ユニークスキルのせいでモテない俺は、酔っ払った勢いで奴隷を買いました。

練太郎

文字の大きさ
82 / 108

彼女たちからのお願い

しおりを挟む
 次の日。怪我自体は完全に治っていた俺は、ドラゴンの位置をミラさんに伝えるためにこの街を出立することにした。すでにあのモンスターと会敵してからから三日以上経っているし、早く情報を持って帰りたかったのだ。というか、そうしないと俺が呪いで殺されてしまうからな。
 あ、一応ドラゴンの居場所は今も把握できているぞ? 追跡魔術のおかげだ。


「よし、じゃあ出発するぞ!」

 全ての準備を整えた俺達は、数日間お世話になった街を後にした。


 パカラッパカラッ!

 馬は軽快に馬車を引っ張って走っていく。しかしながら、こんな速度じゃ何時まで経っても俺達の街に帰ることなど出来ないのは皆も承知のこと。というわけで、魔力量も最大まで回復していた俺は、魔術を惜しげなくどんどんと起動していく。

「《シールド》ォ! か~ら~の~、《スピード》ォ《スピード》ォ《スピード》ォ《スピード》ォォオオオオ!」
「エリック、ご機嫌ですわね! それ自体はいいことですが、自分が呪われていることを忘れてませんこと!? 無理をしたら呪いが進行するかもしれませんのよ!? いえ、進行しない可能性もありますけど!」
「そうです! 危ないですからエリック様は大人しく馬車の中で座って安静にしていてください! 私が御者をしますから!」

 いい気分で魔術を使って軽快に飛ばしていたのに、手綱をシエナにひったくられる。
 ……そんなぁ……
 『俺は大丈夫だから』と言って奪い返そうとしたら、『ここは譲れません!』とか頑なに拒否してくるので、仕方なく馬車の中に設置している長椅子に座る。
 そんな経緯で任を解かれたので、残念そうに『はぁ……』とため息をついていると……メリッサとスズナが俺の隣に座ってきて、話をしてきた。

「エリック、分かってくださいまし。呪いについてはある程度のことは分かっていますが、予想外の事が起きるかもしれないのですわ。それが……寿命を縮めるもので、エリックが死んでしまったら……みんな悲しむんですのよ? だから、ここで座っていてくださいまし」
「そうやそうや。エリックが魔術を使うことによって呪いの進行が早まるかもしれんのやから、大人しくしとくんや。まあ、たとえそうじゃなくても……リスクは少しでも減らしたいやん?」

 ……確かに……そうだな……。変なことをして寿命が縮まって『死にました!』ってなったら大変なことになるし……ここは彼女たちの言う通り、大人しくしておくか。
 俺は『分かったよ』と言って長椅子に深く腰掛ける。まあ、これに意味はないが『もう動くつもりはない』という意思表示みたいなものだ。
 俺の行動を見てメリッサとスズナは嬉しそうに頷き、シエナもニッコリ笑顔を向けてきてくれた。
 

 しばらく後。俺が先程馬車に掛けた魔術だけではまともな距離を稼げないということで、メリッサが俺と同じ魔術を行使して馬車をスピードアップさせることになった。
 そういうことで、メリッサがシエナの元へと行ってしまい、俺はスズナと二人きりという状況になる。
 …………
 前方から『スピードアップですわ!』と言う声が聞こえてくるが、馬車の中は静かだ。
 …………
 うーん、なんか良く分からんが気まずい。スズナとは変に距離が近くなってしまったと言うか……例えるなら赤の他人ではないが、かといってめちゃくちゃ親しいわけではないみたいな。距離が中途半端だからどういう話をしたらいいのかよく分からないんだよな。親しかったら黙っているのも良いと思うんだが……。
 そんなことを考えていると、スズナが俺に話を振ってきてくれた。

「……あ、そういえば、ウチをこのパーティーに入れてくれてありがとうな。身寄りがなくて、この先どうすればいいのか困っていたんやけど……エリックがいてくれて本当に良かったわ! 『不死身』やけどモンスターには一切攻撃できないっちゅうウチを入れても大した戦力強化にはならんかもしれへんけど……異世界の知識とかそういうのは持ってるから、何かと役に立てると思うで!」
「いや、こちらこそ入ってくれてありがとうという感じだ。まさかスズナの方から『パーティーに入れて欲しい』って言ってくるとは思っていなかったから。それに『不死身』ってだけでも破格なんだからな? 耐久力無限だから、前衛のタンク役である盾士とかにはもってこいだぞ。あ、いや、強制するわけではないからな? 自分の好きなジョブを選ぶのが一番だ」
「いや、ウチ、盾士でええで! どうせ攻撃はできんのやし、『不死身』の能力を最大限に活かせるそのジョブが一番ええと思うわ! それに、盾士になれば今度はエリックを守れるしな! もちろん、シエナさんもメリッサさんも守ったるで!」

 スズナがめちゃくちゃやる気になる。
 まあ正直に言うと、タンク役がいたらかなり戦いが楽になるので、彼女の提案は嬉しいものだった。
 ただ、不死身と言っても怪我をしたりしたら痛みはあるだろうし……彼女が怪我をしているところは見たくない。
 俺は『頼りにさせてもらうぞ』と言いながらも、心の中ではスズナもシエナやメリッサと同じように自分が命をかけて守る存在であるとの認識を持った。
 ……いや、これはちょっとカッコつけ過ぎだな。スズナも俺の『守りたいと思う存在』になったと言うべきだな。うん。
 え? もうそういう存在になったのかって?
 …………うん、まあ……俺ってチョロいからね!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...