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彼女たちからのお願い
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次の日。怪我自体は完全に治っていた俺は、ドラゴンの位置をミラさんに伝えるためにこの街を出立することにした。すでにあのモンスターと会敵してからから三日以上経っているし、早く情報を持って帰りたかったのだ。というか、そうしないと俺が呪いで殺されてしまうからな。
あ、一応ドラゴンの居場所は今も把握できているぞ? 追跡魔術のおかげだ。
「よし、じゃあ出発するぞ!」
全ての準備を整えた俺達は、数日間お世話になった街を後にした。
パカラッパカラッ!
馬は軽快に馬車を引っ張って走っていく。しかしながら、こんな速度じゃ何時まで経っても俺達の街に帰ることなど出来ないのは皆も承知のこと。というわけで、魔力量も最大まで回復していた俺は、魔術を惜しげなくどんどんと起動していく。
「《シールド》ォ! か~ら~の~、《スピード》ォ《スピード》ォ《スピード》ォ《スピード》ォォオオオオ!」
「エリック、ご機嫌ですわね! それ自体はいいことですが、自分が呪われていることを忘れてませんこと!? 無理をしたら呪いが進行するかもしれませんのよ!? いえ、進行しない可能性もありますけど!」
「そうです! 危ないですからエリック様は大人しく馬車の中で座って安静にしていてください! 私が御者をしますから!」
いい気分で魔術を使って軽快に飛ばしていたのに、手綱をシエナにひったくられる。
……そんなぁ……
『俺は大丈夫だから』と言って奪い返そうとしたら、『ここは譲れません!』とか頑なに拒否してくるので、仕方なく馬車の中に設置している長椅子に座る。
そんな経緯で任を解かれたので、残念そうに『はぁ……』とため息をついていると……メリッサとスズナが俺の隣に座ってきて、話をしてきた。
「エリック、分かってくださいまし。呪いについてはある程度のことは分かっていますが、予想外の事が起きるかもしれないのですわ。それが……寿命を縮めるもので、エリックが死んでしまったら……みんな悲しむんですのよ? だから、ここで座っていてくださいまし」
「そうやそうや。エリックが魔術を使うことによって呪いの進行が早まるかもしれんのやから、大人しくしとくんや。まあ、たとえそうじゃなくても……リスクは少しでも減らしたいやん?」
……確かに……そうだな……。変なことをして寿命が縮まって『死にました!』ってなったら大変なことになるし……ここは彼女たちの言う通り、大人しくしておくか。
俺は『分かったよ』と言って長椅子に深く腰掛ける。まあ、これに意味はないが『もう動くつもりはない』という意思表示みたいなものだ。
俺の行動を見てメリッサとスズナは嬉しそうに頷き、シエナもニッコリ笑顔を向けてきてくれた。
しばらく後。俺が先程馬車に掛けた魔術だけではまともな距離を稼げないということで、メリッサが俺と同じ魔術を行使して馬車をスピードアップさせることになった。
そういうことで、メリッサがシエナの元へと行ってしまい、俺はスズナと二人きりという状況になる。
…………
前方から『スピードアップですわ!』と言う声が聞こえてくるが、馬車の中は静かだ。
…………
うーん、なんか良く分からんが気まずい。スズナとは変に距離が近くなってしまったと言うか……例えるなら赤の他人ではないが、かといってめちゃくちゃ親しいわけではないみたいな。距離が中途半端だからどういう話をしたらいいのかよく分からないんだよな。親しかったら黙っているのも良いと思うんだが……。
そんなことを考えていると、スズナが俺に話を振ってきてくれた。
「……あ、そういえば、ウチをこのパーティーに入れてくれてありがとうな。身寄りがなくて、この先どうすればいいのか困っていたんやけど……エリックがいてくれて本当に良かったわ! 『不死身』やけどモンスターには一切攻撃できないっちゅうウチを入れても大した戦力強化にはならんかもしれへんけど……異世界の知識とかそういうのは持ってるから、何かと役に立てると思うで!」
「いや、こちらこそ入ってくれてありがとうという感じだ。まさかスズナの方から『パーティーに入れて欲しい』って言ってくるとは思っていなかったから。それに『不死身』ってだけでも破格なんだからな? 耐久力無限だから、前衛のタンク役である盾士とかにはもってこいだぞ。あ、いや、強制するわけではないからな? 自分の好きなジョブを選ぶのが一番だ」
「いや、ウチ、盾士でええで! どうせ攻撃はできんのやし、『不死身』の能力を最大限に活かせるそのジョブが一番ええと思うわ! それに、盾士になれば今度はエリックを守れるしな! もちろん、シエナさんもメリッサさんも守ったるで!」
スズナがめちゃくちゃやる気になる。
まあ正直に言うと、タンク役がいたらかなり戦いが楽になるので、彼女の提案は嬉しいものだった。
ただ、不死身と言っても怪我をしたりしたら痛みはあるだろうし……彼女が怪我をしているところは見たくない。
俺は『頼りにさせてもらうぞ』と言いながらも、心の中ではスズナもシエナやメリッサと同じように自分が命をかけて守る存在であるとの認識を持った。
……いや、これはちょっとカッコつけ過ぎだな。スズナも俺の『守りたいと思う存在』になったと言うべきだな。うん。
え? もうそういう存在になったのかって?
