゃないのに……シエナとメリッサが急に発情してきて、あんなエッチに俺の指を舐めてくるから反応しちゃっただけだし……

 しばらくの間、グチグチと心のなかで文句と言い訳を言っていると、何かを炒める音と、彼女たちの会話が俺の耳に入ってきた。

「そう言えば、シエナさん。首輪無くなったんだな」
「はい。今日メリッサ様を奴隷市場で――」
「――メリッサさんも奴隷だったのか!? ……ちなみにおいくらで?」
「合わせて金貨三千枚ですわ」
「……こりゃまた凄い額をポンポンと……俺もエリックみたいに大金を叩いてみたいものだよ。っとシエナさんの話を遮ってしまっていたな。続きを話してくれないか?」
「あ、はい。それで、メリッサさんを購入した後に、エリック様が私達の首輪を外してあげて欲しいと店主様におっしゃってくださって……」
「そうですの。奴隷の首輪を外すなんてよほどの事がない限りしないことですのに、わたしくしまで外していただいて……本当にお優しい方ですわ」

 ……その会話、俺も混ぜて然るべきなんじゃないか?
 というか、さっきから俺をガン無視して話を進めているのはどうかと思うぞ。 

「おい、ここに奴隷の首輪を外してくれと店主にお願いをした本人が座っているんだが」
「お前、いつの間に入ってきたんだよ。びっくりしただろうが」

 ワイアットが驚いたような顔をする。
 いや、どんだけ料理とシエナたちとの会話に集中してたんだよ。こっちがびっくりするわ。
 でもその驚き方は本当に気がついていなかった驚き方だな。

「……まあ、ワイアットは本当に気が付かなかったとしよう。で、シエナとメリッサはなんで俺を無視してんだ? 俺が部屋に入ってきた時、目線が合ったろ」

 そう、俺がダイニングに入ってきた時、二人共俺のことをガッツリと認識していたのだ。でも、すぐにプイッと顔を背けて料理を続けた。ひどいと思わないか?

「……いえ……その……あの時の自分の行動が恥ずかしくて……ちょっとの間話しかけづらかったと言いますか……頭を冷やしたかったと言いますか……」

 シエナが手を止めてモジモジしながら弁明をしてくる。
 ……よし、許してやろう!

「わたくしも……同じような感じですわ。自分のしていた行動が恥ずかしくて、エリックに話しかけることが出来ませんでしたの」

 メリッサは顔を赤くしながら、長い耳を上下に震わせる。
 ……すげえ。耳ってそんなにビクビクって動くのか。触ってみたい……じゃなくて! まあ、許してやるか。

「……今回はお咎めなしとしよう。次からは気をつけるように」
『はい!』

 よしよし、いい子たちだ。
 ワイアットが『ナニをでかくしていたやつが言える義理かよ』とか小声で言ってきたが、華麗にスルーを決めた。


 ワイアットとシエナ達が料理を作っているところを見ること一時間。
 今日の夕飯がダイニングのテーブルに運び込まれてきた。

「今日はメリッサさんが新しくエリックの仲間になったということで奮発したぞ!」

 ワイアットがどうだ! という顔をする。
 確かに、どこかのパーティー会場で出てくる料理みたいなものばかりだな。

「この量を作ろうと思ったら一人だと時間がかかるんだが、シエアさんとメリッサさんが手伝ってくれたおかげで大分時間の短縮が出来たよ。ありがとう」
「いえ! 私も料理の仕方を教えていただいた身ですし、楽しかったですから。こちらこそありがとうございました」

 シエナがペコリと頭を下げる。
 お前は何時でも、誰にでも礼儀正しいなぁ……本当に出来た嫁だよ。
 しかし、ワイアットとシエナがお礼を言い合っている中、メリッサは所在なさげに自分の服をいじっていた。
 ……どうしたんだろうか?

「メリッサ、どうした?」
「……その……わたしくもお料理は楽しかったのですが……失敗してしまったんですの……」

 彼女が気まずそうに指差したお皿を見てみると……形は歪で黒焦げになった何かわからない物体がちょこんと乗っかっていた。
 ふむ、これは……うん……

「俺が悪いんだ。メリッサさんが肉を炒めている時に俺が少し目を離してしまったから……料理が苦手なメリッサさんには付きっきりで教えるべきだったんだ、本当にごめん!」

 ガタイのいいおっさんであるワイアットがメリッサに頭を下げる。
 対する彼女は涙目になりながら『料理が……苦手……やっぱりわたしくって……下手くそなんですのね……』とショックを受けている様子だった。
 ……せっかくのごちそうなんだから、このままの気持ちでメリッサが食事を食べるのは可愛そうだな。あとからフォローしておいてやるか。
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