【完結/短編】偏愛相姦

よるは ねる(準備中2月中に復活予定)

文字の大きさ
9 / 12

09※

しおりを挟む

――嗚呼、バレてしまったんだな、と思った。
この、醜い想いが、浅ましい願望が。



和臣さんの言葉に呼吸が止まる。顔色は青ざめ、身体はカタカタと震えて。断罪されるつもりだったけれど、まさか本人に気持ちがバレているとは思ってもみなかった。

そんな私に和臣さんは落ち着きなさい、と言いながら優しく頬を撫でる。
いきなりの感触に大袈裟な程に身体が震え、その拍子に枕元に飾ってあった結婚式の写真立てがバランスを崩し落ちた。

「あ……」

私は咄嗟に落ちた写真立てを拾おうと腕を伸ばした、が――…

「駄目、だよ。」

身体ごと抱き竦められた。愛して止まない、恋い焦がれた貴方、に。
どうしてこんな事をするの、と聞きたかった。けれど声は形にならず、まるで金魚のように口をパクパクと動かすことしか出来なくて。

混乱しているしている筈なのに、何処か冷静な自分が居て。そんな冷静な自分が自惚れるな、と何度も私に忠告する。警報に近いモノだった。

「どうしてこんな事するか、わかるかい?」

和臣さんの言葉に首を横に振れば、更に強く抱きしめられて。骨が軋む程、痛い程にぎゅっと、キツく。

「私は君が――…秋乃ちゃんが、好きだよ。妻よりも、息子よりも。誰よりも君が――…」
「――止めてっ!」

和臣さんの言葉を遮るように叫ぶ。私の気持ちに嘘を絡めないで。どんなに最低でも、屑な感情でも本当の気持ちなのだ。それをその場限りの嘘で塗りつぶさないで欲しい。

「……」

抱きしめられた腕が解かれ、代わりに顎を囚われる。
どうしようもない程の真摯な視線にぞくり、と背中が震える。

「ぁ…」

無意識に甘い吐息を吐いた。そんな吐息につられるかのように、和臣さんの唇が近付いて――…重なった。
願って止まなかった愛する人の口付けに私の目尻から涙が流れる。

一度重なってしまえば、互い箍が外れ、何度も何度も重ね合わせて。視線を外さず、見つめたまま角度を変え交わる唇。呼吸を忘れる程の、激しい接吻。

和臣さんの舌が咥内に侵入し、舌を味わうかのように絡め取れば、今までに無い快楽が私を襲い、もっと欲しいと情欲が私を支配する。自身も和臣さんの舌に答えれば目の前にある美貌が嬉しそうに笑った。

「ん、ん…」

欲を帯びた声にならない喘ぎが口から漏れる。ぴちゃぴちゃと唾液が交じる音が二人の聴覚を犯し、更に二人の情欲に火が灯った。

こんなにも気持ちの良い口付けは初めてで、今までしてきたセックスよりも、この口付けが何よりも気持ちが良かった。
それを証拠に先程から接吻だけで秘部から愛液が溢れている。太腿を擦り合わせるだけでくちくち、とイヤらしい音が微かに聞こえた。

「は、ふぁ…ん、かずおみ、さ……」
「ん…美味しい、よ。君の唇も、舌も、唾液も、吐息も声も、何もかも――…このまま全て、食べてしまいたくなる、ね」

和臣さんの囁きに更に愛液が溢れる。
――和臣さんは言った、私が好きだと。それを証明する為の狂おしい程の口付け。

それでも私は信じる事が出来なかった…というよりも信じたくなかった。嬉しい。死ぬ程嬉しい。けれど、私にはそれが辛かった。
もしも。もしも和臣さんの気持ちが本当だとしたら、どれだけの人を傷付ける?麻美さんや奏太さんだけでは無い。会社の人達や和臣さん自身も傷付ける事になる。