…………うん、まあ……俺ってチョロいからね!
あ、一応ドラゴンの居場所は今も把握できているぞ? 追跡魔術のおかげだ。
「よし、じゃあ出発するぞ!」
全ての準備を整えた俺達は、数日間お世話になった街を後にした。
パカラッパカラッ!
馬は軽快に馬車を引っ張って走っていく。しかしながら、こんな速度じゃ何時まで経っても俺達の街に帰ることなど出来ないのは皆も承知のこと。というわけで、魔力量も最大まで回復していた俺は、魔術を惜しげなくどんどんと起動していく。
「《シールド》ォ! か~ら~の~、《スピード》ォ《スピード》ォ《スピード》ォ《スピード》ォォオオオオ!」
「エリック、ご機嫌ですわね! それ自体はいいことですが、自分が呪われていることを忘れてませんこと!? 無理をしたら呪いが進行するかもしれませんのよ!? いえ、進行しない可能性もありますけど!」
「そうです! 危ないですからエリック様は大人しく馬車の中で座って安静にしていてください! 私が御者をしますから!」
いい気分で魔術を使って軽快に飛ばしていたのに、手綱をシエナにひったくられる。
……そんなぁ……
『俺は大丈夫だから』と言って奪い返そうとしたら、『ここは譲れません!』とか頑なに拒否してくるので、仕方なく馬車の中に設置している長椅子に座る。
そんな経緯で任を解かれたので、残念そうに『はぁ……』とため息をついていると……メリッサとスズナが俺の隣に座ってきて、話をしてきた。
「エリック、分かってくださいまし。呪いについてはある程度のことは分かっていますが、予想外の事が起きるかもしれないのですわ。それが……寿命を縮めるもので、エリックが死んでしまったら……みんな悲しむんですのよ? だから、ここで座っていてくださいまし」
「そうやそうや。エリックが魔術を使うことによって呪いの進行が早まるかもしれんのやから、大人しくしとくんや。まあ、たとえそうじゃなくても……リスクは少しでも減らしたいやん?」
……確かに……そうだな……。変なことをして寿命が縮まって『死にました!』ってなったら大変なことになるし……ここは彼女たちの言う通り、大人しくしておくか。
俺は『分かったよ』と言って長椅子に深く腰掛ける。まあ、これに意味はないが『もう動くつもりはない』という意思表示みたいなものだ。
俺の行動を見てメリッサとスズナは嬉しそうに頷き、シエナもニッコリ笑顔を向けてきてくれた。
しばらく後。俺が先程馬車に掛けた魔術だけではまともな距離を稼げないということで、メリッサが俺と同じ魔術を行使して馬車をスピードアップさせることになった。
そういうことで、メリッサがシエナの元へと行ってしまい、俺はスズナと二人きりという状況になる。
…………
前方から『スピードアップですわ!』と言う声が聞こえてくるが、馬車の中は静かだ。
…………
うーん、なんか良く分からんが気まずい。スズナとは変に距離が近くなってしまったと言うか……例えるなら赤の他人ではないが、かといってめちゃくちゃ親しいわけではないみたいな。距離が中途半端だからどういう話をしたらいいのかよく分からないんだよな。親しかったら黙っているのも良いと思うんだが……。
そんなことを考えていると、スズナが俺に話を振ってきてくれた。
「……あ、そういえば、ウチをこのパーティーに入れてくれてありがとうな。身寄りがなくて、この先どうすればいいのか困っていたんやけど……エリックがいてくれて本当に良かったわ! 『不死身』やけどモンスターには一切攻撃できないっちゅうウチを入れても大した戦力強化にはならんかもしれへんけど……異世界の知識とかそういうのは持ってるから、何かと役に立てると思うで!」
「いや、こちらこそ入ってくれてありがとうという感じだ。まさかスズナの方から『パーティーに入れて欲しい』って言ってくるとは思っていなかったから。それに『不死身』ってだけでも破格なんだからな? 耐久力無限だから、前衛のタンク役である盾士とかにはもってこいだぞ。あ、いや、強制するわけではないからな? 自分の好きなジョブを選ぶのが一番だ」
「いや、ウチ、盾士でええで! どうせ攻撃はできんのやし、『不死身』の能力を最大限に活かせるそのジョブが一番ええと思うわ! それに、盾士になれば今度はエリックを守れるしな! もちろん、シエナさんもメリッサさんも守ったるで!」
スズナがめちゃくちゃやる気になる。
まあ正直に言うと、タンク役がいたらかなり戦いが楽になるので、彼女の提案は嬉しいものだった。
ただ、不死身と言っても怪我をしたりしたら痛みはあるだろうし……彼女が怪我をしているところは見たくない。
俺は『頼りにさせてもらうぞ』と言いながらも、心の中ではスズナもシエナやメリッサと同じように自分が命をかけて守る存在であるとの認識を持った。
……いや、これはちょっとカッコつけ過ぎだな。スズナも俺の『守りたいと思う存在』になったと言うべきだな。うん。
え? もうそういう存在になったのかって?
…………うん、まあ……俺ってチョロいからね!
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