私だけなら良い。けれどそんな大勢の人達を犠牲にしてまで、この想いを遂げる勇気は私には持ち合わせていなかった。

だから消えようと思った。勿論離婚して誰も傷付かない事は分かっている。慰謝料だって払う。もしも彼等が私の存在を消し去りたいのならば最悪の事も考えている。


「秋乃ちゃん」

――嗚呼、何て自分は狡いんだろう。そう思いながらも和臣さんを放せない自分が居て。
今だけ、今だけ。と自分に言い訳をして、この快楽を甘受している。

「は…ん、和臣、さん……」

吐息混じりに和臣さんの名を呼べば、糸を引きながら名残惜しげに唇が離れ、和臣さんの指がワンピース越しに触れる。きっと私が情欲に溺れかけている事に気が付いているのだろう。

指がぐぃ、と秘部を抉る。その刺激だけで絶頂を迎えそうになったが、唇をキツく噛む事によって難は逃れて。少しだけ恨めしそうに和臣さんを見遣れば、欲に濡れた瞳に晒された。

「…このまま何処か逃げてしまおうか……」

和臣さんの長く肉厚な舌が私の頬をぬるりと舐める。もう全てが性感帯になってしまったようだ。ずくずくと身体を疼かせながら暁人は腰を小さく首を縦に振った。

そんな私の反応に和臣さんは見せつけるかのように自身の唇をれろり、と舐めた。



******



「二人には買い物に行ってもらってる。私が秋乃ちゃんを落ち着かせてくるからって」

誰もいないリビングに疑問符を浮かべた私に和臣さんが教えてくれる。その時から和臣さんはこんな事になるとわかっていたのだろうか…と疑問に思ったが、言葉にはしなかった。

車のキーを持った和臣さんが、私の手を取り家を出る。二人の間に会話は無い。そのまま彼の愛車に乗り、エンジンを掛ければ独特なエンジン音が鼓膜に響いた。

てっきり和臣さんは高級車にでも乗っていると決めつけていたのだが、スポーツカーに乗っていると知り驚いた、と言ってもこの車も十分な値段がする。下手したら某高級車よりも高いかもしれない。

こんなにも車高の低い車に乗るのは初めてで最初は緊張したが、和臣さんの運転技術は高く、緊張なんて数分もしないうちに吹き飛んだ。

車内は沈黙に包まれている。音楽すらも掛かっていない。けれど気まずく感じる事は無くて。

暫く走り、高速に乗り、また暫く走って、高速を抜け少し足場の悪い道を走れば徐々に見えてくる、海。

初めて見る海にわぁ、と歓声をあげた。そんな私の反応にくすり、と笑う和臣さんを感じるが、恥ずかしくて見る事は出来なくて、ひたすら徐々に近付く海を見つめていた。

「海、初めてみるんだね。」
「は、はい…初めて、見ます。」

まだ恥ずかしさが抜けなくて、申し訳無さを感じながらも振り向かず答えれば、いきなり腕を引かれ抱きしめられた。
気付けば車は狭い駐車場に止まっていて。和臣さんの大きな掌が身体をまさぐる。

「かずお、みさ………」
「君を、抱くよ」
「っ……ぁ……」

和臣さんの言葉に再び情欲が灯り、吐息混じりの喘ぎを漏らせばシートをゆっくりと下げられ、和臣さんが覆い被さって、見つめ合い、唇を重ねる。

冷静だったら車の中でとか、人が、とか思ったかも知れない。けれど私にはそんな余裕なんて持ち合わせていなかった。

触れるだけの口付けはどんどん深くなり、先程よりもより深いものへと変わっていき、呼吸をも奪う。
和臣さんの舌が縦横無尽に暴れ周り、翻弄されてしまう。そんな拙い私のワンピースのボタンを器用に外せば、肌が外気に晒されて。そのままスルリと脱がされ下着姿を和臣さんの眼下に晒した。
恥ずかしさの余り両手で隠そうも、やんわりと阻止され、焼け付くような視線が私の身体に突き刺さる。それすら快楽だった。ぞくり、と背中が粟立つ。

「あ、は、ずかしい、です……」
「…綺麗、だよ。…舌、出して。」

言われるがままに舌を出せば、和臣さんの咥内に含まれ、じゅくじゅくと吸われる。その間、和臣さんの掌が私の身体を確かめるかのように弄り、全てがどうしようもない程気持ちが良かった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...